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メタリカのカーク・ハメット 「すべてのギタリストが持つべき11枚のアルバム」発表

2025/04/17 18:42掲載
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Kirk Hammett - Photo by Ross Halfin
Kirk Hammett - Photo by Ross Halfin
メタリカ(Metallica)カーク・ハメット(Kirk Hammett)が「すべてのギタリストが持つべき11枚のアルバム」を発表。米サイトConsequence企画。世界中の誰もが持っているべきだと語るアルバムは? いつも参考にしているアルバムは? 本当にインパクトのある演奏を学びたいギタリストにオススメだというアルバムは? 5、6ヶ月ごとに聴き返している気がすると語るアルバムは? そのギタリストがちょっとでも関わって弾いたものは何でも素晴らしいと語るギタリストは?

■Van Halen / Van Halen (1978)

「世界中の誰もが『Van Halen I』を持っているべきだ。エディ・ヴァン・ヘイレンはハーモニック・マイナーとかそういうのには手を出さなかったし、オーギュメント・スケールやディミニッシュ・スケールなどにはほとんど手を出さなかった。ブラック・サバスもやっているし、俺たちもやっている。多くのバンドがやっていることだ。エディのリフは、どちらかというとメジャー調のものが多かった。時にはマイナー調の要素もあったが、それがヴァン・ヘイレンの音楽がどういうサウンドだったかをよく物語っている。ヴァン・ヘイレンの音楽の多くが、陽気なパーティー・ミュージックのように聴こえるのは、エディ・ヴァン・ヘイレンがそういう風にギターリフを書いていたから。それ自体は素晴らしいことで、彼はあらゆる感情やフィーリングを持つ曲を書くことができたんだ。

『Van Halen I』の演奏は、本当に自由奔放で、先駆的で、独特で、オリジナルで、唯一無二。ネック上でライトハンド奏法をする人はいたけれど、エディのようではなかった。エディはその可能性を大きく切り開き、そういったこと全てにおいて最高のプレイヤーだった。あの驚くべきタッピング・フレーズやハーモニック・フレーズ、そしてクレイジーな音のパターンを生み出した彼は、まさに最高のプレイヤーだった。彼はキングだった。誰も彼を超えることはできなかった。彼以上に上手くやるには、ギターを再び発明し直す必要がある。だって、エディはギターを再発明したわけだからね。ジミ・ヘンドリックス以降、そんなことをした人はいなかった。エディがそれを成し遂げたんだ」



■Journey / Next (1977)

「俺はこのアルバムをいつも参考にしている。驚くほど素晴らしく、驚くほどプログレッシブで、演奏もソングライティングも本当に素晴らしいから。スティーヴ・ペリー加入前のジャーニーは、フュージョンの要素も持ったプログレ・バンドだった。このアルバム『Next』は、プログレッシブな演奏、フュージョン的な演奏、激しいドラミング、狂気的なギターソロとリフで満たされており、大好きなんだ。“えっ、ジャーニー?あのDon't Stop Believin'の?”と驚くかもしれないけど、そう、まさにあのジャーニーなんだけど、スティーヴ・ペリーがいない時代の作品なんだ。もちろん、スティーヴ・ペリー加入後の作品もたくさん好きだけど、そっちを好きになるにはかなり時間がかかった。スティーヴ・ペリー加入前のジャーニーが本当に大好きだったからね。それに、彼らはサンフランシスコのバンドで、地元の人たちのような感覚があって、すごく親近感があったんだ」



■AC/DC / Back in Black (1980)

「アンガス・ヤングがどれほど素晴らしいギタリストなのか、俺はこれまで十分に語ってこなかった。まず、当たり前のことを言わせてほしい。アンガスとマルコムは素晴らしいリズムギタリストだ。リズムギターに関して言えば、マルコムはアンガス以上だったかもしれないが、二人ともリズム・ギタリストとして最高峰だ。アンガスの、あのブルージーでブギウギなロック・フィーリングが、俺は本当に大好きなんだ。感情と情熱に満ちていて、大胆不敵な魅力がある。アンガスを初めて見た時は真剣に受け止められないかもしれない。あのスクールボーイの格好で、“Big Balls”みたいな曲をやっているわけだからね。でも、彼のギタープレイは、ソロになると毎回、本当に魂がこもっているんだ。ものすごくエモーショナルだし、とても心がこもっていて、曲に合った演奏をしている。スイング感も抜群。彼はまさに最高のフィーリングプレイヤーの一人だよ」



■UFO / Strangers in the Night (1979)

