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ビル・ブルーフォードはなぜ、80年代キング・クリムゾンを演奏するBEATに参加しなかったのか? 本人語る

2025/03/19 18:21掲載
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Bill Bruford (Image credit: Kevin Nixon)
Bill Bruford (Image credit: Kevin Nixon)
ライヴ活動からの引退を撤回したドラマーのビル・ブルーフォード(Bill Bruford)はなぜ、1980年代のキング・クリムゾン(King Crimson)を演奏する新しいバンド、BEATに参加しなかったのか? UK Jazz Newsの新しいインタビューの中で語っています。

BEATは、エイドリアン・ブリュー(Adrian Belew)トニー・レヴィン(Tony Levin)スティーヴ・ヴァイ(Steve Vai)トゥール(Tool)ダニー・ケアリー(Danny Carey)が組んだバンドです。

イエス(Yes)やキング・クリムゾンでの活躍でも知られるブルーフォードは2024年、ライヴ活動からの引退を撤回し、英国のジャズバンド、ピート・ロス・トリオ(Pete Roth Band)に参加してライヴ・ミュージック界に復帰しました。6月にはピート・ロス・トリオの来日公演も予定されています。

Q:あなたをBEATのツアーに参加させるために、エイドリアン・ブリューは何をする必要があったのでしょうか?

「説得には応じなかっただろうね。私は一度離れた音楽グループには興味を失ってしまうようだ。感情的なつながりが断たれると、そのグループは私にとっては空っぽの抜け殻のように見える。心臓が取り出されたようなものだよ。イアン・バラミー、ティム・ガーランド、スティーヴ・ハウ、トニー・レヴィンといった個々の友人たちとは、今後もつながりを持ち、彼らの活動に興味を持ち続けるかもしれないが、私たちが苦労したグループ名は私の中では死んでいる。

素晴らしい“Owner of a Lonely Heart”は別として、『Close to the Edge』以降のイエスを、レコードでもコンサートでも聴いたことがない。『Thrak』(1995年)以降のキング・クリムゾンの作品も、2023年の映画(ドキュメンタリー『In the Court of the Crimson King』)と、大勢のドラマーが参加したライヴまで聴いたことがなかった。もし聴いたとしても、聴きたくなかったので、すべて忘れてしまった。

同様に、あなたや私が何かの音楽を“好き”かどうかということには、あまり関心がない。音楽に感銘を受けたり、嫌悪感を抱いたり、退屈したりすることはあっても、音楽をどの程度好きかということは関係ないように思う。 むしろ、音楽よりも自分自身について多くを語っているように感じる。 多くの若い人たちが、音楽や音楽の周辺にある何かが気に入らないから聴かないと言っている。でも、聴く前にどうしてそれが可能なのかどうか、依然としてわからないよ。

BEATがまだ活動していて街に来たら、きっと見に行くだろう。彼らが古いレパートリーの演奏で、“ああ、これは面白い見方だ”と何かを悟る瞬間を見つけられることを期待している。彼らのスケジュールは、もはや青春真っ只中とはいえない参加者たちにオリンピック選手並みのスタミナを要求する。もし私がバンドにいたら、“こんなことしている時間はない。もっと有意義なことをすべきだ”とずっと考え込んでしまうだろう。だから、私は明らかに不適格なのです。

私は再結成やノスタルジー、“昔を懐かしむ”ということがあまり得意ではない。地味にアレルギーなんだ。 1991年のイエス『Union』ツアーが関係していると思う。観客は昨日と同じものを求める傾向があるけれど、未来を見据えることを仕事と考えている芸術志向の強いアーティストにとっては、それは少し厳しいことなんだ。ピート・ロス・トリオのような新興バンドの利点のひとつは、過去の録音がないため、リスナーは事実上、現在進行形で音楽を聴くことになるということなんだ」

Q:ご家族は、あなたが再びライヴに出ることをどう思っていますか?

「妻は、自分が思い描いていたような引退後の生活とは少し違うと、暗につぶやいている。でも内心では、音楽、特に私の場合はドラムが心身ともにどれほど良い影響を与えるかを知っている。でも、そんなことは決して口にしないけどね。よく言われるように、年を取ったからドラムを叩くのをやめるのではなく、ドラムを叩くのをやめたから年を取るんだ。

ピート・ロス・トリオは変わっている。あまり知られていない2人、そのうちの1人がリーダーであり、最後の1人はリーダーではないが知名度のある人物からなる3人組だ。このバンドはピートのバンドであり、彼が選んだメンバーであり、最終的な決定権を持っている。私は、国際的な舞台を提供できるツアーガイドのような存在であり、うまくいけば、素晴らしいドラムを披露できるだろう。これは、賢い老犬が若い子犬のエネルギーと活気あふれる創意工夫を必要としていることと、若い子犬たちが老犬の知恵と経験を活かすことができるという、双方のニーズのバランスから成り立っている。楽しい限りは続けるつもりだが、正直言って、自分のベッドとシャワーから2時間以内の場所でのライヴの方が好きだよ。もう全部やったかもしれないけどね」