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『チャーリー・パーカー伝:全音源でたどるジャズ革命の軌跡』発売

2022/09/03 18:02掲載
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チャーリー・パーカー伝:全音源でたどるジャズ革命の軌跡
チャーリー・パーカー伝:全音源でたどるジャズ革命の軌跡
『チャーリー・パーカー伝:全音源でたどるジャズ革命の軌跡』(牧野直也著)がアルテスパブリッシングから9月26日発売。

パーカーの残した膨大な音源を丹念に聴きこむとともに、伝記、研究書、関係者の証言などの資料も徹底的に検証し、これまでのパーカー像を根本から刷新。パーカーの新たな「音楽的人間像」を打ち立てた一冊。
■『チャーリー・パーカー伝:全音源でたどるジャズ革命の軌跡』
牧野直也著

定価:本体3600円[税別]
A5判・並製 | 584頁
発売日 : 2022年9月26日
ISBN 978-4-86559-259-7 C1073

装丁:折田烈(餅屋デザイン)

<内容>

ジャズに革命を起こしたサックス奏者
パーカーの残した膨大な音源をすべて聴き込み、
その「音楽的人間像」を初めて明らかにした決定的な大著!
手に入るかぎりのあらゆる音源を丹念に聴きこむとともに、
伝記、研究書、関係者の証言などの資料も徹底的に検証し、
これまでのパーカー像を根本から刷新!
パーカーの新たな「音楽的人間像」を打ち立てた
世界にも類のない画期的な労作です。

パーカーの生い立ちからキャリアの全貌、悲劇的な死までを追いながら、
ベイシー、ヤング、ガレスピー、バド・パウエル、ローチ、マイルスなど、
30〜50年代ジャズ・シーンの変革を担った主役たちも描いた本書は、
ジャズおよびアメリカ音楽を知るうえで必読の書となっています。

*440タイトル以上のCDと書籍をジャケット写真・書影付きで掲載
*詳細な曲名索引、人名索引、参考文献付き
*パーカー関連のアルバム・リスト付き
*著者が選んだパーカーの名演が聴けるプレイリストをSpotifyで公開(※準備中)

『リマリックのブラッド・メルドー』に続くシリーズ第2弾!

【本書「はじめに」より】
この本を手にした読者は、チャーリー・パーカーという希有な音楽家を今までとは少し違った眼で眺め、その新しい人間像を心に刻んでくれると信じている。パーカーとディジー・ガレスピーとの関係やビバップという音楽について、そのイメージを修正してくれるはずだ。また、マイルス・デイヴィス、バド・パウエル、マックス・ローチなど、主要な登場人物についても、その輪郭をより具体性を持った明確なものとして把握してもらえると思っている。その過程で、世に流通している無数のイメージが書き換えられ、根拠のない流言は自然に消滅してゆくはずである。

<CONTENTS>
はじめに  新しいチャーリー・パーカー像を求めて

第1章 おんぼろの中古サックスを持った少年
 カンザス・シティから来た男
 不確かなことばかりの家族関係
 謎に満ちた母アディーのルーツ
 カンザス・シティでの幼少年期
 継ぎはぎだらけのおんぼろ中古サックス
 手痛い失敗とオザークでの開眼
 トミー・ダグラスとバスター・スミスが教えたもの

第2章 カンザス・シティの修業時代からジェイ・マクシャン楽団まで
 ブルー・デヴィルズとベニー・モーテン楽団の覇権争い
 レスター・ヤングと初期ベイシー楽団
 カウント・ベイシーとは何者か
 フロム・スピリチュアルズ・トゥ・スウィングの成功
 モダン・ジャズに体現されたベイシー楽団の特性
 先行者テイタムがビバップに与えた影響
 パーカーが「第二の開眼」で見いだしたもの
 ビバップ前夜、ジェイ・マクシャン楽団への加入
 最初期の録音群①無伴奏ソロの〈ハニー&ボディ〉
 最初期の録音群②高度で繊細な〈スウィングマティズム〉
 最初期の録音群③パーカー形成期の重要曲〈チェロキー〉
 最初期の録音群④衝撃の〈フーティー・ブルース〉
 ハインズ楽団からエクスタイン楽団へ

第3章 ビバップ創成期、ガレスピーそしてマイルスとの邂逅
 ガレスピーとの出会い、サヴォイ録音の開始
 南部の苛酷な環境で育ったガレスピー
 ガレスピーの楽団遍歴と新しい音楽の胎動
 パーカーとガレスピーの短い協力関係
 〈コ・コ〉セッションとタウン・ホール・コンサート
 ロサンゼルスへの楽旅、スウィング派との共演
 飛び抜けて富裕な家で育ったマイルスの少年時代
 ジャズ界の新人類、青年マイルスがやって来た
 マイルス、ニューヨークでついにパーカーと再会する
 初レコーディングに刻印されたマイルスの資質
 1945年11月26日のサヴォイ録音を分析する

第4章 西海岸へ、居眠りしながらパーカーは巨大な時空を通過する
 西海岸へ続く道はアメリカの音楽を育んだ大地を横切る
 アメリカ゠メキシコ戦争と聖パトリック大隊
 アパラチア山脈はカントリーとブルースの揺籃の地
 押し寄せる移民、アイリッシュとスコッチ・アイリッシュ
 黒人奴隷の解放と移民の増大がもたらした音楽の流動化
 ミンストレル・ショウとスティーヴン・フォスター
 対立する黒人とプア・ホワイト、オコンネルの奮闘
 最初期のブルースにおける黒人と白人の相互影響
 ポピュラー音楽とブルースを合体させたW・C・ハンディ
 アパラチア山中からカントリー界の大スターが現れる
 ブルースの原理はある声調で詩を「詠む」ことだ
 初期カントリー・ブルースの演奏家たち
 ブラインド・レモン・ジェファーソン登場の衝撃
 スライド奏法とハワイのスチール・ギター奏者たち
 黒人ブルースという虚像をその実像へと転換する
 戯画でない黒人文化が花開いたハーレム・ルネッサンス

