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柴田直人(ANTHEM)をゲストに迎えた『BURRN! JAPAN Vol.9』発売記念トーク・セッション レポート到着

2017/09/20 13:31掲載
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BURRN! JAPAN Vol.9
BURRN! JAPAN Vol.9
日本アーティスト限定のBURRN!別冊『BURRN! JAPAN Vol.9』の発売を記念したトーク・セッションが9月13日(水)に開催。当日は制作に全面的に関わった3人(広瀬和生・BURRN!編集長、増田勇一、土屋京輔)が登壇、第一部は同号の表紙巻頭を飾った柴田直人(ANTHEM)が特別ゲストとして参加しています。レポートが到着しています

以下、シンコ-ミュージックより


 写真左より土屋京輔氏、増田勇一氏、広瀬和生(BURRN!編集長)、柴田直人氏(ANTHEM)、田丸勇氏(ANTHEM)

 9月13日新宿NAKED LOFTに於いて「BURRN! JAPAN Vol.9発売記念トーク・セッション」が行われた。当日は制作に全面的に関わった増田勇一さん、土屋京輔さん、広瀬和生BURRN!編集長が登壇、第一部はゲストに同号の表紙巻頭を飾った柴田直人さん(ANTHEM)を迎えてのトークとなった。

 ところが、“ではここでゲストの柴田さんをお迎えしましょう”という広瀬編集長の呼び込みに登場したのはANTHEMのドラマー田丸勇さん。このサプライズに場内は大拍手。この後“こんばんは、柴田直人です”という田丸さんの<成りきり柴田>トークにしばし笑い声に包まれたが、次第に広瀬編集長のインタビューに追い込まれ、“それじゃそろそろ本物の柴田さんに来ていただきましょうか”という編集長の一声に救われたような田丸さんだった。

柴田:こんばんは、よろしくお願いいたします(場内大拍手)
広瀬:田丸さんは柴田さんの膝の上に(笑)。
田丸:それはマズいっす(笑)後ろで大丈夫です。
広瀬:さて「BURRN! JAPAN Vol.9」の表紙・巻頭特集に柴田さんに出ていただいたんですけど、柴田さんは一人で表紙を飾るというのはこれまでどれくらいあるんですか?
柴田:いや、初めてだと思います。最初一人表紙って聞いたとき、僕“ええっ〜”って言いましたよね。未だにちょっと恥ずかしいです。表紙見ると、こっちメッチャ見てますから(笑)。
広瀬:メッチャ見てますね、でもポーズがいいじゃないですか。今回撮影はほぼ一日がかりで、色んなポーズをとってもらったり、あちこち移動してもらったりしました。それぞれのメンバーの写真にもカメラマンとデザイナーが考えたコンセプトがあって、これはメンバーには教えなかったんですけど、柴田さんは「イタリアのエロオヤジ」(場内爆笑)。
柴田:エロオヤジはどっちかっていうと森川(vo.)なんですけどね(笑)。
広瀬:その森川さんは映画「パルプ・フィクション」の殺し屋サミュエル・L・ジャクソンだっていうんですけど。
柴田:森川の写真可愛くないですか?
広瀬:可愛かった、元々森川さんって可愛い人ですよね。
柴田:僕はずっとそう思ってるんですけど(場内爆笑)、本人は否定してます。
広瀬:最初に英三さん(坂本英三・元vo.)が入った時も「顔が可愛いから、ANTHEMに入れた」説が(笑)。
柴田:それは森川君が危ないルックスだったから(笑)
広瀬:で、田丸君がニューヨークのラッパー。
土屋:この田丸君がとてもカッコいい。
田丸:ありがとうございます。
広瀬:清水君(g.)がフランスの。
増田:おじさんでしたっけ? お兄さん?
広瀬:色男風のお兄さんです。写真はそういったコンセプトでたっぷり載ってるんですが、インタビューは如何でした?もう読まれました?(田丸さんに)そちらの柴田さん。
田丸:あ、毎回全員チェックさせていただいてます。
広瀬:田丸君の発言についてはどう思った?
田丸:まだ、発言が若いですよね、伸びしろがあると。(場内大爆笑)
柴田:清水は?
田丸:さすがの言葉のチョイスというか、内容はより濃いなと。
柴田:じゃ、お前の天敵の森川君は?
田丸:天敵じゃないですよ。
広瀬:怒られたんでしょ、楽屋で言ってたじゃないですか(笑)。
柴田:一昨日、ものスゴく怒られてました、ライヴMCのことで激ギレされてましたね、冗談なんですけど(笑)。でも森川の声って人の倍くらい太いので、冗談で怒っても田丸はずっとワナワナしてて、それを僕と清水は止めないで笑って見てました(笑)。
田丸:でも、森川さん、目が笑ってなかったですよ。
柴田:森川は多分君のこと嫌いなのかもしれない(笑)。
田丸:あとでお近づきのメールしときます(笑)。(場内爆笑)

