ロバート・ワイアットと日本人アーティストThe Future Eveのコラボ・アルバム　全曲リスニング可

●『KiTsuNe / Brian The Fox』

KiTsuNe / Brian The Foxは、Tomo Akikawabayaとして80年代より活動し、Minimal Waveからのリイシューによって近年世界的な再評価が高まる日本人アーティストThが、ロバート・ワイアットから1998年に受け取った１本のDATテープから始まったコラボレーション作品。録音された一篇の詩とベーシックなトラックがThのギター、半谷高明によるシンセサイザー、ミックスによって拡張され、膨大なワイアットのコラボレーションの中でも最もオブスキュアな作品となったオリジナル・バージョン（Disc1）。無常を見るかのように繰り返されるワイアットの声と詩、テープのMIDI変換によってプリミティヴな音階を獲得し、まるでアクションペインティングのように特異な動きへと変貌を遂げ、生命の輪廻が表現されたというリング・バージョン（Disc2）。電子エスノ・アンビエントともコールドウェイヴの極北とも呼べるかのような強烈な密度を持ったこの作品は、成長と増幅を遂げ、様々なプロジェクトが現在も派生している「KiTsuNe」の広大な世界の端緒となる貴重なドキュメントといえます。

DISC1「02.03」はワイアットのアルバムCuckoolandに収録された「Tom Hay’s Fox」の原曲。マスタリングをTaylor Deupreeが担当、アートワークにはTh自らが撮り下ろした写真が使用され、デザインをModern Love諸作を手がけるRadu Prepeleacが手がけています。

＜The Future Eveについて＞
日本人アーティストTh によるプロジェクト 。70年代より音楽活動を開始、渡英したロンドンでは ポストパンクバンドThe Desperate Bicycles のメンバーとして在籍。帰国後、1981年より Tomo Akikawabaya 名義で活動、のちに再発される「The Castle」など多数のレコーディングを行う。その後、半谷高明とユニット Beata Beatrix を結成し、1997年にプロモーション用に製作したCDを Robert Wyatt が評価したことから、その後の長い交流とコラボレーション活動が生まれた。2000年代に入ってからは、表立った活動はなかったものの、長年インターネット上で Tomo Akikawabaya の楽曲が拡散し続けたことにより、世界中に多くのファンが生まれ、多数のレーベルから再発オファーが相次いだ。2015年 Veronica Vasicka のMinimal Wave より、 過去にレコーディングされた「Mars」「The Castle」「Anju」 をまとめた「The Invitation Of The Dead」をリリースし、世界中から高い評価を得た。2016年、Robert Wyatt との共作を発表するに際し、新たに名義を The Future Eve と変更。 Wyatt とのコラボレーションを開始して以来、20年の歳月を経てて２部構成による作品群「KiTsuNe」がFLAU よりリリースされる。現在も Wyatt 自身の希望からなる「Ghost Version」をレコーディング中。