ザ・スペシャルズのテリー・ホールが死去

ザ・スペシャルズ（The Specials）、ファン・ボーイ・スリー（Fun Boy Three）、カラーフィールド（The Colourfield）での活躍でも知られるテリー・ホール（Terry Hall）が死去。ザ・スペシャルズがSNSで発表。63歳でした。

以下、ザ・スペシャルズの声明より

「私たちの美しい友人であり、兄弟であり、この国が生んだ最も素晴らしいシンガー、ソングライター、作詞家であるテリーが短い病気の後に亡くなったことを、大きな悲しみとともにお知らせします。

テリーは素晴らしい夫であり、父親であり、最も優しく、最も愉快で、最も純粋な魂の持ち主でした。彼の音楽とパフォーマンスには、人生の本質が凝縮されています...喜び、痛み、ユーモア、正義のための戦い、そして何よりも愛。

彼は、彼を知り、彼を愛したすべての人々から深く惜しまれ、彼の素晴らしい音楽と深い人間性という贈り物を後に残すでしょう。

テリーは、ザ・スペシャルズの人生を肯定するようなライヴの終わりに3つの言葉を残してステージを去ることがよくありました...“"Love Love Love”。

この非常に悲しい時に、家族のプライバシーを尊重してくださるようお願いします」



テリー・ホールは1959年3月19日、イングランドのウェスト・ミッドランズ州コヴェントリーに生まれる。学業優秀で、サッカー選手としても有名だった彼は、プロサッカークラブのウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンに誘われたが交通の不便を理由に両親はこの機会を辞退した。15歳の誕生日を前に学校を辞め、レンガ職人、測量技師、美容師見習いなど、様々な短期間の仕事を経て、ザ・クラッシュやセックス・ピストルズに影響を受けたパンクバンド、スクワッド（Squad）に参加した。

ホールは1977年にコヴェントリーで結成された直後、ヴォーカリストのティム・ストリックランドと入れ替わりにザ・スペシャルズに加わる。このバンドは最初はオートマティックス、その後コヴェントリー・オートマティックスと呼ばれ、その後、スペシャルAKA（Special AKA）となり、そしてザ・スペシャルズとして知られるようになった。

ザ・クラッシュのライヴのサポートに招いたジョー・ストラマーや、BBC Radio 1のDJジョン・ピールらのサポートにより、2トーンの先駆的なバンドは台頭していった。

彼らは1979年にデビュー・シングル「Gangsters」（プリンス・バスターの「Al Capone」をリメイク）をリリースし、イギリスのシングル・チャートで6位を記録した。その後2年間にわたりトップ10を独占し、1981年には2枚目のNo.1シングルである「Ghost Town」でピークに達した。バンドのメインソングライター、ジェリー・ダマーズが書いた歌詞は、イギリスの都市の衰退、失業、権利を奪われた若者を扱ったものであった。

バンドは1979年10月にセルフタイトルのデビュー・アルバムを、1980年にさらにダークな2枚目のアルバム『More Specials』を発表した

1981年に「Ghost Town」が成功した後、同年7月にザ・スペシャルズは解散した。

ホールはザ・スペシャルズのバンド仲間と共にファン・ボーイ・スリーを結成。彼らは数年にわたりチャートでも成功を収め、バナナラマとは「It Ain't What You Do (It's the Way That You Do It)」と「Really Saying Something」で2度コラボレートした。また、アメリカのインディーズ・スター、ジェーン・ウィドリンと共作した「Our Lips Are Sealed」でトップ10にランクインしている。

ホールは1984年に別のバンド、カラーフィールドを結成し、「Thinking of You」をヒットさせた。

その後数十年にわたり、ライトニング・シードのイアン・ブロウディ、トゥーツ・アンド・ザ・メイタルズ、リリー・アレン、ブラーのデーモン・アルバーン（後に彼のバンド、ゴリラズ）、ユーリズミックスのデイヴ・スチュワートとのデュオVegasなどと頻繁にコラボレーションを行うようになった。

ザ・スペシャルズは1993年〜1998年に再結成したがホールは参加しなかった。1994年、ブロウディのプロデュースによるソロ・デビュー・アルバム『Home』を発表。1997年には2ndアルバム『Laugh』を発表した。

2008年、ホールはザ・スペシャルズを再結成させた。2009年に30周年記念ツアーに乗り出し、2012年のロンドン・オリンピック閉会式コンサートにも出演した。ザ・スペシャルズは2019年にアルバム『Encore』をリリースし、2021年には歴史的なプロテスト・ソングをカヴァーしたアルバム『Protest Songs 1924-2012』をリリースした。