音楽はどんどん単純になっている。新しい科学的研究によると、クラシック、ジャズ、ヒップホップ、エレクトロニック、ロック、ポップス、そのすべての音楽ジャンルにおいて複雑さを失い、単純化が増加しているという。
この研究はローマ・サピエンツァ大学で、Niccolo'Di Marco、Edoardo Loru、Alessandro Galeazzi、Matteo Cinelli、Walter Quattrociocchiという5人の学者グループによって行われました。
彼らは「ネットワークサイエンス」を用いて、過去4世紀に制作され6つの異なる音楽ジャンルを代表する2万曲のMIDIファイルを調査しました。ただし、エレクトロニック、ヒップホップ、ポップスなどは必ずしも400年間にわたって存在していたわけではないと想定しています。
科学者たちは「各楽曲は“重み付けされた有向ネットワーク”として表現し、その構造的特性を研究」することにし、2万曲すべてをAIによる自動処理で調べ、各ネットワークのパターンを比較して、互いの関連性を判断しました。
簡単に言うとこの研究は、長年にわたって楽曲がどれほど複雑になったり単純になったりしたかを調べたもので、その発見と結論は非常に興味深いものでした。
研究チームが最初に発見したのは、クラシック音楽は常に現代のポップスよりも複雑であるということでした。これは、彼らの発見がなくても多くの人が理解できるものだと思います。
しかし、研究チームはまた、分析したすべての音楽ジャンルが複雑さを失っていることも発見しました。クラシック、ジャズ、ヒップホップ、エレクトロニック、ロック、ポップス、その全てです。ジャズとクラシック音楽だけが他の新しいジャンルよりも複雑であり続けていますが、それらもまたシンプルになってきています。
研究チームは、音楽を作る人が増えたことが、単純さの増加の要因となっているに違いないと結論づけています。
「観察された結果は、近年の、より均質で複雑さの少ないジャンルが増えたことが一因かもしれません。私たちの分析では、クラシックやジャズのような長続きしているジャンルでさえ、その起源と比較して明らかに単純化が起こっていることを示しています。私たちの研究は、作曲プロセスの民主化と新しいテクノロジーとプラットフォームの出現が、以前の時代に比べて複雑性の低いジャンルを育んできたことが強調されています」
音楽と楽器のサイトMusicRadarは、この研究結果を受け、「テクノロジーの使用が増えたことで複雑な音楽理論を理解する必要性が低下し、その結果として楽曲がよりシンプルになったのだと考えます」とコメントしています。