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息を吹き込む管楽器 発生するエアロゾルの量は通常の会話と同程度 最新研究結果はウイルスを拡散させる説を否定

2022/08/17 15:20掲載
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tuba player
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息を吹き込む管楽器は、普通に話すよりも新型コロナウイルスが本当に広がるのでしょうか? 新たな研究によると、管楽器が実際に吹き出す空気の粒子の速度は咳やくしゃみよりもずっと遅く、おしゃべりや呼吸と同じような濃度とサイズ分布であることがわかりました。

ペンシルバニア大学の研究者は、フィラデルフィア管弦楽団の音楽家たちと協力した研究の結果を『Physics and Fluids』誌で発表しました。

研究者たちは空気中の霧の粒子をレーザーで追跡し、粒子カウンターを使ってチューバから飛んでくる空気の濃度を測定しました。その結果、管楽器が実際に吹き出す空気の粒子の速度は咳やくしゃみよりもずっと遅く、おしゃべりや呼吸と同じような濃度とサイズ分布であることがわかりました。

ほとんどの管楽器では、吹き出す空気の粒子は楽器の開口部から2メートルほどで、室内空気のバックグラウンドレベルまで減衰します。この結果から研究者たちは、管楽器奏者も一般的なソーシャルディスタンスと同じように6フィート(約1.8メートル)の距離を保つべきですが、演奏を止めるべきではないとしています。

ペンシルバニア大学の著者Paulo Arratiaはメディアリリースで、こう話しています。

「音楽家は最高の音を構成するために互いに近くに座っていますが、新型コロナウイルスのパンデミックでは、そのような配置が問題になりました」

「発生するエアロゾルの量が通常の会話と同じ範囲であることに驚きました。私は、もっと高い流速とエアロゾル濃度だと思っていました」

「願わくば、この研究結果が、安全なライヴ音楽イベントのプロトコルを開発するための保健当局の指針になることを願っています」

このチームは次にオーケストラ全体について研究する予定です。

■レーザーシート技術によるチューバから発散される流れの可視化 (CREDIT: Paulo E. Arratia)