トーキング・ヘッズ(Talking Heads)が1988年にリリースしたアルバム『Naked』。この作品をプロデュースした
スティーヴ・リリーホワイト(Steve Lillywhite)が、当時レコーディングにギタリストと間違われた一般人が少しだけ参加していたことを明らかにしています。
リリーホワイトは、カナダ・ミュージック・ウィークのシンポジウムに登壇して過去の様々なエピソードを語っています。そのひとつとして『Naked』についても語っています。
「私たちはレコーディングのための予算があったので、皆パリに行きました。パリに行ったのは、多くのアフリカの影響を使いたかったからです。パリには、アフリカのフランス語圏であるコートジボワールからアフリカの偉大なミュージシャンがたくさん来ています。そのためコミュニケーションはちょっとした問題でした」
「ある日、レコーディングセッションの終わりに、素晴らしいギタリストを迎え入れることができると聞いて、私たちはとても興奮しました。彼は皆が我々に推薦した男でした」
「セッションは朝10時にスタートします。だけど、この男はまだ来ていませんでした。10時5分を過ぎた時、アフリカ系の男が歩いてきたので、私たちは“あなたはギタリスト?ギター弾ける?”と尋ねると、彼は“ええ、ギター弾けますよ”と答えたので“あなたのギターはどこ?”と尋ねると、彼は“持ってないよ”と言いました。私たちは、彼にさらに質問するのではなく、彼に楽器を提供して“心配しないで。ここ来て座ってください”と言いました。彼はそこに座り、私たちは演奏を始め、そして彼も演奏を始めました」
「20分後、(私たちが待っていた)本人が“どうもこんにちは。遅れてごめんなさい”と言ってやって来ます。私たちは“では、この人は誰?”ってなった。それはメッセンジャーでした。まったく別のミュージシャンのカセットを持ってきたメッセンジャーでした。それで、私たちはこの素晴らしい男に“本当に申し訳ありませんが、私たちが待っていた人はこちらです”と、言わなければなりませんでした」
この話は、アルバムのオープニング曲「Blind」のレコーディング時のもの。
リリーホワイトはさらに「メッセンジャーはレコーディング中、同じリフをプレイし続けた。コードの変更があっても変えずに、まわりから“リフを変えて”と言われても、彼は“ノー、ノー、ノー。あなたがそうして”と言っていました」と述べています