ネット上で広まっている有名な
ブライアン・イーノ(Brian Eno)の言葉があります。イーノは、彼の右腕ギタリスト、
レオ・アブラハムス(Leo Abrahams)とロンドンのギターショップで偶然出会った時のことを、こう語ったという。
「彼がギターを試奏しているのを見かけたんだ。今までギターショップで“Stairway to Heaven”を弾いていない人を見たことがなかったから、この人はきっと上手いんだろうと思った」
この話はどこまで本当なのでしょうか? アブラハムスは米Guitar Worldの新しいインタビューで振り返っています。
「1990年代後期と2000年代初期にかけて、(ロンドンの)ノッティングヒル・ゲートにある中古楽器店によく通っていたんだ。
ある日、ギターの音程調整をしていたら、ブライアンが入ってきた。前夜に彼の音楽を聴いていたので、“慌てるな、そのまま続けろ、もしかしたら近づいてくるかもしれない”と思ったよ。その通りで、彼は近づいてきた」
そして、イーノに誘われたアブラハムスは、イーノとドイツの作曲家J・ペーター・シュヴァルムと共にスタジオにいて、彼らの2001年のアルバム『Drawn from Life』の制作に参加しました。
「それが彼が僕を最初に呼んだセッションだった。何を持っていくかずっと悩んでいたけど、到着してみたら、彼はもう全てセットアップしていた。見た目もいいストラトが(EHX)Pogにつながっていた。ギターを手に取ったら、チューニングが完全に狂っていて、弦がほとんど外れかけていた」
アブラハムスは、ギターの不完全な状態が意図的なものだと感じたという。しかし、やがて真相が明らかになりました。
「これは何かのテストか、オブリーク・ストラテジーズ(アーティストが創造的な障害を克服するのを助けるためにブライアン・イーノによって作成されたカード型ツール)のようなものだと思って、彼に曲を始めるように頼み、精一杯演奏した。彼はそれで十分満足しているようだったので、2曲目を始める時に、僕は遠慮がちに自分のギターを弾いてもいいか尋ねた。すると彼は“ああ、もちろん。君があれを弾くとは思ってなかったよ、ただラインをテストするために使っていただけだったからね!”と言ったんだよ」