その森川さんのライヴでのMCが噛みまくってグダグダだとの話から、今回のツアー「Live Circus vol.3」の話題へ。

広瀬:9日のさいたま新都心からもう始まっていますが、今回のツアーはどんな感じなんですか?コンセプトとしては。
柴田:基本的には、このあいだアルバム『ENGRAVED』のツアーが終わったばかりなので、ニュー・アルバム推しではないというのと、レアな曲を売りにしたものをやるつもりではないということ。インタビューでも少し触れてますが、森川がいて、清水がいて、こいつ(田丸)がいてというラインナップでやると、久々にやる曲がスタジオのリハですぐ形になるんです。じゃ、以前のメンバーのときはどうだったかというと、激しく違うということはないんですけど、曲に対する順応性の早さみたいなものは今の方が少し上なので形に成りやすい。久しぶりにやってみるかって曲がライヴまで却下されずに行くという傾向ですかね。
広瀬:今のメンバーでやることのポテンシャルが非常に高いということで。
柴田:田丸はよく知ってるんですけど、このあいだのリハーサルで、“本当にレアな曲をやるとしたら何だろう?”という話になって、いくつか挙げたなかで、今これはないなって削った曲もあって、それは曲に対する順応性とか演奏力ということではなくて、曲の持つ表現や詞にちょっと違和感のあるものは外したんです。ま、田丸と森川君は曲が減ることが嬉しくてしょうがないようで(笑)。
広瀬:リハをやるに当たっては、何曲覚えたんですか田丸君?
田丸:毎回、ツアーでは7〜80曲は候補に挙がるので。
広瀬:7〜80曲!候補にそんなに挙げるというのはどういうことなんですか?
柴田:僕は全部できるんで(笑)。(場内大爆笑)
広瀬:そりゃできるでしょ、リーダーなんですから。
柴田:だから、君達もやってね……って。
広瀬:柴田さんはほとんどの曲を書いてる本人ですからね……本当に覚えてます?
柴田:あ、いや、途中で違う曲になったりしますけど(笑)。でもそこは清水以外なかなかツッコンんでこないですから。清水は“それ、違います”ってギロっと睨む、ライヴ中でも目線でくれるんです。
広瀬:清水君と言えば、最初のレコーディングのときは徹夜で練習してて、やり過ぎて椅子をバラバラに壊したという初々しいエピソードがありましたけど、だいぶ大人になりましたね(笑)。
柴田:あの頃一ヶ月くらいのレコーディング中、清水は一日の睡眠時間毎日2時間くらいだったと思うんですよ。今はできないって言ってましたけど。それに比べると田丸はよく寝ます(笑)。
田丸:寝るのも仕事ですから、プレイに直で影響してしまうので。
土屋:今のツアーってかなり細かく廻ってらっしゃるじゃないですか、ライヴが終わった後ってお疲れだと思うんですけど、皆さんどうされてるんですか?
柴田:ツアーに一回出てしまうと、ほとんど会場と宿泊施設の行き来しかないんですよ。時々、その土地のおいしい物をたべようかとか…ってなりますけど、だいたいお酒を呑む席に行くとだいたいみんな大きな声で喋るので、森川君はそれが喉の負担になるのでまず来ないし、それで、俺も行かない、僕も行かない…となって結局僕と清水とかだけですね。前、新潟で俺と清水だけになって、君(田丸)と森川と……、あれ、君って森川と仲いいんだね?(場内爆笑)
田丸:いや、あの急にそうなっちゃって、あれ、どうされちゃったのかなって。
柴田:だから僕と清水くらいです。うろうろするとすれば。後はみんな大人しくホテルで寝てますね、次の日に差し支えますから。
土屋:いいライヴをすると気分が高まって寝られないからお酒を呑んで騒いで〜みたいな話をよく聞くんですけど、柴田さんからはそういうダークサイドのイメージがなかなか浮かんでこないので。
柴田:例えばどんなこと?
土屋:言えませんよそんなこと(笑)。
増田:昔はあったんですか?
柴田:いやいやいや、増田君もご存知のように、バンドではいつも僕が一番年上じゃないですか。ANTHEMがデヴューしたときなんて大内君は子供みたいな歳で、だからほとんどもう引率の先生みたいな状態ですよ。坂本英三君も真面目そうに見えて結構ブチ切れてるんで最後まで監督しないとダメなんです。だから僕はず〜〜っと英三と同じ部屋にされてて(笑)。