「UFOのライヴ・アルバム『Strangers in the Night』を選んだのは、UFOの最高のコンサート曲を集めたようなものだから。アルバム全体を通してマイケル・シェンカーの演奏は本当に素晴らしく、実に流れるようでメロディック、かつアグレッシブなんだ。まさに絶頂期のプレイ。このアルバムは、本当にインパクトのある演奏を学びたいギタリストにオススメだよ。俺が言う“インパクト”とは、マイケル・シェンカーがキャッチーでメロディック、アグレッシブで派手なソロを次々と生み出すアプローチのこと。そのスタイルは俺自身、キャリアを通じてずっと追求してきたものなんだ」



■Black Sabbath / Sabotage (1975)

「ブラック・サバスの最初の3枚のアルバムは、まさに福音書のような存在だ。誰もが、ある意味普遍的にそう思っている。彼らは最初の3枚のアルバムでヘヴィメタルというジャンルを創り出した。その後『Vol. 4』でサウンドの転換点を迎えた。そして『Sabotage』がリリースされ、サウンドはさらに変化した。彼らはよりプログレッシブになり、演奏もより高度になり、アレンジもより洗練された。

そして彼らは、NWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)やスラッシュメタルを本質を見事に捉えていると俺が思うリフを生み出した。それが“Symptom of the Universe”のリフだ。あの曲は文字通りヘヴィメタルに新たな生命を吹き込んだ。アティチュード、音選び、演奏方法、そしてそれが曲のメインパートでありフックとなっている点など、全てが素晴らしい。そのリフを一度聴けば、何度も繰り返し聴きたくなるだろう。本当に素晴らしいリフなんだ。あのリフ自体がヘヴィメタルを変えた。だから、あのアルバム、特にあの曲には大きな評価を贈らなければならないと思っている」



■Al Di Meola / Elegant Gypsy (1977)

「14歳か15歳の時にこのアルバムを聴いた時、理解できなかった。音楽性も演奏技術も、当時の俺が知りうるレベルを遥かに先を行っていたので、俺の音楽的センスや技術では理解できなかった。5、6ヶ月ごとにはこのアルバムを聴き返している気がする。本当に驚くほど素晴らしいフュージョン・アルバムなんだ。カルロス・サンタナがやっていたような、ラテンっぽい雰囲気がある。

サンフランシスコ出身の俺はミッション地区の出身で、カルロスもそうだった。カルロスは俺の兄や父と同じ高校に通っていた。俺はサンタナを近所のバンドのように見ていて、音楽に非常に親しんでいたので、若い頃にアル・ディ・メオラを聴いた時、カルロスの要素を感じたんだけど、それはもう桁違いに衝撃だった。しかもすごく速かったので、すぐに夢中になった。速弾きは、言うまでもなく大好きだからね。アル・ディ・メオラは素晴らしいギターの音色を持っていた。彼のリード・サウンドは、今聴いても本当に最高だと思うよ」



■The Tony Williams Lifetime / Lifetime: The Collection (1992)

「トニー・ウィリアムズはフュージョン・ドラマーだ。彼はジョン・マクラフリンと一緒に演奏していた。16歳の頃にはマイルス・デイヴィスとも共演し始めていた。そして1970年代に、まさにヘヴィメタル・ジャズ・フュージョンのようなサウンドのアルバムシリーズを出し始めたんだ。『Lifetime: The Collection』っていうコンピレーション・アルバム(※トニー・ウィリアムス・ライフタイムの最初の2枚のアルバム『Believe It』(1975) と『Million Dollar Legs』(1976) をまとめたもの)があって、演奏がすごいんだ。曲も最高。

アラン・ホールズワースが多くの曲で演奏している。アラン・ホールズワースがちょっとでも関わって弾いたものは何でも、彼のソロ作品も、トニー・ウィリアムスとの作品を含め、すべてが素晴らしいんだ。アラン・ホールズワースは、他の人には出せないような音を出せる。どういうことかって言うと、彼は手がともて大きくて、8フレットとか10フレットとかまで伸ばすことができたんだ。俺にはできない。エディ・ヴァン・ヘイレンがああいうプレイをどこからたくさん取り入れたかっていうと、その多くはアラン・ホールズワースからなんだ。広い音程を出すために、エディは7~8フレットまで伸ばしていた。アラン・ホールズワースは指と手の可動域が広かったため、それが自然だった。俺みたいな人間には不可能なことなんだ。本当に信じられないよ」



このほか

■Jeff Beck / Wired
■Led Zeppelin / Physical Graffiti
■Scorpions / Taken by Force
■Jimi Hendrix / Band of Gypsys

も挙げています。