
AI-Generated Psych-Rock Band The Velvet Sundown
【update:2025/07/06 22:26】
いろいろありましたが、この「The Velvet Sundown」というバンドは、自身をAI生成バンドであることを正式に認めています。Spotifyのプロフィールを更新し、そこからリンクされているバンドのXアカウントの声明でも、この「The Velvet Sundown」の音楽やアーティスト写真、バンド・ストーリーなどはAIによって生成されたものであることを認めています。
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【update:2025/07/05 20:39】
本当に厄介な状況に陥っています。米ローリングストーン誌が取材し、この「The Velvet Sundown」というバンドは「偽物であり、音楽はAI音楽生成プログラムを使用して生成したことを認めた」という広報担当者が実は偽物であることが判明しました。同誌も、この広報担当者が偽物だったと
報じています。
アンドリュー・フレロンと名乗るその人物は
Mediumに投稿し、これはメディアを騙すための意図的な策略だったと述べています。また、バンドの公式チャンネルを名乗るXのアカウントも偽物であると付け加えています。
The Velvet SundownのSpotifyページに掲載された声明には「この人物とは一切関係がない」「私たちの作品を誤って表現し、彼が作成していないものを自分のものとして主張している」と書かれています。
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※以下はオリジナル記事
「このバンドが存在する証拠はネット上に一切存在しない」とも指摘され、アーティスト写真は明らかにAIが生成したものを使用しているにも関わらず、登場から1ヶ月も経たないうちにSpotifyで現在75万人の月間リスナーを獲得している謎のバンド「The Velvet Sundown」。その広報担当者が米ローリングストーン誌の取材に応じ、このバンドは偽物であり、音楽はAI音楽生成プログラム「Suno」を使用して生成したことを認めています。
6月末にその存在が海外メディアで報道されたThe Velvet Sundownは、Spotify認証済みアーティストで、6月5日リリースの『Floating On Echoes』と6月20日リリースの『Dust And Silence』の2作品が登録されています。SpotifyはAI音楽を許可していますが、AI生成された音楽に収益が流れるということは本物のアーティストのストリーミング収益を減らすことにつながりますので、海外メディアは注意を促していました。
米ローリングストーン誌によると、バンドのメンバーは実在せず、広報担当者のアンドリュー・フレロン(本名ではない)だけが実在するという。フレロンはこう話しています。
「これはマーケティングだ。トローリング(※インターネット上での迷惑行為の一種であり、相手を挑発して反応を誘う行為)だよ。これまでは皆、俺たちのやっていることを気にしていなかったけど、今では突然、ローリング・ストーン誌の取材を受けるようになった。“これは間違っているのか?”という感じだよ。
俺たちは今、偽物が本物よりも大きな影響を与える世界に住んでいる。それはおかしな話だが、それが俺たちが直面している現実だ。だから“その現実を無視すべきか?”ということなんだよ。
本物か偽物か、あるいはその両方が混在しているようなものを無視すべきなのか? それともそこに飛び込んで、それをインターネットの新たなネイティブ言語として受け入れるべきなのか?」
フレロンはバンドの曲の一部は、AI音楽生成プログラム「Suno」を使って生成されたことを認めています。Sunoは月額8ドルで最大500曲生成可能な音楽作成アプリです。
また、Spotifyの月間リスナー数(現在75万人)については、彼自身の活動(不正なものであれ何であれ)によるものではないと主張しています。
フレロンはこう続けています。
「人々がこれについて強い感情を抱いていることは理解している。でも、アーティストが新しい技術やツールで実験したり、試したりすることを許容することは重要だと思う。プログラムを使っている、あるいは使っていないという理由で人を非難すべきではない。
人々は“誰もが満足するようにしなければならない”“ルールに従わなければならない”という考えを持っている。しかし音楽や文化はそのようにして進歩するものではない。音楽や文化は、人々が奇妙な実験を行い、時には成功し、時には失敗するからこそ進歩してきたんだ」