この後、かって柴田さんが在籍したバンド、ブラックホールの話題となる。増田さんがBURRN! JAPANを復刊させてVol.7、8、9と3号作ってきて、色々なミュージシャンにインタビューをした際、ブラックホールの名前が頻繁に出てきたとのことからの話だった。

広瀬:今、廻ってらっしゃるツアー「Live Circus vol.3」は、客席と超接近戦なんですけど、大きな会場でやっているときとの違いとかはどんな感じなんですか? みんなと近くてうれしいぜ!みたいなことを言う人が多いじゃないですか。
柴田:僕の感覚としては、一番思い出すのは86年の「タイトロープ・ツアー」というのがありまして、マイクロバスに機材を積んでメンバーとスタッフ2名くらいで、ウィークディだろうがかまわず、時には1週間に5回ライヴとかもやってたんです。その頃のイメージがありまして、で、今回「Live Circus」をやるにあたって、やったら本当に大変なんだろうなぁっていう思いはあったんです。ANTHEMを再結成してからはクラブチッタさんにしっかりサポートしていただいて、ライヴは6ヶ所くらいを新幹線で廻って、機材はスタッフが会場に運び込んでくれて、セッティングから弦交換やチューニングまでやってくれてるという状況でライヴをさせていただいている。そういう恵まれた環境とはまったく異なる、手作り感満載の超接近戦ツアーを今あえてやってみよう、と挑戦した第一回の「Live Circus」が本当に面白くて。みんなで楽器を持ってマイクロバスで移動して、弦交換も自分でやってドラムもセッティングして、機材も運べる分は自分たちで運んで、もちろんお客さんと接近して。本当に楽しくて。ただ単純にノスタルジーに浸ってるのじゃなくて、ロックバンドの基本ってこういうことだよな…というのがエネルギーになるんです。毎回毎回お客さんが目の前にいて、照明や音響も完璧なものにはほど遠いんですけど、だからこそバンドのポテンシャルが試される。体調が悪ければそれはそのまま出るし、どんなに小さなミストーンもアンプから直接客席に聞こえてしまう。そんな緊張感の中でライヴができるというのは本当に面白いんです。だからアルバム・ツアーとは全く違うエネルギーの発散の仕方ができるという意味で貴重な時間なんですよね。わかりますかね?簡単に言えば初心に帰るっていうことなんですけど、もっと僕の中では深いことなんです。
広瀬:清水君なんかはそういうツアーをやったことがないから新鮮だってことインタビューで言ってますね。
柴田:そうですね、昔、清水が入ったときのアルバムのタイミングはあまりツアーをせずに解散してしまったから彼は経験してないし、再結成以降はクラブチッタさんにフォローしてもらってるから、確かにそうかもしれないですね。
広瀬:今回のインタビューの最後の方で柴田さんと話した中で、このフットワークの軽さがあるんだったら、今の世の中、別に海外進出とかいうことじゃなくて、呼ばれたら機材を持ってパッと行く、それが海外だろうがどこであろうがアリなんじゃないかな、もうそういうステージにANTHEMは来てるんじゃ
ないかなって話がありました。
柴田:たしかに若い頃のようにマスコミを巻き込んで、海外進出!とかってブチ上げるつもりは毛頭ないんです。ANTHEM再結成のテーマは、きちんと日本で活動するということだったのでそこを外すつもりはないんですが、たしかに広瀬君がおっしゃる通り、このメンバーだったら自分のベースとギターと、田丸だったらスティックとペダルくらいあれば、後はまぁどこでも関係ないっていう感じは確かにあるんですよ。あんまり拡大解釈されると困るんですけど、ちゃんとCDを海外でリリースしたいというのは2001年からずっとあって、なかなか達成できないで来たので、そういう方向に向かってきちんとアプローチをしたいなっていうことでは、今色々と動いています。そうすると、もし上手い具合にいって海外できちんとCDが発売されるようになれば、当然ライヴっていう話になってくるんでしょうね、多分。そのときはどこでも行きますよっていうスタンスではあります。
