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未来技術遺産にヤマハの『電子オルガン』『デジタルシンセサイザー』『FM音源LSI』が登録

2019/09/03 15:26掲載
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ヤマハ『電子オルガンD-1』『デジタルシンセサイザー DX7』『FM音源LSI YM3526、YMU757』
ヤマハ『電子オルガンD-1』『デジタルシンセサイザー DX7』『FM音源LSI YM3526、YMU757』
ヤマハは、国立科学博物館が登録を行っている重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)に、同社が開発した『電子オルガンD-1』『デジタルシンセサイザー DX7』『FM音源LSI YM3526、YMU757』の3件が登録されたと発表。同社によると、楽器およびLSIが重要科学技術史資料として登録されるのは初めて。

以下プレスリリースより

独立行政法人 国立科学博物館が登録を行っている重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)に、当社が開発した『電子オルガンD-1』、『デジタルシンセサイザー DX7』、『FM音源LSI YM3526、YMU757』の3件が登録されました。

当社から重要科学技術史資料に登録されるのは初めてであると同時に、楽器およびLSIが重要科学技術史資料として登録されるのは初となります。

<重要科学技術史資料として登録された資料>

■電子オルガン D-1(エレクトーン)

日本の電子楽器の技術と音楽教育の原点となった電子オルガン
初出年:1959年、製作年:1959年


『D-1』


■デジタルシンセサイザー DX7
表現力豊かなFM音源を搭載し音楽シーンを変えたデジタルシンセサイザー
初出年:1983年、製作年:1983年


『DX7』


■FM音源LSI YM3526、YMU757
マルチメディアや携帯電話に高音質なメロディー音をもたらしたFM音源チップ
初出年:1984年、製作年:1986年(YM3526)
初出年:1999年、製作年:2000年(YMU757)


『YM3526』


『YMU757』

※初出年は製作開始された年、製作年は当社で保存している資料が製作された年を示しています。

<ヤマハ株式会社 執行役 IMC事業本部長 兼 技術本部長 藤井茂樹 のコメント>
「当社が開発してきた製品が評価され、重要科学技術史資料として登録されたことは、大変名誉なことでうれしく思います。楽器に当社で初めてエレクトロニクスの技術を応用したエレクトーン『D-1』、デジタル化を果たしたシンセサイザー『DX7』は、技術的なターニングポイントとなっただけでなく、音楽教育や音楽の楽しみ方を変えるきっかけになったことが評価されたものと認識しています。さらに『FM音源LSI』が登録されたことは、音楽の楽しみ方を広げ、楽器に加えてPCや携帯電話などを通じて多くの方々に新たな価値提供ができたことが評価された、大変意義深いものと捉えています。

当社は、『なくてはならない、個性輝く企業』を目指し、今後も“技術×感性”で新たな価値を提案してまいります。」

<電子オルガン D-1(エレクトーン)について>
『D-1』は、1959年に当社が初めて発売した電子オルガン(鍵盤楽器)です。
安定した音程と低消費電力化を実現するため、当時の電子回路は真空管が主流だったのに対し、メインアンプ以外を全てトランジスタで構成していました。上鍵盤、下鍵盤、足鍵盤という3段構成の鍵盤に、エクスプレッションペダル、膝で操作するニーレバーを装備しており、トーンレバーでさまざまな音色をミックスでき、打楽器音もリアルタイムに演奏できるなど、一台でさまざまなアンサンブル演奏を可能にした画期的な電子楽器でした。エレクトーンの第一号機であると同時に、音楽普及の原点となった機種です。

<デジタルシンセサイザー DX7について>
『DX7』は、1983年に当社が発売したデジタルシンセサイザー(鍵盤楽器)です。
FM音源の採用により、現在の音楽シーンでも引き継がれているエレピサウンドやシンセベースサウンドなどの多彩なサウンドに加え、カートリッジによる音色管理やLCDディスプレイ、MIDI端子の装備など、当時の最先端技術をすべてつぎ込んだとも言えるDX7は、プロ、アマチュアの壁を越えてライブやレコーディングで使われる世界的な大ヒット商品となりました。

<FM音源LSI YM3526、YMU757について>
『YM3526(OPL)』は、1984年に当社が発表したFM音源のLSI(大規模集積回路)です。
当時普及が始まったキャプテンシステムや文字多重放送用機器に要求される仕様を満たしたLSIで、PCやゲーム機にも高音質な音源が普及していくきっかけとなりました。

『YMU757(MA-1)』は、1999年に当社が発表した携帯電話用のLSIです。
携帯電話の着信メロディー音をFM音源により大幅に高音質化、多機能化させる音源LSIとして開発したもので、スピーカー用アンプなどの周辺回路を含めて1チップに収めたのに加え、データの開発に必要なオーサリングツールまで提供したことにより、携帯電話のマルチメディア化を進めるきっかけとなりました。

<重要科学技術史資料について>
重要科学技術史資料(未来技術遺産)とは、科学技術を担ってきた先人たちの経験を次世代に継承していくことを目的として国立科学博物館が実施している登録制度です。国立科学博物館では、「科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ科学技術史資料」および「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えた科学技術史資料」の保存と活用を図るために調査研究活動が行われています。

国立科学博物館 産業技術史資料情報センター「重要科学技術史資料」
http://sts.kahaku.go.jp/material/

<当社の重要科学技術史資料の保存・展示について>
今回登録された重要科学技術史資料は、当社本社(静岡県浜松市)構内にある企業ミュージアム「イノベーションロード」で保存しています。「イノベーションロード」では、創業時のオルガンやピアノから、『エレクトーンD-1』、『デジタルシンセサイザーDX7』などのさまざまな製品やサービス、現在から未来へと続く当社の挑戦の軌跡を展示しています。『FM音源LSI YM3526、YMU757』についても近日中に展示する予定です。

ヤマハ株式会社 企業ミュージアム「イノベーションロード」(入館料無料、予約制)
https://www.yamaha.com/ja/about/innovation/