HOME > ニュース >

「森のジョン・ボーナム」も、野生のチンパンジーは自分だけの特徴あるドラムビートで木の根を叩いて遠く離れた場所にメッセージを送っている

2022/09/13 14:51掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
New Scientist - Chimps in Uganda have their own signature rhythms when drumming on trees
New Scientist - Chimps in Uganda have their own signature rhythms when drumming on trees
研究者たちによると、野生のチンパンジーはそれぞれ独自の「特徴的なドラム演奏スタイル」を持っているという。ウガンダの熱帯雨林でチンパンジーを追跡調査した研究者たちは、チンパンジーが木の根を叩いて遠く離れた場所にメッセージを送っていることを発見。その際、自分だけの特徴あるドラム・ビートを刻むことで、誰がどこにいて、何をしているのかを知ることができるという。

この研究結果は学術誌『Animal Behaviour』に掲載されています。

セント・アンドリュース大学のキャサリン・ホベイター博士はBBCのラジオ番組『Inside Science』に出演し、「根を強く叩くと、それが共鳴して、大きくて深いブーンという音が森の中を伝わります」「ドラミングの音を聞けば、誰が叩いているのかがよくわかります」と話しています。

研究チームによると、オスのチンパンジーは、それぞれ異なる独特のパターンのビートを使っていることがわかりました。チンパンジーはそれをパンフートと呼ばれる遠距離の発声と組み合わせています。また、チンパンジーによって鳴き声のタイミングが異なることもわかりました。

この研究の中心的研究者であるウィーン大学の博士課程学生ヴェスタ・エレウテリによると、ロックやブルースのドラマーのように規則正しいリズムを刻むのもいれば、ジャズのように変化に富んだリズムを刻むものもいるという。

「森の中に数週間いただけで、誰がドラムを叩いているのか認識できるようになったのには驚きました。しかも、彼らのドラムのリズムはとても特徴的なので、簡単に聞き分けることができるのです」

エレウテリはさらに、研究者たちが“トリスタン”と名付けた若いオスのチンパンジーを「森のジョン・ボーナム(レッドツェッペリンの故ドラマー)」と表現しました。「彼は、たくさんのビートを持つ非常に長いドラムの音を出します。遠くからでもそれがわかるので、トリスタンがドラムを叩いているとわかるのです」。

野生のチンパンジーは、出会うと互いに挨拶しますが、森の中で別れるときには「さようなら」を言わないようです。長年議論されているこの問題も、このドラム・メッセージによって解決できる可能性があるとしています。「チンパンジーは、離れていても効果的に連絡を取り合っているので、別れを告げる必要がないのかもしれません」とホベイター博士は説明しています。

以下は独自のリズムを刻んでいるウガンダのチンパンジーの映像