ジェフ・ベック(Jeff Beck)はなぜピックを使わなかったのか? 著名な映画音楽作曲家の
ハンス・ジマー(Hans Zimmer)は、映画『デイズ・オブ・サンダー』の音楽にベックを迎えた際のエピソードをリック・ビーアトの新しいインタビューの中で語っています。映画の曲を教えるためにベックに即興のギターレッスンをして恥ずかしかったこと、「なぜピックを使わないんだ?」と尋ねたことなどを振り返っています。
ジマーはピアノやキーボードに加え、ギターも演奏します。
ジマーは映画『デイズ・オブ・サンダー』(1990年)の音楽を手がけた際、ギター演奏にはジェフ・ベックを起用しました。ベックに協力を求めたとき、レコーディングでは、より実践的なアプローチをとったと話しています。
「ジェフ・ベックに曲を教えなければならなかったからね。“ギターを貸して!”という感じだったんだ」
ギターを渡された後、ジマーはベックの前で演奏するのかと思うと、一瞬、恥ずかしさを感じたという。
「“しまった!”と思ったよ(笑)。“やるしかない!”とね」
ジマーは『デイズ・オブ・サンダー』でのベックの演奏を振り返って、こう話しています。
「彼の音色は独特。彼がブルースを演奏すると、それは素晴らしく、美しく、そしてとても独創的だった。彼のことが大好きだったし、彼の独創性が大好きだった」
ジマーは、ベックに再びピックを使うように促したという。
「彼に“なぜピックを使わないんだ?”と尋ねると、彼は“なくしちゃうからさ!”と答えたよ。彼はピックをどこに置いたかを覚えるのが本当に苦手だったからこそ、何かを極めることができたんだよ」
ジマーは、ベックも愛用していたフェンダー・ストラトキャスターについて、こう話しています。
「フェンダーのストラトキャスターは、僕にとっては、まさに芸術品。その形は時代を超越している。電子機器もそれほど変わっていないけれど、素晴らしいのは、プレイヤーの個性によって音が増幅されること。
ジェフ・ベックの音はスティーヴィー・レイ・ヴォーンとは全く違うし、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの音はマーク・ノップラーとは全く違う。それぞれの個性が、この木片と、いくつかの磁石、そして数本のスチール弦によって増幅されているんだ。素晴らしいよね!」