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ビートルズ「ルーフトップ・コンサート」を止めた警察官、当時のことを語る

2021/11/30 12:41掲載(Last Update:2021/12/01 17:10)
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Cop Who Broke Up The Beatles' Rooftop Concert
Cop Who Broke Up The Beatles' Rooftop Concert
ビートルズ(The Beatles)が1969年1月30日にアップル・コアの屋上で行ったゲリラライヴ「ルーフトップ・コンサート」。ビートルズの最後のライヴ・パフォーマンスを止めた警察官が、英The Daily Mail紙のインタビューに応じて、当時のことを語っています。

現在は引退しているレイ・シェイラーは当時25歳の巡査でした。彼は当日の午後、自分のデスクから爆音の音楽が聞こえてきたことを思い出し、「うるさいな」と思ったと振り返っています。警察署からわずか約140メートルの場所で起きたこの騒動の報告を受け、彼は後輩の警察官とともに出動しました。

シェイラーら警察官たちは当初、アップル・コアの従業員に屋上への立ち入りを拒否されました。シェイラーらは、通りに面した他の企業から騒音の苦情が出ていることを説明して、ようやく2階に上がることが許可されました。

監督のマイケル・リンゼイ=ホッグは、ビートルズの演奏に苦情が寄せられることを知っていたので、警察が介入することを覚悟していました。彼は、映画のために素晴らしい映像が撮れると確信していましたが、アメリカ人である以上、下手をすれば強制送還されるかもしれないという不安を感じていました。

シェイラーは、屋上への扉を開けてビートルズの演奏を間近で見たことを「興味深い瞬間だった」と認めていますが、これ以上続けさせるわけにはいかないとも思ったと話しています。

「私はファンとは言えません。ビートルズがハレー・クリシュナになってからはあまり好きではありませんでした。でも、家にはビートルズのレコードやLPが何枚かあって、彼らの音楽は好きでした。しかし、屋上に上ったとき、私は自分の仕事をしなければならず、“これを止めなければならない”と思ったのです」

ビートルズは、2人の警官を少し見た後、「自分たちがしていたことを続けた」という。

コードを切る前に、シェイラーはロードマネージャーのマル・エヴァンスに相談し、バンドにプラグを抜くように要求しました。

「私はマルに、彼らがやっていることには感謝しているが、これ以上は治安を乱すことになるので無理だと言いました。“どれくらい続いているのか?”と聞くと、彼は“あと1曲”と言ったので、私は“子羊を盗んでも親羊を盗んでも同じ罰を受けるなら、肉が多い親羊を盗んだ方がよい(ことわざ:どうせ同じように罰せられるのなら最後までやった方がいい、の意味)と同じだ。あれをやってしまえば、それで終わる”と思ったのです。それは話し合いであって、熱くなることはありませんでした」

シェイラーは、演奏が終わって帰るときのビートルズの反応についても語っています。

「ジョージ(ハリスン)とジョン(レノン)は私たちに話しかけてきませんでしたが、それには理由がありました。彼らはその頃、大麻か何かで捕まり、保釈中だったんです。新聞にも載っていました。ポール(マッカートニー)はコンサートについて謝罪し、リンゴ(スター)は“僕に手錠をかけないでくれ!”と冗談を言っていました」

後にリンゴは、「警官に羽交い締めにされて逮捕され、そのシーンを映画のラストに使いたかった…」と語っています。

「逮捕しなかったことでリンゴを失望させてしまったことは残念ですが、誰かを逮捕するつもりはなかった」とシェイラーは語り、「ビートルズのコンサートを止めた男になった気分はどうかと聞かれましたが、私はそれが真実だとは思いません。私はビートルズを止めたわけではない。ただ、彼らが続けない方がいいのではないかと提案しただけです。もし、ビートルズが怒っていたり、続けようとしていたら、状況は変わっていたかもしれない。私はいつも、人を逮捕することなく問題を解決しようとしていました」と付け加えています。

ルーフトップ・コンサートの数ヵ月後、ビートルズのシングル「Get Back」(ルーフトップ・コンサートスの最後の曲)が1位になりました。警官の到着を含むコンサートの映像は、数週間にわたって英TV番組『Top of the Pops』で流されました。

シェイラーによると、Appleから新しいドキュメンタリー『ザ・ビートルズ:Get Back』のDVDを贈られてきたそうです。彼はまだそれを見ていませんが、最初の映画 『レット・イット・ビー』で彼がスクリーンに登場したことを覚えています。

「自分の対応が悪かったとは思いませんが、なんだか厳しい顔をしていますね。ヘルメットのせいだな」