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2022年上半期の米国のレコードアルバムの売上は前年比わずか1%増 原因はサプライチェーン問題と原材料不足

2022/07/19 14:39掲載
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米国では2008年以降、毎年成長を続けてきたアナログレコード。2021年の上半期に前年比108.2%増、年間を通じて51.4%増を記録したのとは対照的に、2022年上半期の米国のレコード・アルバムの売上はわずか1%増でした。米国のエンターテイメントデータを収集・解析するLuminate(旧Nielsen Music)の2022年中間報告によると、6月30日までの6カ月間に販売されたレコード・アルバムは約1940万枚で、前年同期の1920万枚をわずかに上回った程度でした。米国メディアはレコード・アルバムの成長が頭打ちになった可能性があると指摘しています。

Varietyによると、原因は他の商品同様に、サプライチェーンの問題とそれに続く原材料の不足だという。

メジャー2社の情報筋によると、プレス能力が極端に制限されているため、レーベルはアナログレコードの発売を遅らせたり、メジャーなポップアーティストの場合、アナログレコードが入手できるまでアルバムの発売日を遅らせたりせざるを得なくなっているという。ある幹部は、パンデミック経済がアナログレコードの卸・小売価格の両方を押し上げたと指摘しています。

ある大手レーベルの経験豊富なアナリストは、レコードの低速シフトに驚いておらず、現行商品(発売から18ヶ月未満の作品)は、2022年上半期に27%増加していると指摘しています。レコード・アルバム販売の大部分を占めるカタログ商品(発売後18ヶ月経過した作品)の8%減が、成長の伸びを抑えているのだという。

別のレーベル関係者は、2021年は量販店がアナログレコードの取り扱いを加速させた年であったため、年間を通じて51.4%増を記録したと指摘しています。Luminateによると、レコードの復活により、ターゲットやウォルマートなどの大型小売店はレコード・アルバムの販売シェアを倍増させたという。アメーバ・ミュージックのような他の店舗は、レコードに焦点を当てるためにフロアプランを一新しています。

Luminateの2022年中間報告によると、ストリーミングの継続的な成長により、米国および世界の音楽ビジネスは今年も好調だという。

米国でのオンデマンド楽曲ストリーミングは、2021年上半期に比べ10.6%の増加したことから、Luminateは、米国の総アルバム消費量(アルバム売上と楽曲販売およびストリーミングによる同等の収益)が9.3%、オンデマンド音声ストリーミングが12.4%増加したことを報告しています。

世界的なストリーミングの成長はさらに顕著で、全世界では2021年上半期に比べて24.7%増の1.6兆回のオーディオ再生を記録。ビデオストリーミングは28.1%増の9015億回に達しています。

米国ではストリーミング以外のアルバム売上は減少傾向で、2021年に年間を通じて1.1%増加したCDは2022年上半期は10.7%減少しました(1690万枚)。CDやアナログレコードなどをまとめたフィジカル・アルバムも4.7%減(3650万枚)、デジタル・アルバムは19.6%減(1040万枚)です。

2021年末のレポートで、米国で消費される音楽の74.5%がカタログ商品(発売後18ヶ月経過した作品)であることが明らかになりましたが、2022年上半期のシェアは72.4%とやや縮小しています。

PDFファイル
https://luminatedata.com/wp-content/uploads/2022/07/Luminate_Midyear_Report_US_2022_Final.pdf