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音楽におけるノイズという現象を考察する書籍『ノイズ/ミュージック - 歴史・方法・思想:ルッソロからゼロ年代まで』が発売

2014/04/24 09:19掲載
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ノイズ/ミュージック - 歴史・方法・思想:ルッソロからゼロ年代まで
ノイズ/ミュージック - 歴史・方法・思想:ルッソロからゼロ年代まで
20世紀初頭の実験音楽から日本のノイズ・ミュージックや今日の先端的エレクトロニカまで。音楽におけるノイズという現象を考察する書籍『ノイズ/ミュージック - 歴史・方法・思想:ルッソロからゼロ年代まで』(著:ポール・ヘガティ)が、みすず書房から4月26日発売。
●『ノイズ/ミュージック - 歴史・方法・思想:ルッソロからゼロ年代まで』
ポール・ヘガティ (著), 若尾 裕 (翻訳), 嶋田 久美 (翻訳)

『ノイズ/ミュージック』は、音楽におけるノイズという現象を考察する。
20世紀初頭の実験音楽から日本のノイズ・ミュージックや今日の先端的エレクトロニカまで。
本書では様々なサウンドを、文化的・歴史的コンテクストに位置づけ、
芸術論、音楽学、現代思想のタームで分析してみせる。ヘガティは、ノイズはサウンドの判断基準だと論ずる。
ノイズは何をもって音楽とされるのか。ノイズへの多様な考えは、アヴァンギャルドに対するそれと似ている。

ここではまた、優れた歴史的概観が提供される。著者のノイズ/ミュージックへの視点では、1970年代半ば以降、
重要な存在が現れる。インダストリアル・ミュージック、パンク、フリージャズ。あるいは、メルツバウのような、より純度の高いノイズ表現。

扱われるのは、K・シュヴィッタースのような芸術家、そして、J・ケージ、K・シュトックハウゼンら作曲家に、
O・コールマン、ジミ・ヘン、ジャーマン・プログレ、PiL、スロッビング・グリッスル、ボアダムスから、D・ベイリー、
J・ゾーン、高柳昌行、灰野敬二、秋田昌美、非常階段、大友良英まで、実に多くの表現者。
そうした人びとについて、地続きの手法で議論が展開される。

他方、バタイユ、アドルノ、ドゥルーズ、ボードリヤールら思想家の思考を巧みに援用しつつ論じる。
ノイズを探求し、実験的音楽を考える人への恰好の手引書となっている。音楽を強く味わう者、探究する者にとって
ノイズの考察は、最も深遠なテーマであると言えよう。

★著者について
ポール・ヘガティ

1967年生まれ。アイルランドのユニヴァーシティ・カレッジ・コーク(University College Cork)准教授。音楽活動では、自身のノイズ・バンドを持ち、サウンド・アートやインスタレーション作品を発表。また、実験音楽のレーベルを運営している。大学では哲学と視覚芸術・視覚文化を担当。バタイユとボードリヤールを専門とし、その分野での著書もある。Georges Bataille: Core Cultural Theorist(SAGE, 2000), Jean Baudrillard: Live Theory(Continuum, 2004)。音楽書ではプログレッシヴ・ロックについての著書Beyond and Before: Progressive Rock Since the 1960's(Continuum, 2011, Martin Halliwellとの共著)がある。