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ジミー・ペイジ、レッド・ツェッペリン50周年記念公式ドキュメンタリーについて記者会見で語る

2021/09/06 02:30掲載
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Led Zeppelin (Image: © Dick Barnatt / Redferns (Getty Images))
Led Zeppelin (Image: © Dick Barnatt / Redferns (Getty Images))
レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)の50周年を記念したオフィシャル・ドキュメンタリー映画『Becoming Led Zeppelin』。プレミア上映されたベネチア国際映画祭では、ジミー・ペイジ、監督のバーナード・マクマホン、映画プロデューサー兼脚本家のアリソン・マクガーティによる記者会見も行われました。

記者会見に出席した唯一のバンドメンバーであるペイジは、過去にドキュメンタリー映画の制作依頼があったことを認め、「かなり惨めなものだった」と語っています。

「そう、悲惨なんだよ。それに、彼らは音楽以外のことに集中したがるので、結果的に僕はすぐに手を引いてしまうんだ」

しかし、『Becoming Led Zeppelin』は違うようで、ペイジは「音楽と、音楽を動かすものについてのすべてが含まれている。しかも、使われている曲は、ほんの少しのサンプルや曲の冒頭ではなく、完全なヴァージョンなんだ。これは、まったく別のジャンルだよ」と述べています。

サイトvarietyによると、実際、このドキュメンタリーでは「Good Times Bad Times」や「Ramble On」などの楽曲がフルで使われているという。また、有名なライヴの新しい映像やアングルは、象徴的なパフォーマンスに新たな命を吹き込みベネチアの観客を魅了したと伝えています。

また、ペイジの言葉を借りれば、この映画はバンドの視点で描かれており、初期のグループ内での個人的な苦難や緊張感よりも、バンドの音楽的な旅に焦点が当てられています。

監督のバーナード・マクマホンは、この映画をミュージカルのようでもあり、ミュージシャンを目指す人のためのハウツーガイドのようでもあると語っています。

また映画プロデューサー兼脚本家のアリソン・マクガーティは、この映画を、バンドのタイムラインを複雑に描いた絵コンテにして、それを革表紙の本に仕上げ、ペイジにプレゼントしました。

ペイジは「最初に会ったときは、お互いに少し緊張していたと思うけど、その繋がりは絵コンテだったんだ。とても正確にリサーチされていて、とても深かいものだった。“彼らは本当にやり遂げた。それが何であるかを本当に理解している”。僕はただ、それが実現するかどうかを待ちきれずにいたけど、実際に実現し、素晴らしい経験となった。しかも、 絵コンテを忠実に再現しているんだよ」

マクガーティは、脚本がある『Becoming Led Zeppelin』は、「長編映画のドキュメンタリーの作り方」に近い「変わった」制作方法を採用したと述べています。

先月亡くなったチャーリー・ワッツを欠いても活動を続けると決めたローリング・ストーンズとは対照的に、レッド・ツェッペリンはジョン・ボーナムが1980年に亡くなった直後すぐに解散しました。その違いについて、ペイジはこう語っています。

「ストーンズは大好きだよ。チャーリーの演奏も、ビルやキースと息に合ったところも大好きだった。でも、レッド・ツェッペリンと他の多くのバンドとが違っていたのは、僕たちはステージに上がると、セットの間ずっと即興で演奏していたことなんだ。1968年にスタートしてから、ジョン・ボーナムを失うまで、多くの即興とリフがステージ上で生まれた。ジョンを失ったときは(演奏を続けることは)考えられなかった。即興演奏ができないならどうするべきか? 簡単な決断だったよ」

『Becoming Led Zeppelin』には、1年かけて探し出したボーナムのインタビューの非常に貴重な映像が含まれています。ボーナムがオーストラリアのジャーナリストと話していたものですが、そのジャーナリストが自分の名前を名乗らなかったため、監督のマクマホンは「当時のオーストラリアのジャーナリスト全員に“この声を知っていますか?”と聞きに行かなければならなかった」と話しています。

最終的には、その声に気付いた人がいて、そのジャーナリストは数年前に亡くなっていました。しかし、オーストラリアの国立映画音声アーカイブには、3万本の無印の取材テープが残されており、1年かけてすべてのテープを調べた結果、ボーナムとの録音が発見されました。

「ジョンがこの映画の中で生きているということだよ」とペイジは言っています。

以下は記者会見の映像。※52分45秒から



今回の記者会見にあわせて、初のティーザー映像がYouTubeで公開されています。



監督はバーナード・マクマホン。マクマホンは、アメリカで発展した音楽の歴史、録音音楽の歴史などにフォーカスしたドキュメンタリー『アメリカン・エピック(American Epic)』の監督として知られています。

この映画では、バンドの初期から、1970年に『Led Zeppelin II』がビートルズの『Abbey Road』を抜いてアメリカのビルボード・アルバム・チャートの頂点に立った瞬間までをカバーしています。制作陣はバンドに前例のないアクセスが与えられています。

この映画には、ジミー・ペイジ(Jimmy Page)ロバート・プラント(Robert Plant)ジョン・ポール・ジョーンズ(John Paul Jones)の3人の新たなインタビューも含まれます。またジョン・ボーナム(John Bonham)の貴重なアーカイブ・インタビュー、未公開のアーカイブ映像や写真、バンドの音楽や彼らのサウンドを作り上げた他のアーティストの音楽も登場します。ボーナムのアーカイブ・インタビューは、ボーナムがオーストラリアのジャーナリストにインタビューされた際のもので、1年がかりで探し出した貴重なものだとのこと。また、AP通信の報道によると、この映画には「バンドの初期のアメリカとイギリスでのコンサートの未公開映像」も含まれています。

マクマホンは以前にこの作品についてこう述べています。

「『Becoming Zeppelin』は、誰も作ることができないと思っていた映画だ」「このバンドは流星のごとくスターの座にのし上がったが、ほとんど記録されていなかった。世界中を徹底的に探し、何年もかけて映像と音声のアーカイブを修復することで、この物語はついに語られることになったのです」。

上映時間は137分で、プレミア上映後、一部の批評家からは「長すぎる」という不満の声が上がっています。

この映画の公開日はまだ決まっていません。