
HK Eテレ『100分de名著 松本清張スペシャル』
松本清張の名著4作を、25分×4回の計100分で読み解いていく『100分de名著 松本清張スペシャル』がNHK Eテレで3月5日(月)より放送。人間の闇を凝視し続けた松本清張清の世界を読み解く100分。テーマは『点と線』『砂の器』『昭和史発掘』『神々の乱心』
■NHK Eテレ『100分de名著 松本清張スペシャル』
●第1回 人間と社会の暗部を見つめて 〜「点と線」〜
【放送時間】
2018年3月5日(月)午後10時25分〜10時50分/Eテレ
【再放送】
2018年3月7日(水)午前5時30分〜5時55分/Eテレ
2018年3月7日(水)午後0時00分〜0時25分/Eテレ
※放送時間は変更される場合があります
【指南役】原武史(放送大学教授)…日本政治思想史研究者。代表作に「大正天皇」「昭和天皇」「松本清張の『遺言』」など。
【朗読】長塚圭史(俳優)
【語り】小坂由里子
福岡県香椎浜で起こった情死事件の解明を描く「点と線」。新しい旅の主役、夜行列車「あさかぜ」や航空機を始め、国鉄、私鉄をからませて、点と線でつなぐ一級のエンターテインメントだ。当時最先端のテクノロジーや交通革命、情報革命をいち早く先取りしながらも、その背景に、相次ぐ疑獄事件や政界・財界・官界の癒着などの社会的事件が透けてみえるような絶妙な仕掛け。巨悪は逃げ延び、犠牲になるのは中間管理職……複雑な社会機構が生み出す構造的な犯罪に巻き込まれた個人の悲劇を見事に描き出す清張の筆力は一体どこから生まれたのか? そのヒントは、清張の生い立ちにあった。第一回は、清張の人となりを探るとともに、「点と線」に描かれた登場人物たちの姿からごく普通の人間たちを翻弄する社会の暗部を読み解いていく。
●第2回 生き続ける歴史の古層 〜「砂の器」〜
【放送時間】
2018年3月12日(月)午後10時25分〜10時50分/Eテレ
【再放送】
2018年3月14日(水)午前5時30分〜5時55分/Eテレ
2018年3月14日(水)午後0時00分〜0時25分/Eテレ
※放送時間は変更される場合があります
【指南役】原武史(放送大学教授)…日本政治思想史研究者。代表作に「大正天皇」「昭和天皇」「松本清張の『遺言』」など。
【朗読】長塚圭史(俳優)
【語り】小坂由里子
過去を消し去るために殺人という手段をとらざるを得なかった人物とその心理を描く「砂の器」。大ピアニストを目指す主人公・和賀英良に背負わされた十字架は、幼少期に苦しめられた、いわれなき差別と偏見だった。近代化を成し遂げたにもかかわらず、依然として日本に残る迷妄きわまる差別構造が人を犯罪に追いやる原因となる。その犯罪を暴くきっかけになるのも、古代からの残滓を残す「方言」という文化。この小説は、日本に今も生き続ける歴史の古層への鋭い視点が生んだ作品なのである。第二回は、小説「砂の器」で描かれた犯罪を読み解くことで、近代化・高度経済成長を経てもなお、日本に根強く残る歴史の古層を暴き出す。
●第3回 歴史の裏側を暴き出す 〜「昭和史発掘」〜
【放送時間】
2018年3月19日(月)午後10時25分〜10時50分/Eテレ
【再放送】
2018年3月21日(水)午前5時30分〜5時55分/Eテレ
2018年3月21日(水)午後0時00分〜0時25分/Eテレ
※放送時間は変更される場合があります
【指南役】原武史(放送大学教授)…日本政治思想史研究者。代表作に「大正天皇」「昭和天皇」「松本清張の『遺言』」など。
【朗読】長塚圭史(俳優)
【語り】小坂由里子
昭和初期の時代の変わり目を新資料を元に複合的に叙述していくノンフィクション作品「昭和史再発掘」。とりわけ「二・二六事件」を読み解くことが、昭和史の謎を解明する大きな鍵を握っていると清張はいう。それは単なるテロ事件ではなく、構造的不況、貧富の格差の拡大、対外関係の行き詰まりといった危機的状況を、昭和維新と呼ばれる革命によって乗り越え、天皇と国民を改めて一体化させようという大規模なクーデター計画だった。その失敗後、軍部は「二・二六」再発をちらつかせながら、政・財・言論界を脅迫し戦時体制へと国民をひきずっていく。いわば、「二・二六」は、その後の国家体制を変えていく大きなターニングポイントだった。第三回は、「二・二六事件」を清張の視点から読み解き、日本が戦争に突き進んだ昭和という時代を浮き彫りにする。
●第4回 国家の深層に潜むもの 〜「神々の乱心」〜
【放送時間】
2018年3月26日(月)午後10時25分〜10時50分/Eテレ
【再放送】
2018年3月28日(水)午前5時30分〜5時55分/Eテレ
2018年3月28日(水)午後0時00分〜0時25分/Eテレ
※放送時間は変更される場合があります
【指南役】原武史(放送大学教授)…日本政治思想史研究者。代表作に「大正天皇」「昭和天皇」「松本清張の『遺言』」など。
【朗読】長塚圭史(俳優)
【語り】小坂由里子
最晩年、病気によって休載し、ついに未完に終わった「神々の乱心」。昭和八年を舞台に、特高の刑事と華族の次男坊が、宮中に入り込んだ新興宗教「月辰会」の陰謀を追うミステリーだが、そこには清張の巨大なメッセージがこめられている。「月辰会」の陰謀とは、実は「三種の神器」の捏造。日本国の頂点に君臨することを証明する物的証拠を捏造し、陸軍や宮中の一部の人々に本物と信じ込ませることで、天皇家の正当性を根底から覆そうとする。もちろん架空の物語だが、清張は、取材に基づいた多くの事実をつきあわせながら、日本という国家の深層に潜むものを見極めようとする。いわば、この作品は清張の遺言でもあるのだ。第四回は、清張の最晩年の格闘を通して、「国家とは何か」「宗教とは何か」という普遍的な問題に迫っていく。
●予告映像
http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/trailer.html?i=13595●番組ページ
http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/74_matsumoto/index.html