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キッスのポール・スタンレー、バンドの定番曲のひとつ「Strutter」について語る

2021/08/23 00:27掲載
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KISS / KISS
KISS / KISS
キッス(KISS)ポール・スタンレー(Paul Stanley)は、1974年のデビュー・アルバム『KISS』に収録されているバンドの定番曲のひとつ「Strutter」について、英Classic Rock誌のインタビューの中で語っています。

「キッスのファーストアルバムに収録された曲を書いていた頃、俺はニューヨークでタクシーを運転していた。大きな夢を持ち、ロックを愛し、成功して音楽を自分の人生の糧にしたいと願う子供だった。音楽はすでに俺の人生だったが、お金にはならなかった。

俺たちは週5日、東23番街10番地でリハーサルをした。毎晩曲を書くのは珍しいことではなかった。ジーン(シモンズ)と俺はとてもうまくいっていた。俺たちの化学反応は信じられないほど生産的で、とても刺激的だった。私たちは絶好調で、その間に“Strutter”“Deuce”“100,000 Years”など、ファーストアルバムに収録されているほぼすべての曲を書き上げた。

“Strutter”では、ストーンズの“Brown Sugar”の雰囲気に近づけようとした。

ジーンには“Stanley The Parrot”(※“Strutter”の原曲)という曲があって、その中には、テンポを上げてバウンスさせたり、ロックさせたりできるような部分があった。曲の雰囲気が変わると、その威勢の良さを表現するための新たな歌詞が必要になってくる。

当時のニューヨークには、とてもクールな人たちがたくさんいた。この歌詞は、ヴィレッジを歩いていて、ロッククラブに通っている素敵な女性たちへのオマージュだったんだ。サテンやレースを身にまとった女性たちを見て、“わあ、この子はどこから来たんだろう?どこへ行くのだろう?”。

当時、そういう女性に一番近かったのは『プレイボーイ』の女性たちだった。この曲には、自信に満ちた表情でセクシーさを醸し出している女性たちの自信を要約するようなタイトルが必要だった。俺にとって“Strutter”はまさにそれを象徴するものだった。

この曲をレコーディングしたとき、正直なところ、結果は少し残念なものだった。俺たちのライヴの音とは違っていた。俺たちは格好良く、最高で、大音量のロックンロールバンドだったが、スタジオでそのライヴ・サウンドをどうすれば手に入れるのか知らなかったし、知っているはずの人たちもなぜか知らなかった。

初期のキッスのレコードを聴くと、俺たちのサウンドは、ガレージバンドのあまり良くない特徴のように、ちょっと軽い感じがする。“Strutter”をアリーナで聴いたことがある人なら、その迫力を知っていると思うけど、当時、小さなクラブでどれだけパワフルに聴こえたかを想像してみて欲しい。でも、レコードを作ることができたのは宝くじに当たったようなものだから、税金を払うことに文句を言うつもりはなかったよ。

“Strutter”はキッスの曲の中でも最も素晴らしい曲のひとつだと思う。初期のキッスの曲の良いところは、本当に自由奔放で、非常に直感的なものだったということだ。俺たちは、自分たちが興奮すること以外に、何も生きがいがなかった。時間が経てば多くのことを学ぶことができる。より良いソングライターになれるかもしれないが、時には素朴な自由さが最高の結果を生むこともあるんだ」