第5章 ロサンゼルスでの活動とリラクシン・アット・カマリロ
 クリント・イーストウッドの映画『バード』
 映画の都ハリウッドとセントラル・アヴェニューの黒人街
 ビリー・バーグズでのライヴとAFRSのラジオ番組
 フィナーレ・クラブのパーカーはクールそのもの
 ロス・ラッセルとの出会い、ダイアル録音の開始
 ラヴァー・マン・セッションとカマリロ入院
 エロール・ガーナー・トリオとのレコーディング
 五線紙になぐり書きされた〈リラクシン・アット・カマリロ〉

第6章 レギュラー・クインテットの結成
 ドリスとチャン、パーカーを愛した二人の女性
 泥沼の遺産相続争い
 謎めいて窺い知れないパーカーの心
 レギュラー・クインテットが活動を開始する
 クインテット初のスタジオ録音、バド・パウエルとの共演
 マイルスの自己主張とテナーを吹くパーカー
 カーネギー・ホールのパーカーに魔性が降りたつ
 決定的な名演〈エンブレイサブル・ユー〉
 リズム・チェンジの典型〈スクラップル・フロム・ジ・アップル〉
 3つの珠玉のスロー・バラード
 パーカーの奇行、ファッツ・ナヴァロとの初共演
 充実のリズム・セクションが光るダイアル最後の録音
 鬼気迫る傑作〈バード・ゲッツ・ザ・ワーム〉
 ジャズ・ブルースの規範〈パーカーズ・ムード〉
 独立系レーベルへの最後の録音

第7章 ライヴ・レコーディングが伝える絶頂期の姿
 ディーン・ベネデッティと幻の録音コレクション
 伝説から事実へ、解明されたベネデッティの数奇な生涯
 奇態かつ貴重なベネデッティ・コレクションの中身
 ロイヤル・ルーストからのラジオ放送
 放送事故も起きたルースト・セッションは情報の宝庫
 玉石混淆、さまざまなライヴ・レコーディングについて

第8章 ノーマン・グランツによるヴァーヴ録音
 改革者ノーマン・グランツとJATP
 マーキュリーおよびクレフ時代の始まり、その功と罪
 問題作『ウィズ・ストリングス』とパーカーの夢
 スウィング派とビバップ派の違いが際立つJATPのライヴ
 代表作になりそこねた『バード・アンド・ディズ』
 グランツの打開策『ナイト・アンド・デイ』『フィエスタ』
 ロドニーの快演が光る『スウェディッシュ・シュナップス』
 数少ないカルテット録音の名盤『ナウズ・ザ・タイム』

第9章 破滅への道、苦悩と孤独の日々
 チャンとの家庭生活と子どもたち
 ラスト・アルバム『プレイズ・コール・ポーター』の録音
 死に至る道、パーカーの最後の日々

エピローグ チャーリー・パーカーの超越的な影響力について
 ジャズの基礎を築いたルイ・アームストロング
 パーカーが切り開いた音楽の地平
 生み出されたジャズの新しい語法=文体
 ビバップとハード・バップ、あるいはモダン・ジャズについて
 音楽を聴くとはどういうことか
 初めてパーカーを聴く人のために

あとがき  パーカーとの出会い、黒人問題について、逝ってしまった人びと

参考文献
チャーリー・パーカーのアルバム・リスト
人名索引
曲名・アルバム名索引

<プロフィール>
牧野直也(まきの なおや)
1952年、東京生まれ。和光大学人文学部文学科卒業、同大学専攻科修了。専門は鎌倉期の仏教思想、中国訳経史研究。1981年から平凡社営業部の山形・秋田・青森・北海道地域担当。1985年に書籍制作会社を設立し、人文系の事典・辞書・年表などの企画・執筆に携わった後、住宅情報誌『マイルームガイド』の巻頭エッセイシリーズ「いつもここに来てしまう」の制作を担当、藤原真理、三枝成彰、角野栄子、田村隆一、阿久悠など約30名の音楽家・文学者に執筆を依頼。同時に、自己のレーベルとバンドを立ち上げ、音楽活動にも力を入れる。1998年3月から2000年7月まで、アイルランドを皮切りにメキシコ、中米、カリブ海、南米、アフリカ、ヨーロッパ、インドなど、音楽の源郷を訪ねる世界一周の旅を敢行。現在までに、タイ、カンボジア、ミャンマー、ラオス、ベトナム、マレーシアなどインドシナ半島全域およびインドネシア、スリランカ、モルディブ、フィジー、トンガなどの島嶼国を中心に43の国・地域を旅している。著書に『チャーリー・パーカー伝 全音源でたどるジャズ革命の軌跡』(2022年、アルテスパブリッシング)、『レゲエ入門』(音楽之友社、2005年)、『リマリックのブラッド・メルドー』(2017年、アルテスパブリッシング)、増補新版『レゲエ入門——世界を揺らしたジャマイカ発リズム革命』(2018年、同)があるほか、DVD『BOB MARLEY: SPIRITUAL JOURNEY』(ナウオンメディア、2007年)をはじめ、DVDやCDの監修・解説などがある。