音楽はがんを治すことはできませんが、がん患者の不安を軽減することに役立つという研究結果が発表されています。音楽療法は、心理的な苦痛を和らげるための治療法である認知行動療法と同等の効果があることが、2025年6月に開催されたアメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)の会議で発表された研究で示されました。
この研究では平均年齢約56歳の男性と女性を対象に、会話、音楽、歌詞作成を表現手段として組み合わせたハイブリッド療法を7週間にわたって行いました。セッション中、訓練を受けたセラピストは、患者の言葉や感情をメロディに表現する手助けをしたり、一緒に曲を作ったり、単に聴き入ったりしました。
がん治療における認知行動療法は、がんに関する不安や抑うつ感情を引き起こす否定的な思考を特定し、それらを客観的に見直すことで、より現実的で前向きな考え方に変えていく治療法です。
今回の研究では、音楽療法が認知行動療法と比較して不安軽減において非劣性(同等)の方法であることが判明しました。研究者たちは「音楽療法は、がん生存期間中の不安に対する治療オプションを拡大するため、第一選択肢である認知行動療法と並んで検討されるべきである」と結論付けています。