■荒木飛呂彦 80年代は漫画家としてもイケイケでしたね。ストーリーもどんどん強い敵が出てくるような感じでした。当時の振りきってる感じが音楽にも漫画にもあったと思います。ガンズ・アンド・ローゼズの「Welcome to the Jungle」は、実に細かく色々なアイディアがあって好きでした。プリンスの「When Doves Cry」は、縦に入るリフと地面を張るようなメロディーラインが立体的でセクシーでいいですよね。曲に入る奇声を漫画に取り入れたいと思って、そこから「ジョジョの奇妙な冒険」に擬音が出てきたのかなと思いますね。デイヴィッド・リー・ロスの「California Girls」もイケてる曲ですよね。ハッピーな感じも好きでした。ZZ TOPSの「Legs」は、映像のイメージと音楽がリンクしててピンナップガールとかを思いだすんですよね。油絵みたいに書くノーマン・ロックウェルみたいな書き方なんですけど、ちょっとエロいんですよ。カレンダーによくなってて今でも人気ですよね。そのカレンダーを見ながら曲を聞くといいと思います。
TALKING HEADS「Burning Down the House」 NYニュー・ウェーヴ、パンクではダントツの影響力。デイヴィッド・バーンはマイ・ペースの孤高のアーチスト
FRANKIE GOES TO HOLLYWOOD「Relax」 鋭い感覚を持ったバラバラのグループだったが、トレヴァー・ホーンが見事にまとめ上げた。ちなみにトレヴァー・ホーンのグループ、バグルス『Video Killed the Radio Star』は1981年夏、米MTV開局の第一号ソング。
RUN DMC / AEROSMITH「Walk This Way」 ヒップホップ、ラップが始めて世界的になった。彼等(RUN DMC)も必死に努力する若者であったが、リック・ルービン(レッチリ等のプロデューサー)と出会いこの大ヒットが生まれる。ハードロック(エアロスミス)にかぶせるようにラップするというアイディア。
THE POGUES「A Fairytale of New York」 80年代半ば、地元のケルト音楽でパンクを演った集団。中心のシェイン・マガウアンの終始酔っ払ったライヴはパンク独特のクソ元気と笑いと涙を誘った。パンクには珍しい甘さをもった名曲。
BEASTIE BOYS「Fight for Your Right」 ラップの最初の大ヒット(No.1)はこの白人3人組だった。元々パンクバンドだったが、NY独特の流行に影響を受けヒップホップ転向。彼らが白人層にヒップホップのスラングやファッションを流行らせた。のち、独自のスタイルがブラック・アーティストに逆に影響を与えた。
PHIL COLLINS「Another Day in Paradise」 甘ったるいラブ・ソングは絶対書かない。フィル・コリンズの暗いメッセージ・ソング。年末になると今でもイギリスのラジオでよくかかる。
DON HENLEY「The End of the Innocence」 70年代が全盛時代だったイーグルスの中心、グループの「哀愁」担当、ドン・ヘンリーの80年代最後の大作。さよなら80’s。
■西寺郷太 一番思い出に残ってる曲…思い入れのある曲ばかりですが、敢えて今の想いで選ぶなら「PRINCE AND THE REVOLUTION / RASPBERRY BERET」ですかね。イントロでの咳こむシーンや、ギターを少女から憧れの目で渡される場面など、プリンスの「茶目っ気と崇高さ」が凝縮されている気がします。映画「パープル・レイン」から一年も経っていないのに、ハードなイメージを、ドリーミーでドラッギーなタッチに変えた英断も凄い。演出の天才プリンスの凄みを感じるビデオですね。プリンス亡き後、約10日後に彼が生まれ育ち生涯暮らしたミネアポリスに追悼の旅に出ました。現地のハードロック・カフェの大スクリーンでこのビデオが流れた時は、客と店員たちが目を合わせ同じ寂しい想いを共有しました。80‘s洋楽の魅力を一言でいうと、自分にとっては一種の「宗教」です!いつも迷うと原点である'80sポップに救われてきました