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騒音問題解決? 蛾の羽からヒントを得て防音壁紙を作る方法発見 将来的には家の壁を超薄の吸音壁紙で飾ることが可能に

2022/06/18 20:15掲載(Last Update:2022/06/18 20:18)
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ミュージシャンにとっては悩みの種のひとつは「騒音問題」。隣の住人に気を使って楽器が弾けない、歌えないというあなたに朗報。ブリストル大学の科学者たちは、蛾の羽からヒントを得て、防音壁紙を作る方法を発見。これにより、将来的には家の壁を超薄の吸音壁紙で飾ることが可能になるという。

蛾の鱗粉は大きな音を吸収し、コウモリのエコーロケーション(※自ら超音波を発し、周囲からの反響音と聴き比べることで、視覚の利かない暗闇でも周囲を音で見ることができる)から身を守ってくれています。

ブリストル大学の研究チームは、この現象がより優れた吸音パネルへの鍵を握っていることを発見し、ノイズキャンセリング技術に革命をもたらす可能性があることを示しました。

共著者のマーク・ホルデリード教授は大学の発表で、「この新しい研究により、いつの日か、家の壁を、蛾が音響的にカモフラージュするメカニズムを模倣したデザインの極薄の吸音壁紙で飾ることが可能になることがわかりました」と説明しています。

今回の研究では、ホルデリード教授らは、蛾の羽の小さな一部をアルミニウム製の円盤上に載せ、入ってくる騒音に対する向きや鱗粉が吸音にどのような影響を与えるかを検証しました。

驚くべきことに、この小さな羽は優れた防音材であることが証明されました。硬い防音材の上に置いた場合でも、最大で87%のエネルギーを吸収しました。また、この効果は広帯域で無指向性である、つまり、さまざまな方向からの広い周波数範囲をカバーすることができます。

「さらに印象的なのは、羽が信じられないほど薄く、吸収する音の波長の50分の1の厚さしかないことです」と主執筆者のトーマス・ニール博士は述べています。「この驚くべき性能によって、蛾の羽は自然発生的な吸音メタサーフェスと認定され、従来の材料では作れない唯一無二な性質と能力を持つ材料となりました」とも付け加えいます。

研究チームは、『Proceedings of the Royal Society A』に掲載されたこの研究成果を再現して、この羽を基にした試作品を作る計画です。

この研究チームが明らかにした吸収は、人間が聞き取ることのできる周波数よりも高い超音波の周波数範囲内にあります。次の課題は、蛾が採用している超薄型の構造を維持したまま、より低い周波数で機能する構造を設計することです。

「蛾は、次世代の吸音材にインスピレーションを与えてくれるでしょう」とホルデリード教授は結論付けています。