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ブライアン・イーノがヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカヴァー「I'm Set Free」を公開

2016/04/21 23:03掲載
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Brian Eno / The Ship
Brian Eno / The Ship
ブライアン・イーノ(Brian Eno)ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)のカヴァー「I'm Set Free」を公開。試聴可。この曲は新アルバム『The Ship』に収録。イーノによる「I'm Set Free」は、「Fickle Sun」の第3パートとして位置づけられています。曲の名義は「(Fickle Sun (iii) I’m Set Free」。キーボードはイーノの愛弟子ジョン・ホプキンスが務めています

以下、イーノによるコメント

私がザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの存在を知ったきっかけは、ジョン・ピールのラジオ番組だった。ちょうど彼らのファースト・アルバムが発売された時期で、“求めていたものはこれだ!これについてもっと知りたい!”って思った。その頃の私は、人生における重大な局面にいたんだ。画家になるべきか、音楽の道へ進むかを決めかねていた。私はどの楽器も演奏できなかったから、音楽の道を選択する可能性の方が低かった。でもザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの音を聞いた瞬間に“いや、両方できるじゃないか”と思えたんだ。それは私にとって、とても重要な瞬間だったんだ。

この曲はずっと私の心に響いてきたけど、歌詞の意味に向き合うのには25年もかかってしまった。“新たな幻影を見つけるために、わたしは自由になる”。なんて素晴らしいんだろう。幻影からは現実に辿り着かない(これは“真実を追い求める”という西洋の思想)と言っているが、むしろ我々はひとつの実現可能な解答から、より最適な解決方法を見出していくんだ。

結局のところ、その実態がなんであれ、我々が真実を常に追い求めるなんて不可能だと思っている。我々にとって重要なのは、実用的で知的なツールと発明を持っているかどうかだ。ユヴァル・ノア・ハラーリは、著作の『Sapiens』の中で、大規模な人間社会は、共通の“筋書き”のために一体化し、実現に向け動くことができると述べている。民主主義も、宗教も、お金も、その“筋書き”となりえる。この考えが“新たな幻影を見つけるために、わたしは自由になる”という部分にしっくりと当てはまるんだ。手招きしながら我こそが「正しい道」を知っていると主張している人々の存在は、今我々に必要ない、と私は思うよ。

ー Brian Eno




アルバムは海外で4月29日、日本で4月27日に発売。日本盤にはボーナストラック1曲を収録。リリース元は海外はWarp Records、日本はBeat Records。

アルバム発表は2012年作『Lux』以来。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)の「I'm Set Free」のカヴァーも収録。

以下は以前に公開された音源

「The Ship」
この楽曲は、もともとストックホルムで行ったマルチ・チャンネル・サウンド・インスタレーション用にアンビエント曲として作られていた。だが制作中に、自分自身が、本楽曲のルート音である低いCコードで歌えることを発見した。年を取って得るものも、少しはあるということだ。その時点から、この曲は、他とは異なる種類の「歌」へと変貌していった。ヴォーカルが、あらゆるリズムの枠組みから解き放たれ自由に漂う、これまで私が作ったことのないタイプの曲となった。
- ブライアン・イーノ




以下、インフォメーションより

人類というのは慢心と偏執的な恐怖心(パラノイア)との間を行きつ戻りつするものらしい:我々の増加し続けるパワーから生じるうぬぼれと、我々は常に、そしてますます脅威にさらされているというパラノイアとは対照的だ。得意の絶頂にありながら、我々は再びそこから立ち戻らなければならないと悟らされるわけだ…自分たちに値する以上の、あるいは擁護しきれないほど多大な力を手にしていることは我々も承知しているし、だからこそ不安になってしまう。どこかの誰か、そして何かが我々の手からすべてを奪い去ろうとしている:裕福な人々の抱く恐怖とはそういうものだ。パラノイアは防御姿勢に繋がるものだし、そうやって我々はみんな、遂にはタコツボにおのおの立てこもりながら泥地越しにお互いと向き合い対抗し合うことになる。
- ブライアン・イーノ

ブライアン・イーノが、グラミー賞にもノミネートされた前作『LUX』(以来となるソロ・アルバム『The Ship』のリリースを発表した。本作は、イーノのベリー・ベストであると同時に、過去の偉大な傑作たちのどれとも似つかない、イーノのクリエイティヴなキャリアにおける異なるサイクルの始まりを伝える意欲作となっている。また、ルー・リード作曲のザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド曲「I’m Set Free」をイーノがカバーしていることにも、大きな注目が集まるだろう。ヴェルヴェッツは、美術学生時代に行っていた初期の音楽的探究のインスピレーション源としてイーノが名前をあげたバンドとしても知られている。

60年代後期に書かれたルー・リードの「I’m Set Free」は、書かれた当時以上に現在の方がより意義を持つように思える曲だ。ユヴァル・ノア・ハラーリ(イスラエル人歴史学者/著述家)が書いた本『SAPIENS:A Brief History of Humankind』を読んだことのある者なら誰しも、"新たな幻影を見つけるために私は自由になる(I’m set free to find a new illusion)" というあの曲の一節の持つ物静かな皮肉に思い当たるのではないかと思う…そしてそこにある、自らのストーリーから抜け出したからといって我々は何も<真実>ーーそれがどんな真実であれーーに足を踏み入れるわけではなく、また別のストーリーの中に入っていくものなのだ、との言外の含みも理解することだろう。

ブライアン・イーノ最新アルバム『The Ship』は、4月27日(水)に日本先行でリリースされる。ボーナストラック「Away」が追加収録される国内盤CDは、SHM-CDを採用し、ブライアン・イーノによるアートプリント4枚が封入された特殊パッケージ仕様の初回生産限定コレクターズ・エディション、通常盤の2フォーマットとなり、いずれもブックレットと解説書が封入される。

http://www.beatink.com/Labels/Warp-Records/Brian-Eno/BRC-505/
●『The Ship』

☆国内盤コレクターズ・エディション:
BRC-505CE | ¥2,750 (+tax)
- 特殊豪華パッケージ
- アートプリント4枚封入
- 8ページブックレット付
- SHM-CD
- ボーナストラック1曲収録

☆国内通常盤:
BRC-505 | ¥2,200 (+tax)
- 紙ジャケット仕様
- 8ページブックレット付
- ボーナストラック1曲収録

[TRACKLIST]
01. The Ship
02. Fickle Sun
(i) Fickle Sun
(ii) The Hour Is Thin
(iii) I'm Set Free
03. Away (Bonus Track for Japan)