キング・クリムゾン(King Crimson) 「Fracture」の演奏を22年かけて習得し、本にまとめたギタリストが話題に。
ロバート・フリップ(Robert Fripp) は最近のトーク・ビデオの中でこのギタリストについて語っています。
このギタリストの名前はアンソニー・ガローネ。
ロバート・フリップがかつて「演奏不可能」とも表現した「Fracture」は1974年アルバム『Starless And Bible Black(邦題:暗黒の世界)』に収録されている11分間のインストゥルメンタルの常動曲(moto perpetuo/常に一定した音符の流れが特徴的な、急速なテンポによる楽曲)。
ガローネによると、フリップの「moto perputuo」は「右手の弦を飛ばす激しい動きと、世界中で一握りのギタリストしか持っていないピッキング能力を必要とする」という。
毎日6時間以上ギターを練習していた16歳のガローネは、父親から「“Fracture”を覚えろ」と言われました。他のテクニカルな曲は弾けるのに、なぜこの曲は弾けないのか理解できなかったと彼は言います。
ガローネは何年にもわたって努力を続けますが上手くいかない日々が続きました。が、2015年にメキシコの田舎で行われた、フリップによる1週間のギター教室に参加した時、彼は突破口を見つけます。
ガローネは、フリップの右手のテクニックを学び、「Fracture」を正しく演奏するためには、「ギターの弾き方、座り方、立ち方、呼吸法を学び直す」必要があることに気づきました。
ガローネは、数週間にわたって1日2時間、1本の弦を弾き続けるという楽器の再教育まで行いました。2016年には、ようやく「Fracture」を演奏できるようになり、その様子をYouTubeで「Failure to Fracture」というシリーズで公開しました。
ガローネのギターがうまくいったかどうかについて、フリップ自身は最近のビデオでコメントしています。
「アンソニーは22年間、“Fracture”の演奏に失敗してきましたが、実際にはかなり良い仕事をしています。アンソニーの失敗は、私の中では成功といってもいいほどよくできています」
彼の本『Failure to Fracture』は「Fracture」のエレクトリック・ギター・パートをマスターするためのガローネの22年の旅を記録したもの。海外で5月18日に発売されます
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