新型コロナウイルスの予防策とシャットダウンによって都市部がかなり静かになった影響で、鳥の歌が変化しているという。研究者たちは、都市部の騒音レベルが下がり、鳥たちが遠くに声を届けるために高い周波数で歌う必要がなくなったため、昔の歌が戻ってきたと報告しています。
カリフォルニア工科大学などの合同研究チームは、長年にわたってベイエリアでミヤマシトド(スズメ目ホオジロ科の鳥/White-crowned Sparrow)の鳴き声を観察してきました。彼らのこれまで研究で、都市の騒音レベル(主に交通騒音やエアコンの低周波騒音)の増加が、鳥たちが遠くに声を届けるために、より大きな声で甲高い歌を歌い始める原因になっていることを明らかにしています。
研究チームは、2015年と2016年の4月から6月までの鳥の鳴き声のデータと、2020年の4月から5月までの同じ場所で撮影された鳥の鳴き声のデータを比較。その結果、2020年の方がはるかにきれいで、3分の1ほど静かだったと判明。また低い振幅と周波数で歌うようになっており、その声の質は高まっていたという。これらの変更があっても、鳴き声は、シャットダウン前に比べて2倍の距離から聞こえるようになっています。
カリフォルニア工科大学の行動生態学者で、今回の研究に取り組んだジェニー・フィリップスは「私たちの分析では、シャットダウンによって50年間の騒音公害が実質的になくなったことを示しています」と述べ、今の鳴き声は「簡単に言うと、曲は“よりセクシー”になった」と言っています