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『ツイン・ピークス』テーマ曲ほか デヴィッド・リンチのコラボレーター/シンガーのジュリー・クルーズ死去

2022/06/11 00:58掲載
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Julee Cruise in Twin Peaks
Julee Cruise in Twin Peaks
『ツイン・ピークス』のテーマ曲としても有名な「Falling」も歌唱。デヴィッド・リンチ(David Lynch)アンジェロ・バダラメンティ(Angelo Badalamenti)とのコラボレーションでも知られるシンガーのジュリー・クルーズ(Julee Cruise)が死去。彼女の夫のエドワード・グリナンが明らかにしています。死因は公表されていませんが、彼女は2018年に全身性エリテマトーデス(全身のさまざまな臓器に炎症や障害を起こす自己免疫疾患)という難病を患っていたことを公表していました。クルーズは65歳でした。

クルーズはThe B-52'sのツアー・メンバーとして活動していたこともあり、夫のエドワード・グリナンはThe B-52'sのFacebookグループで亡くなったことを伝えています。

「今日、妻のジュリー・クルーズにお別れを告げたことを、このページをご覧の皆さんにお知らせしたいと思います。彼女は自分の意思でこの世界を去った。後悔はない。彼女は安らかな眠りについた。多彩な音楽キャリアを持つ彼女は、シンディ(ウィルソン/The B-52'sのメンバー)が家族を持つ間、その代役としてB(The B-52'sのメンバー)として過ごした時間が、彼女の芸能生活の中で最も幸せな時間だったとよく言っていました。彼女は彼らに永遠に感謝することでしょう。フレッド(シュナイダー/The B-52'sのメンバー)とケイト(ピアソン/The B-52'sのメンバー)と一緒に初めてマイクに立った時、彼女はまるでビートルズに入ったようだと言っていた。彼女は彼らのことをいつも愛しているし、一緒に世界中を旅したことを決して忘れないだろう。僕は彼女が変化していく間に(The B-52'sの)“Roam”を演奏しました。今、彼女は永遠に歩き続けるだろう。安らかに眠ってください、私の愛、そして皆さんに愛を」

ジュリー・クルーズは1956年米アイオワ州生まれ。大学時代にフレンチ・ホルンを学び、ミネアポリス州の児童劇団で女優・歌手として活動した。その後ニューヨークへ拠点を移し、女優としてジャニス・ジョップリン役を演じるなど演劇の仕事をしていた。やがて作曲家のアンジェロ・バダラメンティと出会い、1985年にバダラメンティが音楽を担当したデヴィッド・リンチ監督映画『ブルー・ヴェルヴェット』に出演したイザベラ・ロッセリーニのヴォイス・トレーナーとして起用され、また映画で使用されるデヴィッド・リンチ作詞による「Mysteries of Love(愛のミステリー)」を歌唱した。これが長い創作協力の始まりとなった。

その後もクルーズ、バダラメンティ、リンチの関係は続き、1989年には全曲アンジェロ・バダラメンティ作曲、デヴィッド・リンチ作詞による1stアルバム『Floating into the Night 』をリリース。これには、1990年に全米でTV放送が始まったドラマ『ツイン・ピークス』のテーマ曲として使われることになった「Falling」が収録されている。『ツイン・ピークス』で使用されたことで大きな話題となった。

1993年にはジュリーが作詞・作曲に関わった1曲をのぞいた全曲をバダラメンティ作曲、リンチ作詞を手掛けた2ndアルバム『The Voice of Love』をリリース。

その後はバダラメンティ、リンチとの協力関係を解消。1990年代の大半はシンディ・ウィルソンの代役としてThe B-52'sのツアーに参加した。2002年に3rd、2011年に4thアルバムをリリースした。

2017年、クルーズは『ツイン・ピークス The Return』に出演した。