世界のレコード産業を代表する組織であるIFPI(国際レコード産業連盟)は、2019年の全世界の音楽売上をまとめた「グローバル・ミュージック・レポート」を発表。
IFPIによると、2019年の全世界での音楽市場の売上は前年比8.2%増の202億ドル(約2兆1500億円)。2013年に143億ドルで底を打った業界が、全世界の総売上が203億ドルだった2003年の水準にほぼ戻っています。
成長を牽引したのはストリーミングで、売上は23%増の114億ドル(約1兆2110億円)。全世界の音楽売上全体の56%を占めています。
IFPIの報告によると、Spotify、Amazon、Apple Musicなどのストリーミングサービスへの依存度が高まっているレコード会社各社の2019年の売上は24%増加し、有料ストリーミングサービスの売上は、音楽売上全体のシェア42%を占めています。現在、世界の有料ストリーミングサービスのユーザー数は3億4100万人で、2018年から34%増加しています。
ストリーミングを除いたデジタル音楽の収益は、複数の市場でのダウンロード販売の急激な減少を背景に15%減少しました。この形式は、現在、世界中のすべての音楽売上の5.9%を占めています。
CDとレコードなどのフィジカルの売上は44億ドル(約4600億円)で、世界市場全体の約5分の1 (22%) を占めています。前年比では減少(5.3%)しているものの、アメリカ (3.2%増) やスペイン (7.2%増)など一部の国ではフィジカルの売上が増加しています。レコードの売上は5%増加し、現在ではフィジカルの売上の16%以上を占めています。
音楽売上を市場別に見ると、米国が10.5%増と引き続き首位を維持しています。日本はフィジカルの売上が4.8%減少したことで年間成長率が0.9%減少したものの、2位を維持しています。
市場の年間成長率トップ10は以下のとおり
米国(+10.5%)
日本(-0.9%)
イギリス(+7.2%)
ドイツ(+5.1%)
フランス(+3.9%)
韓国(+8.2%)
中国(+16.0%)
カナダ(+8.1%)
オーストラリア(+7.1%)
ブラジル(+13.1%)
音楽販売の世界第2位の地域であるヨーロッパは、2018年はほぼ横ばいでしたが、2019年は7.2%増加しています。
アジアは、日本の音楽市場が減速した結果、成長率前年比3.4%増にとどまっています。日本を除くアジア地域では、有料ストリーミングサービスの急速な普及に後押しされ、2桁台の成長 (+11.5%) を記録しています。