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アイアン・メイデン好きを示す画像を投稿した高校の校長に対して保護者が解任要求、学生側は反論し保護者よりも28倍の署名を集める

2021/10/10 01:40掲載(Last Update:2021/10/18 00:45)
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Iron Maiden
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カナダの公立高校の校長がアイアン・メイデン(Iron Maiden)のファンであることを示す画像をSNSに投稿したところ、生徒の保護者の一部が校長の解任を求める請願キャンペーンを開始。これに対して学生側は「この学校のこれまでの校長の中で最も優れた、最も熱心な校長の一人だ」と反論する請願キャンペーンを開始。現時点で学生側は保護者側と比べて約28倍の署名を集めています。

この論争は、校長のシャロン・バーンズが、アイアン・メイデンのポスターの前で、ロックでお馴染みの手のジェスチャー「メロイック・サイン(devil horns)」を決めている写真と、アイアン・メイデンのマスコットであるエディの人形と数字の「666」が書かれたボードが登場する写真を投稿したことから端を発しています。この2つの写真は、学校で使用しているInstagramアカウントに投稿されたものでした。

生徒の保護者の一部は、サイトchange.orgで始めた請願キャンペーンでこう主張しています。

「オンタリオ州セントキャサリンズのエデン高校に通う多感な子供を持つ親として、この学校に赴任した校長が、すべての生徒が見ることのできる公共のソーシャルメディア上で、悪魔のシンボルや悪魔崇拝への忠誠心を露骨に示したことに深く心を痛めています。

学校はインクルージョン(※社会的な一体性や多様性を受け入れて一つになること)を基本としており、大多数の家族の理念に真っ向から反する悪魔のシンボルを(公共のソーシャルメディア上で)公然と表示することは、インクルージョンではない。親として私たちは、彼女が他の学校に転校することを要求します」

またChange.orgに寄せられた保護者のメッセージによると、保護者たちが心配しているのは校長の音楽の趣味ではなく、「666」が書かれたボードのようです。

「この嘆願書は、シャロン・バーンズがアイアン・メイデンを愛していることについてではありません。この嘆願書は、学校の校長が自らの手で作った666のボードを公然と掲げていることについてのものです。彼女は、その悪魔のシンボルが学校に通う大多数の家族にとってどのような意味を持つかを十分に理解しており、それを個人的なアカウントではなく、ソーシャルメディア上の公的なアカウントである@edenprincipal(※エデン高校)に投稿したのです。もし彼女が自分で作った666のサインの写真を投稿しなかったら、この嘆願書は存在しなかったでしょう。彼女がどんなバンドが好きかなんて誰も気にしていないし、何を聴くかというのは問題ではありません。それは些細なことであり、無意味なことです。これは、職業上のプロフィールページに悪魔のシンボルを表示することを公然と選択したことについてのみです」

両親の怒りを受けて、学生たちは校長を支援するための請願書キャンペーンを開始します。生徒たちは自分たちの嘆願書でこう主張しています

「最近、エデン高校の校長を“解任”するという請願書が出回っています。数人の保護者が、Instagramの投稿だけで彼女の校長としての役割を判断するのは馬鹿げています。(アイアン・メイデンというバンドが好きだということ、それだけです)。エデン高校は公立の学校です。キリスト教の学校ではありません。もし、自分の子供、孫、親戚などが通う学校の校長がどうしても気に入らないのであれば、他の学校に通わせればいいのです。校長先生は、エデンが多様性のある場所であることを生徒たちに気付かせるために、たくさんの努力をしています。キリスト教以外の宗教、たとえばイスラム教の生徒のために、部屋全体を祈りの部屋にしたこともあります。彼女はエデンを多くの人にとって安全な場所にしてくれました。彼女は愛と優しさだけを広めており、おそらくこの学校のこれまでの校長の中で最も優れた、最も熱心な校長の一人です。もしあなたがこの嘆願書全体に光を当てたいのであれば、ぜひ署名を検討してください」

この記事を書いている時点で、生徒たちの嘆願書には12,481人の署名があり、それに対して保護者たちの嘆願書の署名は445人です。

■生徒たちの嘆願書
https://www.change.org/p/dsbn-we-need-mrs-burns

■保護者たちの嘆願書
https://www.change.org/p/district-school-board-of-niagara-removal-of-principal-sharon-burns-from-eden-high-school

【update:2021/10/18 00:42】

カナダの新聞ナショナル・ポスト紙によると、オンタリオ州南部のナイアガラ地区教育委員会のチーフ・コミュニケーション・オフィサーであるキム・スウィーニーは、同教育委員会がバーンズ校長の解任を求める活動をした保護者と話し合った結果、「教育委員会としてはこの問題は終わった。懲戒処分や方針の変更は必要なかった」と述べており、バーンズ校長はそのまま仕事を続けることが許可されています