2010年に亡くなった今 敏監督(『PERFECT BLUE』『千年女優』『東京ゴッドファーザーズ』『パプリカ』『妄想代理人』ほか)を特集した『ユリイカ2020年8月号 特集=今 敏の世界』が7月28日発売。〈今 敏〉とはなんだったのか、没後10年のいま問いなおす
■『ユリイカ2020年8月号 特集=今 敏の世界』
価格:本体1700円+税
発売日:2020年7月28日
ISBN:978-4-7917-0388-3
<内容>
〈今 敏〉とはなんだったのか
今 敏が不在となった2010年代はしかし、映画においてこそアニメーションの時代となったと言っても過言ではない。そうした時代に、映像の論理をむき出しにした今 敏のアニメーションはどのように見られるのか、あるいは今 敏というイマージュはどのように語られてきたのか、マンガ家としてのキャリアをはじめアニメーション作品の代表作に至るまで、没後10年のいま問いなおす。
目次*
特集*今 敏の世界――『PERFECT BLUE』『千年女優』『東京ゴッドファーザーズ』『パプリカ』…その先の10年
■対談〈1〉
アニメートする今 敏/ 井上俊之 小西賢一 司会・構成=高瀬康司
■インタビュー
継承と手習い――工房主としての今 敏/ 板津匡覧 聞き手=高瀬康司
■彼の想いで
『千年女優』の思い出/ 滝沢聖峰
絵の秘密/ 沖浦啓之
今 敏さん/ 松尾 衡
今さん、本当にずるいよ/ 三間雅文
■アニメーションの息づく画
虚構とまじりあう現実/ 中田健太郎
今 敏の妄想機械――個人に作用する集団の夢/ 石岡良治
明晰な自意識――今 敏のアニメーション制作術/ 藤津亮太
マンガ家・今 敏/ 鈴木淳也
■メールインタビュー〈2〉
ガムランの古武術/ 平沢 進 聞き手=編集部
■今 敏と書く/ 描く
〈夢・現実・記憶〉を追って/ 柴田勝家
「アイドル未麻」と「キャラクター」――それをみるわたしたち/ 藍嘉比沙耶
■今 敏というファンタズム
境界性のミーム、あるいは輪郭と旋律はいかに抵抗したか/ 斎藤 環
カンティレヴァーされたスローモーション――今 敏の技法/ 荒川 徹
夢見る生命にむけて――今 敏のアニメーションの原理について/ 上尾真道
夢を取り戻すことを夢見て――今 敏の分身(ダブル)/ 木澤佐登志
腐(くさ)すヒロインたち――《パプリカ》の分身、《パーフェクトブルー》の転身、《千年女優》の純真/ 春木晶子
■対談〈2〉
今 敏の本棚/ 丸山正雄 今 京子
■夢の代理人
今 敏を追いかけている。/ 末満健一
『東京ゴッドファーザーズ』2021舞台化、演出に向けて/ 藤田俊太郎
■KON'S CHRONICLE
人体を模型(モデル)化するアニメ――『パーフェクトブルー』の箱庭空間と九〇年代以降のキャラ表現/ 松下哲也
倒錯の愛のロンド――今 敏『千年女優』試論/ 北村匡平
アニメーションはもう少しでしゃべり出す――『東京ゴッドファーザーズ』に表れる声と身体の逸脱/ 細馬宏通
虚実混交をアニメ的に描くこと――『妄想代理人』における物語的な虚実とアニメ存在論的な虚実/ 小松祐美
オヤスミ/ 黒嵜 想
■メールインタビュー〈2〉
幸福路の今 敏/ 宋欣穎 聞き手=編集部
■語彙としての今 敏
今 敏における間メディア的な執着/ トーマス・ラマール 訳=田村正資
パーフェクト・フレーム/ イリヤ・クブシノブ
■アニメーションの彼方
断絶と連続、今 敏の時代と深夜アニメの二〇一〇年代――二一世紀アニメ史の解釈学に向けて/ 川口茂雄
かつて世界が私たちに応えてくれたときのこと/ 土居伸彰
今 敏研究の現在とこれから/ 宮本裕子
海外のアニメ研究と日本/ クッキ・チュー
■千年の今 敏
今 敏主要映像作品解題/ 宮本裕子
■連載
私の平成史 7/ 中村 稔
■詩
浸みゆく光、藍色に染まる鳥の夢/ 奥間埜乃
■今月の作品
菊谷浩至・夜野なみだ・行待文哉・川﨑ありさ・長谷川 航・千種創一/ 選=和合亮一
■われ発見せり
「哲学」という迂回路/ 山野弘樹
表紙イラストレーション cover iIlustration = 今 敏©KON'STONE