広瀬:海外でやるにあたっては、もちろん日本語の歌詞のままで受け入れられているバンドなりプロジェクトはありますけども、ちゃんとしたロックバンドとしてライヴをやる上では、MCも含めて英語の歌詞を求められますよね、その辺はどうなんですか? 実際、ヴォーカルがグラハム・ボネットで英語の歌詞にしてやったことはあるくらいだから、ANTHEMの音楽と英語の歌詞って親和性は高いですよね。
柴田:この間森川君とその話をしたんです。今後一切英語でやるという話ではなく、英語で何かアイテムを作って出してみたら面白いんじゃない?って言ったら、彼は“やるぜぃ!”って言ってました(笑)。
広瀬:森川さんはパワーヌードで英語で歌ってましたからね。
柴田:パワーヌードのCDは持ってないけどたまに観に行ってましたよ。最後に沼袋のサンクチュアリで観たのが5年くらい前だったかな。
広瀬:森川さん英語のMCできますかね(笑)。
柴田:MCは英語で噛んでも分からないからいいんじゃないですか(笑)。(場内爆笑)
広瀬:むしろ日本語よりもいいかも。あまり多くを語らない方が(笑)。
増田:英語の“ぜぃ!”は何になるのかすごい気になるんですけど。
柴田:森川に聞いておきます。
広瀬:でも、柴田さんにはリッチー・ブラックモアと同じ問題があって。飛行機に乗りたくない!という。
柴田:…………。
増田:あららら。
柴田:僕は一ヶ月くらい前に行きます!
広瀬:船で?(場内爆笑)
増田:デヴィッド・ボウイですか!(笑)
広瀬:え、そうっだったんですか、ボウイ?
増田:初来日のときは船で来ました、演出、ストーリー作りですけどね。
柴田:僕は本気ですから(笑)。ま、それはさておき、真面目な話、目指す方向に何があるのかわからないですけど、色々なことにトライしていきたいというモチベーションが今のラインナップだったらスゴく高くなっているので、色んなことを目標に進みたいと思います。
増田:それくらい不安要素がないってことですよね今のラインナップは。
柴田:なくはないんですけど、リハーサルをやっていても、ライヴをやっていても、誤解を恐れずに言うと本当にストレスがないんです。もちろん、もっとこうしたらとか、こうしたいというのはあるんですけど、あまりネガティヴな感情になることがこの数年間ほとんどなくて。後は色んなミーティングだとかを僕が積極的にこなして、ちょっとでも先を照らすことができればいいのかなって思ってます。後はみんなで進めばいいんじゃないかなと。
土屋:メンバーの皆さんがANTHEMをやるときには、他の活動をするときと向き合い方や気持ちが全く違いますよね。
柴田:そうだとは思うんですけど、土屋君が見てて森川君ってパワーヌードのときと違いますか?
土屋:パワーヌードのときもスゴい一生懸命やってました。
広瀬:森川さん、ツアーが始まるとANTHEMは差し入れが多くて食べ過ぎちゃうって言ってましたよ
柴田:その辺はもう全部田丸に任せてあるんです
田丸:僕が全部担当します(笑)。

さらに新作アルバム『ENGRAVED』の話題となり、作品に対する様々な評価に対し、柴田さんは「作る前から僕の中での評価は決定していて、どういう評価をしているのかは今は言えないですけど、間違いなく言えるのは手を抜いたわけではないということと、最後の最後まで本気でやったということ。少なくともどういう評価を得たとしても、振り返ってあれ以上のことはできなかったという自信を持って出した作品です。間違いなくANTHEMだと思いますし、これだけ長い間バンドをやっていて、それで尚色んな議論が巻き起こるとしたら、それは凄いことだと思うんです。評価については、僕にとってはどうでもいいです、キャリアを積んだから緩くなっていいということでもなく、色んなことを知った分だけ自分たちを表現する方法を得ているわけですから、自分に対してもバンド単位でも細かいことをきちっと追求するという度合いはどんどん高くなるんです。じゃないと飽きちゃうような気がするんです。飽きちゃうとできないですよ」とまとめた。

この後質問タイム、プレゼント・タイムとなり時間を大幅に超えて第一部は終了。続く第二部ではBURRN! JAPAN Vol.9の制作こぼれ話の数々が増田さん、土屋さん、広瀬編集長から披露された。