Rod Stewart - Grand Street And Three Rivers City (c)STEVE CRISE/RAILWAY MODELLER
英ガーディアン紙は「鉄道模型を愛するポップ&ロック界の巨匠たち」と題した特集を掲載。普通の家より大きいセットを持つ
ロッド・スチュワート(Rod Stewart)をはじめ、鉄道模型を愛するポップ&ロック界の巨匠たちを紹介。またカイリー・ミノーグやリック・アストリーなどを手がけたプロデューサー・チーム、ストック・エイトキン・ウォーターマンのひとり、ピート・ウォーターマンのインタビューも紹介しています。
ロッド・スチュワートの鉄道模型のセットは、子供部屋にあるようなものではありません。彼の大作『Grand Street & Three Rivers City』は、20世紀半ばの工業都市を139平方メートルの広さで驚くほどリアルに表現しているのです。1940年代のマンハッタンとシカゴをベースにしたこの作品は、彼のビバリーヒルズの邸宅に飾られており、高さ5フィート(約1.5メートル)にもなる高層ビル、倉庫、橋、ラッシュアワーの交通、当時の車やローリー、川の再現部分、そして驚くほど精巧なミニチュア発電所までが含まれています。
スチュワートは以前にガーディアン紙に「23年かけて作ったもので、普通の人の家よりも大きいよ」「とても高価なものだけど、それだけの価値があるんだ。毎日作業しているよ」と語っています。
鉄道模型で二重生活を送っている音楽スターは、スチュワートだけではありません。ニール・ヤングは鉄道模型の別名(クライド・コイル)を持っており、一時期は230メートルの線路や列車、建物、木、トンネルを含む巨大な納屋を持っていたと伝えられています。エルトン・ジョンは、自宅の庭に線路を引いていると言われています。ジュールズ・ホランドのコレクションは30メートルにも及び、ロンドンからベルリンまでのルートも含まれています。
少し遡ると、フランク・シナトラは100万ドル相当の鉄道模型と、彼の生まれ故郷であるニュージャージー州ホーボーケンのレプリカを所有していたと言われており、それらを「All Aboard」という部屋に保管していました。ロジャー・ダルトリー、ブルース・スプリングスティーン、エリック・クラプトン、フィル・コリンズ、リンゴ・スターなどは、小さなエンジンや客車に情熱を傾けていることで知られるロックの神々です。
カイリー・ミノーグやリック・アストリーを手がけたプロデューサー/ソングライターであるピート・ウォーターマンは英国でも有数の鉄道模型製作者でもあります。
ウォーターマンは鉄道模型についてこう話しています。
「心理学者なら、きっと僕らのことを面白がってくれるよ」
「(鉄道模型は)実践的な創造力と膨大な量の調査によるもので、音楽を作ることとそれほど変わりはないよ」
「ロッドの作品は素晴らしいよ。彼がアメリカの建物でやっていることは熟練が必要だ。プラスチックや段ボールを手に取って、彼のように組み立てられる人はそういない。ロッドの得意分野は高層ビルだ。僕の場合は木だ。針金で木を作り、葉っぱを何時間もかけて貼り付けるんだよ」
「カイリーや他のアーティストにもたらしたのと全く同じ思考プロセスなんだ。“シングルがNo.1になった。どうしたらまた取れるのか?”。ただ今は、シンバルをどこに置こうかと悩むより、あの木はあそこで使えるかな?あの家は線路に近すぎないか?といったことを考えるようになったんだ」
ウォーターマンはまた、夜中に起きて、鉄道模型について考えていると「これは鉄道模型だ!気でも狂ったか?」と思うこともあるそうです。
雑誌『Railway Modeller』の編集者で、スチュワートにインタビューしたこともあるスティーブ・フリントは、ロックンロールと同じように、鉄道模型にはロールプレイの要素があると主張しています。
またフリントは、スチュワートやウォーターマンのような有名人が、この趣味を宣伝し、さらにはもっとクールにすることで「素晴らしい恩恵」を与えているとも主張しています。
「今でも時々、嘲笑されることがありますが、鉄道模型は普通のことだと思われています」と彼は言う。「伝説のロッカーが『Railway Modeller』誌の表紙を飾ることは、ローリング・ストーン誌の表紙を飾るよりも良い」と主張した後、彼は実際に『Railway Modeller』誌の表紙にスチュワートを載せることができたことに、特に感激しているという。
ウォーターマンは「僕がモデラーであることを公表した後、みんなが公表するようになった。鉄道オタクや鉄道マニアと呼ばれることを誇りに思っているよ」と話し、彼は、私たちが知っているよりも、はるかに多くの有名なモデラーがいるのではないかと思っています。多くの有名人から「僕もやっているんだ」とささやかれたことがあるそうです。
鉄道模型は困難な状況に置かれたときに助けになります。子供のころに鉄道のセットを買ってもらったニール・ヤングは、巨大なレイアウトを作り、脳性まひの息子ベンが列車を操作できるよう、特別な制御装置を考案しました。
2005年、ウォーターマンの息子ポールが33歳で亡くなったとき、ウォーターマンは音楽を聴くことができませんでしたが、モデリングが癒しになったと話しています。「ああ、救われたよ。いい意味で、電車に集中して、周りのことを考えないですむんだ。逃げないけど、毎日を過ごすのが少し楽になったよ」
■ロッド・スチュワートの大作『Grand Street & Three Rivers City』