ジューダス・プリースト(Judas Priest) が、ギターシンセサイザーを多用した音作りに挑戦したアルバム『Turbo』(1986年)。
ロブ・ハルフォード(Rob Halford) は、今でも愛していると公言するシングル曲「Turbo Lover」について、英Classic Rockのインタビューの中で語っています。
「ワールドツアーを終えたばかりだった。(スペインの)マルベージャに直行して、曲を書き始めたんだ。海沿いの美しい場所を借りて、何ヶ月も何ヶ月もこもっていた。当時は、プリーストにとって素晴らしいことが起こっている絶頂期で、とても多作だった。
“Turbo Lover”の大きな特徴は、グレンが使っていたこの新しい発明品(※改良されたギターシンセ)にあった。名前は忘れたけど、すごく面白くて刺激的な音が出るんだよ。ある日、グレンがペダルボードを蹴って、あの音(“Turbo Lover”の冒頭で聴ける音)を出したとき、俺は“ターボエンジンが回転しているような音だな”と言ったことを覚えている。それが火付け役だった。それがきっかけで曲が急に大きくなって、タイトルも浮かんだんだ」
レコーディングはマイアミに移り、最終的にはロサンゼルスに移り、そこでこの曲とアルバム『Turbo』が完成しました。ハルフォードは、レコーディングが終わった時、バンドは「Turbo Lover」に近づきすぎていて、客観的に評価することができなかったと振り返っています。
「俺たちは、これが(バンドの古典となる名作=)クラシックであることに気づいていなかった。でも、それは“Breaking The Law”や“Living After Midnight”も同じだった。曲の行き着く先なんて、考えたこともない。没頭しすぎて、まったくわからないんだ」
ロサンゼルスは、ハルフォードにこの曲のお気に入りの思い出を与えてくれた街でもあります。
「ポルシェのオープンカーでサンセットストリップをドライブしていたら、ラジオから“Turbo Lover”が流れてきたんだ。ウェスト・ミッドランズのウォルソールに住む子供がここにいるんだ、とね。とても非現実的だった」
しかし、他の人々はあまり魅了されず、アルバム『Turbo』は問題作として物議を醸しました。
ハルフォードはこれについてこう話しています。
「たしかに多少の反発もあったよ。でも、『Painkiller』をリリースした時も、ちょっと反発された。そういうものだ。すべての人を喜ばせることはできない。時にファンが望むのは、何度も同じ体験をし続けることだったりする。プリーストは、ファンの言うことを決して否定しないが、同時にそれはとても危険なことでもある。
俺たちはジューダス・プリーストの音楽を守ることにも情熱を注いでいたけど、もしあらゆる可能性を排除していたら、これほど冒険的なことはできなかっただろうね。バンドをやっていて、ラジオを聴いたり、他のバンドの音楽をチェックしたりしないのは愚かなことだといつも言ってきた。
プリーストの素晴らしいところは、70年代、80年代、90年代、そして今と、すべての年代を並べると、それぞれの時代の雰囲気を表現しているんだ。“Turbo Lover”と『Turboは』一部の人には物議をかもしたけど、それが当時の俺らの状況だったんだよ。
“Turbo Lover”はクラシックになった。でも、俺はもう車マニアではない。60歳を過ぎてから物に執着しなくなった。物質的なことにあまり興味がない。そういう時期もあったけど、今は自分の人生で一番大事なのはジューダス・プリーストだと気付いたんだ。
(“Turbo Lover”のビデオに登場するハーレーに乗るスケルトンについて)面白いよね? K・Kとグレンは(当時は)ポルシェに夢中だったけど、もちろんバイクは俺たちの活動の代名詞だった。俺たちは、ビデオで楽しみながら、本質とメッセージを伝えたいと考えていた。私たちのビデオは、どれも独創的で、同じことを繰り返さないようにしてきた。“Breaking The Law”といえば銀行への侵入、“You've Got Another Thing Coming”といえば発電所...すべてのビデオに、見るべきちょっとした宝があるんだよ」
VIDEO