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エルヴィス・コステロ、『Xファイル』のために制作したブライアン・イーノとのコラボ曲について回想

2024/11/30 21:33掲載
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Elvis Costello
Elvis Costello
エルヴィス・コステロ(Elvis Costello)は1996年、ドラマ『Xファイル』のサウンドトラック・アルバムのためにブライアン・イーノ(Brian Eno)とコラボレーションしました。コラボ曲「My Dark Life」の誕生の経緯について、サイトThe Line of Best Fitの新しいインタビューの中で振り返っています。

「僕にとっての原点はコラボレーションなんだ。

『King of America』ではTボーン・バーネットたちとコラボレーションしたけど、そういった活動と同時に、まったく異なる世界の人たちともたくさん一緒に仕事をしてきた。バート・バカラックとは35曲、ポール・マッカートニーとは15曲、ブロドスキー・クァルテットとは『The Juliet Letters』を作った。そのひとつひとつから、とても貴重なことを学んだんだ。

同じ頃、僕は奇妙なアルバムのために曲を作るように頼まれた。それは『X-ファイル』に関するもので、その番組のアイデアからインスピレーションを得た楽曲を収めたアルバムだった。とても薄っぺらな作品。レコード会社がバカみたいにお金をばらまいていた時代の話で、“こんな雰囲気の曲を作ってくれませんか?”と言われた。番組で使用されることはなかったけどね。他に誰がそのアルバムのために録音したかは覚えていないけど、僕は“それなら、まだ仕事をしたことがない人とやるのがいいだろう”と思ったんだ。

10年ほど前、アラン・トゥーサンと仕事をしたことがあった。彼との最初のプロジェクトは、オノ・ヨーコのトリビュート・アルバム(『Every Man Has a Woman』・1984年)のためにやった“Walking on Thin Ice”のレコーディングだった。オノ・ヨーコの曲を一緒にやる以外に、彼と僕が一緒に仕事をする可能性など考えられなかった。彼はその曲のプロデュースで素晴らしい仕事をしてくれた。

僕は心のどこかで、ずっと憧れていたけれども一緒に仕事をする機会がなかった人物、ブライアン・イーノのことを考えていた。彼のすることはすべて興味をそそる。彼のやり方が好きなんだ。それが僕に合うことはあるのか? おそらくないだろう。僕が彼を狂わせることはほぼ確実だ。

奇妙なことに、僕たちはまず蒸気でいっぱいの部屋で顔を合わせた。僕はよく朝にクラブで泳いでいたんだけど、ある日そこにいたとき、霧の中からブライアンとビョークが現れた。彼らが偶然そこにいたのか、あるいは一緒に泳いでいたのかはわからない。どちらにも尋ねたことはない。

僕は時折、このような奇妙な状況でブライアンに出くわし、どこかの時点で彼の電話番号を手に入れた。そして、このアルバムのための曲を作るために彼に電話をかけた。“My Dark Life”は“My Steam Life”というタイトルになっていてもおかしくないほど、この出会いはありえないものだった。普通は“ナイトクラブで会った”とか“どこかのライヴの楽屋で会った”とか言うよね。蒸気浴や蒸し風呂が登場するとは思わない。

この曲は大好きだよ。僕が(ロシアの)サンクトペテルブルクを訪れた時の旅行について書いたもの。あの地域で全てが崩壊しつつあった頃の様子を垣間見たような内容で、そんな環境で観光客として過ごすことがどんな気分だったかを描いている。とても居心地が悪かった。それがこの曲の全て。僕が目にしたことをミステリー小説のように聞こえるように語っている。その後何が起こったのか、それ以来何が起こったのかは、神のみぞ知ることだからね。忠誠心さえもすべて変わってしまったんだ」