ムード溢れる中毒性の高い主題歌「ストレンジ・ゲーム」には、ダークでユーモラスな同ドラマの世界観や、スパイの世界の非日常性、主人公たちの疎外感などが見事に表現されている。ミック・ジャガーは、ここでパワフルでありながら、背筋の凍るような歌声を披露。ドラマのオリジナル・スコアの音も断片的に取り込んだこのトラックは、辛辣かつ雰囲気たっぷりのテーマ・ソングといった仕上がりになっている。繊細なピアノ・アレンジながらきわめて現代的な捻りが効いたサウンドで、「また大物たちと肩を並べたい (dance with the big boys again) 」と昔を懐かしむ物語を引き立てている。ジャガーとペンバートンが作り出したテーマ曲は、それだけで聴いても印象的な1曲だが、そこにはドラマの各場面の要素が巧みに盛り込まれているのである。
この曲をジャガーと共作し、プロデュースも務めたダニエル・ペンバートンは、シンガーのセレステと組んだ「Hear My Voice」で2021年の米アカデミー賞にノミネート。直近でも彼は”Being The Ricardos (愛すべき夫妻の秘密) “のスコアで英国アカデミー賞 (BAFTA) にノミネートされており、主に映画音楽家として活躍している。近年では”Spider-Man: Into The Spider-Verse (スパイダーマン:スパイダーバース) “、”The Trial Of The Chicago 7 (シカゴ7裁判) “、”Oceans 8″、”Yesterday”など話題作の音楽を次々に担当。同じくペンバートンが手がけた”窓際のスパイ”のオリジナル・スコアおよびサウンドトラックもユニヴァーサル・ミュージックからリリース予定。