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音楽は痛みを和らげる 特に自分自身で聴く曲を選ぶと痛みをより減らすことができる 最新研究結果

2022/08/18 14:28掲載
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Listening to an album - Credit: Getty - Contributor
Listening to an album - Credit: Getty - Contributor
音楽は痛みを和らげることができる。新しい研究によると、特に自分自身で聴く曲を選ぶことができると、痛みをより減らすことができるという。

クイーン・メアリー大学とユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの科学者たちは、自分が聴いている曲を自分でコントロールできていると思っている研究参加者は、音楽の自主性を持っていない他の参加者よりも痛みが少なかったと報告。自分自身で音楽の選択をコントロールできているように感じることが、痛みの緩和につながるようだと報告しています。

これまでの研究から、音楽には痛み、特に慢性的な痛み(12週間以上続く)を和らげる力があることが明らかになっています。しかし、特に急性(短期)の痛みに関しては、痛みと音楽の関係の背後にあるメカニズムは依然として不明な点が多いという。

テンポやエネルギーといった音楽を構成する基本的な特徴は、痛みの緩和にはあまり関係がないようです。むしろ、自分自身で音楽に関する決定をコントロールできているように感じることが、痛みの緩和につながるようだと研究者は述べています。

このテーマをより深く理解するために研究者たちは、日常的な急性の痛みを抱える286人の成人に、ある音楽を聴く前と聴いた後の痛みを評価してもらうことにしました。音楽は、複雑さの異なる2種類のヴァージョンを用意しています。

一部の参加者は、曲の複雑度の低いヴァージョンと高いヴァージョンのどちらを聴くかはランダムに決められ、他の参加者は曲の複雑度を自分で選ぶことが出来ました。しかし、実際にはそうではなく、参加者全員が同じ曲を聴きました。

その結果、自分が音楽をコントロールできていると思った参加者は、他の参加者よりも強い痛みの緩和を経験したことが実験から分かりました。

参加者のアンケートによると、参加者はどちらのヴァージョンの曲も楽しみ、音楽の複雑さと痛みの緩和の量との間に関連性は見られなかったという。また、日常生活でより積極的に音楽と関わっている人は、音楽をコントロールしているという感覚を持つことで、さらに良い痛みの緩和を享受していることも分かったという。

以上のことから、音楽を聴くことによる痛みの緩和効果を最大限に高めるためには、音楽の選択と音楽への関与の両方が不可欠であることが強く示唆されたと、研究チームは結論付けています。

「音楽を選ぶという行為は、音楽を聴くことで得られるウェルビーイング(心身が満たされていて幸せな状態)効果の重要な一部であることがわかりました。音楽を自分で選ぶとき、人々はより注意深く、あるいはよりよく音楽を聴いているようです」と研究者はメディアリリースで述べています。

この研究は、PLoS ONEに掲載されています。