坂本龍一のがん療養からの復帰作は山田洋次監督映画。最新作『母と暮せば』の音楽を担当します。
『母と暮せば』は、長崎で助産婦として暮らす母のもとへ、3年前に原爆で亡くしたはずの息子がひょっこり現れる、やさしく泣けるファンタジー。母・伸子役を吉永小百合、息子の浩二役を二宮和也、浩二の恋人・町子役を黒木華が務めます
以前より、坂本龍一と親交があった吉永小百合は、本作の企画が立ち上がって間もない頃に山田監督とともに坂本のコンサートに訪れ、そこで吉永が2人を引き合わせたことをきっかけに、今回の企画が実現しています。坂本は山田監督の「男はつらいよ」シリーズの大ファンとのこと。
映画は2015年12月12日(土)より全国ロードショー
<坂本龍一コメント>
『寅さん』映画は、歳をとるほどに味わい深く感じられます。
最近などはタイトルバックの江戸川が見えるだけで、涙目になってしまいます。
もう帰ってくることのない昭和の日本への郷愁でしょうか。
小津安二郎や成瀬巳喜男の映画にも共通のものを感じます。
その山田洋次監督から、次回作の音楽を頼まれました。しかも吉永小百合さんが同席しています。
この二人に何かを頼まれて断れる日本人がいるでしょうか。
そして内容は井上ひさしさんの『父と暮せば』へのオマージュとして呼応するように、長崎が舞台となっています。
核のない世界を望んでいるぼくとしては、これはやるしかありません。
このような大作が、病気からの復帰後第一弾の仕事なのですから、ぼくは本当に幸せ者です。
<坂本龍一コメント(公式サイトsitesakamoto.com掲載版)>
昨年、咽頭癌に罹患していることが分かり、全ての仕事をキャンセルして治療に専念することにしましたので、たくさんの方を驚かせてしまいました。また、私がゲストディレクターだったSIAF(札幌国際芸術祭)をはじめ、予定していた仕事ができず、多くの関係者のみなさまにご迷惑をおかけしました。ここに再びお詫び申し上げます。友人や皆さんからの励ましが、こんなに心に響いたことはありませんでした。ありがとうございました。実は自分が一番驚いたのです。もう20年以上前から健康には大きな関心を抱いてきて、マクロビオティックの考え方は体に染み込んでいましたし、なるべく無農薬有機食品を摂るように心がけてきましたので健康には自信があり、喉に違和感を感じていても、万が一にもそれが癌だとは疑いもしなかったのです。一年が過ぎ、おかげさまで今は体調もよくなり、仕事に復帰しようと思います。当分は家でできる作曲の仕事を優先するつもりで、復帰後第一弾には、日本映画の大御所である山田洋次監督の「母と暮せば」の音楽を担当することになっています。そして当分ライブは控えるつもりです。 陳腐に聞こえるかもしれませんが、病気は天=自然から与えられた気づきへの徴だと思い、感謝しています。また病気以前の生活に戻ってしまわないよう、与えられた日々を大事にしていきたいと思っております。
坂本龍一 2015年8月3日
https://www.sitesakamoto.com/<山田洋次監督コメント>
『母と暮せば』の企画を発想したとき先ずぼくの念頭にあったのは、
主役は吉永小百合、音楽は坂本龍一、このお二人しか考えられないということでした。
最初に吉永さんの承諾を得てそのあと、彼女と二人でコンサート中の坂本龍一さんの
楽屋に押しかけ口づてで企画を話しました。
彼の口から快い承諾の返事を聞いたときは本当に嬉しかったものです。
坂本龍一さんと組んで仕事をするのは長年の夢でした。
ぼくの頭の中にはすでに坂本龍一の美しい音楽が鳴り始めています。
●映画情報
『母と暮せば』
吉永小百合 二宮和也
黒木華 浅野忠信 加藤健一
広岡由里子 本田望結 小林稔侍 辻萬長 橋爪功
監督/山田洋次
脚本/山田洋次・平松恵美子
製作/「母と暮せば」製作委員会 制作・配給/松竹株式会社
(C)2015「母と暮せば」製作委員会
公式サイト:
http://hahatokuraseba.jp/2015年12月12日(土)より全国ロードショー