HOME > ニュース >

プリンス『Sign o' the Times』がポール・マッカートニーの楽曲に影響を与えた理由

2022/05/24 17:42掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
Paul McCartney / Flowers In the Dirt - 2017 Reissue
Paul McCartney / Flowers In the Dirt - 2017 Reissue
ポール・マッカートニー(Paul McCartney)は自身の楽曲の中に、プリンス(Prince)のアルバム『Sign o' the Times』を聴いて参考にした曲があると自身の著書『The Lyrics』の中で語っています。1989年のアルバム『Flowers in the Dirt』に収録されている「Distractions」です。

Ultimate Classic Rockによると、ポールは『The Lyrics』の中で、こう振り返っています。

「僕はギターで“Distractions”を書いたんだけど、これが本当にうまくいくためにはアレンジが必要だと考えていたんだ。1987年にリリースされたプリンスのアルバム『Sign o' the Times』のアレンジを聴いたとき、アレンジャーがクレア・フィッシャーという人物だと知ったんだ。名前だけだったので、プリンスに魔法をかけた、とても才能のある女性だと思ったんだよ」

結局のところ、クレア・フィッシャーは男性で、しかもかなり熟練した人物でした。グラミー賞受賞歴もあるフィッシャーは、すでにカルロス・サンタナ、ジャクソンズ、ニール・ダイアモンド、ロバート・パーマー、ディジー・ガレスピーなど、数多くのアーティストと仕事をしていました。

フィッシャーの甥のアンドレは、ファンクバンド、ルーファスのドラマーでした。フィッシャーは、70年代にルーファスのいくつかのアルバムにストリングス・アレンジで参加しており、プリンスが最初にフィッシャーの作品を知ったのはこの時でした。

フィッシャーは後に「私は基本的にロックミュージシャンと呼ばれるようなものではありませんでした」と振り返り、自身のバックグラウンドがクラシックとジャズであると説明。そして「私がプリンスに受け入れられたのは、私の作品が長年の経験を通じてプロのレベルに達していたからだと思います」と述べています。

フィッシャーは、ポールの耳に留まった曲「Slow Love」のストリングス・アレンジをすべて担当していました。

ポールは連絡を取って「彼が中年の男性だと知って、かなり驚いた」という。ポールは「Distractions」を「少しジャズ調にしたい」と説明し、フィッシャーは作業に取りかかりました。ポールは後にその仕事ぶりを「彼は偉大で、ちょっとした天才だった。彼と僕は何度も話し合い、彼はそのアイデアを思いついたんだよ。僕はあのアレンジが本当に好きなんだ」と振り返っています。