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ブロンディのクリス・シュタイン、デボラ・ハリーがH・R・ギーガーとコラボしたソロ作『KooKoo』について語る

2022/05/17 15:59掲載
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Debbie Harry / KooKoo
Debbie Harry / KooKoo
ブロンディ(Blondie)デボラ・ハリー(Deborah Harry/Debbie Harry)が1981年にリリースした初ソロ・アルバム『KooKoo』。このアルバムのジャケット・カヴァーや収録曲のミュージックビデオは、映画『エイリアン』などで知られるH・R・ギーガー(H.R. Giger)が手がけました。このコラボレーションについて、ブロンディの共同創設者で、『KooKoo』にも参加したクリス・シュタイン(Chris Stein)が、ニューヨークのマンハッタンにある芸術大学School Of Visual Artsのインタビューの中で語っています。

Q:ギーガーや彼のアートとの出会い、そしてこのコラボレーションはどのようにして実現したのでしょうか?

「ギーガーの作品は60年代からずっと見ていた。彼がエアブラシを使う前から、彼のモノクロの線画はヘッドショップで売られていて、その界隈では定番のようなものだったんだ。もちろん、みんな『エイリアン』が大好きだった。まさに文化的な試金石だったんだよ。

デビーと僕は(マンハッタンの)58丁目に住んでいて、彼がアカデミー賞を受賞した直後に、57丁目でギャラリーの展覧会を開催していることに気づいたんだ。それで通りかかったら、奇妙な偶然にも、オスカーを手にした彼がそこにいたんだ。彼は僕たちのことを知っていたので、彼を僕たちのアパートに招き、彼と当時彼の妻だったミアと友達になったんだ。それから、デビーのソロ・アルバムに取り掛かった時、彼が以前にアルバム・ジャケットを数枚手がけていたのを知っていたので、彼に連絡を取ったところ、“もちろん、アルバム・ジャケットをやるよ”と言ってくれたんだ」

Q:そのジャケットが禁止されたというのは本当ですか?

「イギリスでは、アンダーグラウンド、つまり地下鉄に貼るにはあまりにも厳しいと判断されたんだ。そこで、顔の部分を三角形に刈り取って、頭から突き出ている針を切り落としたヴァージョンもあったよ。

ギーガーはアルバムのタイトルにも関わっていて、針にちなんだ“koo”(a-cu-puncture=はり治療、より)と(ノルウェーの探検家・人類学者)トール・ヘイエルダールの著書『Aku-Aku』にちなんだ奇妙なタイトルになっている。ヘイエルダールは、古代の海の旅を再現するために、葦船で海を渡った冒険家だよ」

Q:ギーガーはこのアルバムのために2つのビデオも制作していますが、何か裏話がありますか?

「(ジャケットのイメージと)すべてリンクしていたんだ。ギーガーはアラン・ムーアやロザリーン・ノートンのようなマジシャンだったので、彼の作品には魔術的な図像が多く見られる。アルバム・ジャケットに合わせたビデオ制作も、すべて同時進行だったんだ。

スイスのチューリッヒに2週間ほど滞在したんだけど、彼はすでにいくつかの作品を作っていたんだ。デビーのためにデザインしたボディスーツをポラロイドで送ってくれていた。 彼は精巧な銅製の仮面を作り、それをスプレーで顔に塗るための型紙として使っていた。僕たちが到着するとすぐに 彼女の顔の型を作ったよ。とても手が込んでいて、これらの遺物はまだたくさん残っているよ」

Q:『KooKoo』でギーガーと仕事をした理由は何だったのでしょうか。また、ギーガーのアートと音楽の間に親和性を感じましたか?

「奇妙でSF的な美学とアルバムのファンキーな音との間に、ちょっとしたズレがある。でも、今になってみると、うまくいっていると思うよ。ギーガーと一緒に仕事をするのは間違いないように思えたんだ」





[source] https://sva.edu/