いまでこそ大人の音楽として親しまれるジャズは、大正末期から戦前・戦中に若者を中心に一大センセーションを巻き起こした。その熱狂の理由は何だったのか。書籍『近代日本のジャズセンセーション』(著:青木 学)が青弓社から8月25日発売。自由でモダンな空気を当時の人々にもたらし、多様な文化に多大な影響を与えたジャズの受容のインパクトに光を当てる
■『近代日本のジャズセンセーション 』
青木 学(著)
A5判 340ページ 並製
定価 3000円+税
ISBN978-4-7872-7433-5 C0073
書店発売予定日 2020年08月25日
<内容>
いまでこそ大人の音楽として親しまれるジャズは、大正末期から戦前・戦中に若者を中心に一大センセーションを巻き起こした。その熱狂の理由は何だったのか。
外国人によるショーや音楽会、外国映画など様々な場で人々はジャズと出合い、軽快で特徴があるリズムのとりこになった。識者やマスメディアからは「低俗」と評価されたジャズだが、ダンスホール、レビュー、演芸などの大衆文化に溶け込み、さらにレコードやラジオなどのメディアを通じて自由でモダンな空気、新鮮な響きや刺激を人々に与え続けた。
そして、戦時下には戦局の悪化とともに自由主義の象徴として排撃の対象になったが、敗戦をへて、ロックミュージックの登場によってジャズは「大人の音楽」に位置づけられていった。
演奏者や歌い手、楽曲を中心に語られたこれまでのジャズ史からは距離を取り、「人々はどう受け入れたのか」「なぜ熱狂したのか」という視点からをジャズ受容を問い直して、当時の人々にとってジャズがいかに魅力的な音楽だったかを照らし出す。
<目次>
第1章 アメリカからのジャズ流入
第2章 社交ダンスとジャズ
第3章 楽器からみるジャズ
第4章 一九二〇年代の娯楽文化とジャズ
第5章 ジャズの定着――モダンの象徴としてのジャズ
第6章 一九三〇年代の娯楽文化とジャズ
第7章 戦時下のジャズ――スイングの隆盛
終 章 戦後の展開と日本におけるジャズ受容
<著者プロフィル>
青木 学(アオキ マナブ)
1984年、埼玉県生まれ。2016年、日本大学大学院文学研究科日本史専攻博士後期課程修了。博士(文学)。現在、日本大学文理学部史学科助手。専攻は日本史、文化史、音楽史。論文に「学生新聞にみるジャズの認知について」(「研究紀要」第87号)、「大正期における「ジャズ」事情――なぜ低級と呼ばれたか」(「史叢」第91号)など。
上記内容は本書刊行時のものです。