Hal Willner - Photo by Clarence Williams/Getty Images
ルー・リードやマリアンヌ・フェイスフルらのアルバムを手掛けたプロデューサーで、またジャンルを超えた顔ぶれのミュージシャンを集めたトリビュート・アルバムの制作や、米TV番組『サタデー・ナイト・ライブ』の音楽プロデュースでも知られる
ハル・ウィルナー(Hal Willner)が死去。死因は公式に発表されていませんが、米サイトVarietyは新型コロナウイルスに関連する合併症で亡くなったと伝えており、ウィルナーに近い関係者は米ローリングストーン誌にウィルナーが新型コロナウイルスと一致する症状に苦しんでいたと話しています。ウィルナーは64歳でした。
ウィルナーは米フィラデルフィア生まれ。1974年にニューヨークに行き、プロデューサーのジョエル・ドーンの下で働き始める。
1981年、デボラ・ハリー、ビル・フリゼール、カーラ・ブレイらが参加したニーノ・ロータのトリビュート・アルバム『Amarcord Nino Rota』をプロデュース。豪華な参加ミュージシャンと、ジャズ、クラシック、ポップスまで多様なスタイルによる演奏で、高い評価を受ける。以降、チャールズ・ミンガス、セロニアス・モンク、ハロルド・アーレン、ディズニー映画など、さまざまなトリビュート・アルバムを多数手掛ける。主な参加アーティストはキース・リチャーズ、スティング、トム・ウェイツ、リンゴ・スター、エルヴィス・コステロ、イギー・ポップ、ドクター・ジョン、ジョン・ゾーン、ビル・フリゼール、カーラ・ブレイ、スザンヌ・ヴェガ、チャーリー・ヘイデン、サン・ラ、トッド・ラングレンなど。
最近では、ウィルナーはマーク・ボランとT・レックスを称えたトリビュートアルバムを制作。このアルバムには、U2、ジョーン・ジェット、ニック・ケイヴらが参加していると伝えられていますが、アルバムはまだリリースされていません。
またウィルナーは、ルー・リード、マリアンヌ・フェイスフル、ビル・フリゼール、ローリー・アンダーソン、ルシンダ・ウィリアムズなどのアルバムをプロデュース。ウィルナーとルー・リードは特に親密で、『Ecstasy』『The Raven』、メタリカとのコラボ作『Lulu』をプロデュースし、またウィルナーはリードの死後にリリースされたリードのソロアルバムのボックスセットを監督した。「僕たちは親友のようなものでした」とウィルナーは2017年に話していた。
ウィルナーはまたジェフ・バックリィのキャリアにおいて重要な役割を果たした。父ティム・バックリィのトリビュート・コンサート(1991年・ニューヨーク)に息子のジェフを招待、若いジェフをニューヨークの音楽コミュニティに紹介し、事実上彼のキャリアをスタートさせた。
ウィルナーは1981年から米TV番組『サタデー・ナイト・ライブ』の音楽プロデューサーを務めた。
<手掛けた作品>
以下
wikipediaより
■トリビュート・アルバム
『アマルコルド - ニーノ・ロータ・メモリアル・アルバム』 - Amarcord Nino Rota: Interpretations of Nino Rota's Music From the Films of Federico Fellini (1981年)
『セロニアス・モンクに捧ぐ』 - That's The Way I Feel Now: A Tribute to Thelonious Monk (1984年)
『星空に迷い込んだ男 - クルト・ワイルの世界』 - Lost in the Stars: The Music of Kurt Weill (1985年)
『眠らないで - 不朽のディズニー名作映画音楽』 - Stay Awake: Interpretations of Vintage Disney Films (1988年)
『メディテイションズ・オン・ミンガス - ナイトメア』 - Weird Nightmare: Meditations on Mingus (1992年)
Bird Up! The Charlie Parker Remix Project (1993年)
September Songs: The Music of Kurt Weill (1995年)
Closed On Account Of Rabies: Poems And Tales Of Edgar Allan Poe (1997年)
『ストーミー・ウェザー - ハロルド・アーレン作品集』 - Stormy Weather: The Music of Harold Arlen (2005年)
Rogue's Gallery: Pirate Ballads, Sea Songs, and Chanteys (2006年)
The Harry Smith Project: Anthology of American Folk Music Revisited (2006年)
Son of Rogues Gallery: Pirate Ballads, Sea Songs & Chanteys (2013年)
なお初期のレコードはほぼ廃盤となっており、入手困難な状況になっている。
■プロデュース作品
マリアンヌ・フェイスフル : 『ストレンジ・ウェザー』 - Strange Weather (1987年)
ギャヴィン・フライデー : 『ギャヴィン・フライデーの世界』 - Each Man Kills the Thing He Loves (1989年)
マリアンヌ・フェイスフル : 『ブレイジング・アウェイ』 - Blazing Away (1990年)
アレン・ギンズバーグ : Lion for Real (1990年)
ウィリアム・バロウズ : Dead City Radio (1990年)
デイヴィッド・サンボーン : 『アナザー・ハンド』 - Another Hand (1991年)
三宅純 : 『星ノ玉ノ緒』 (1993年)
ウィリアム・バロウズ : Spare Ass Annie and Other Tales (1996年)
ボブ・ホルマン : In with the Out Crowd (1998年)
ハル・ウィルナー : Whoops, I'm an Indian (1998年)
ルー・リード : 『エクスタシー』 - Ecstasy (2000年)
ローリー・アンダーソン : Life on a String (2001年)
ルー・リード : 『ザ・レイヴン』 - The Raven (2003年)
ビル・フリゼール : 『アンスピーカブル』 - Unspeakable (2004年)
レナード・コーエン : 『アイム・ユア・マン』 - I'm Your Man (2006年)
ルシンダ・ウィリアムズ : West (2007年)
ルー・リード & メタリカ : 『ルル』 - Lulu (2011年)