ニルヴァーナ(Nirvana)の1993年アルバム『In Utero』について、
デイヴ・グロール(Dave Grohl)が語っています。
デイヴは自伝『This Is a Call』(2011年)の10周年記念改訂増補版を海外で10月5日に発売します。追加部分の抜粋がサイトLouderで公開され、『In Utero』に対する複雑な心境を語った部分も公開されています。
「あのアルバムはバンドのある瞬間を切り取ったもので、当時の状況を正確に表現している...あれは暗かった。クソ暗いアルバムだよ。
あのレコードを聴くのは好きじゃない。俺にとっては奇妙な作品なんだ。
ラジオで流れている曲をたまに聴くけど、モダン・ロックのラジオの中で“All Apologies”や“Heart-Shaped Box”が流れてくるときの音の違いは、際立っていて好きだけど、歌詞的にもコンセプト的にも、あまり繰り返し聴きたいものではない。
あのアルバムで一番好きなのは、緊迫感のある音と、部屋の中で3人で演奏している音かもしれない。
『Nevermind』と『In Utero』は全く違うアルバムだ。『Nevermind』は意図的に作られたもので、修正主義者がニルヴァーナの作為的なヴァージョンだと言うかもしれないが、そうではない。俺たちはあのレコードを作るためにそこに行き、『Nevermind』にたどり着くために何時間も何時間も毎日リハーサルをした。
しかし、『In Utero』はとても違っていた。苦労して作ったわけではなく、ただ......ブワーッと......浄化されるように出てきた、とても純粋で自然なものだった。
『Nevermind』のような構造化されたアルバムを作ったことと、『In Utero』のような向こう見ずなアルバムを作ったこと、どちらも俺はとても誇りに思っているよ。一生のうちにこのようなアルバムを1枚でも作れるなら、それは幸運なことで、俺たちは2枚続けて作ることができた。
『In Utero』は明らかに、『Nevermind』の成功とサウンドへの直接的な反応だった。俺たちは“ああ、そうなんだ、こういうのが好きなんだよな? じゃあ、そうしよう!”という感じで、自分たちを別の方向に押し出しんだ。
でも、このアルバムは俺にとって、全部聴くのが難しいアルバムだ。あまりにもリアルで、当時のバンドを正確に表現しているので、別の記憶がよみがえってきて、なんだかゾッとしてしまうんだよ。
面白いよね。俺は多くの時間を今後の計画に費やしているので、自分がやったことを振り返ることにはあまり時間をかけていない。でも、『In Utero』は素晴らしい旅だったよ」