HOME > ニュース >

クラフトワークのサンプリング訴訟 ドイツ裁判所「著作権侵害には当たらない」と判決

2016/06/01 02:19掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
Kraftwerk
Kraftwerk
クラフトワーク(Kraftwerk)の楽曲から2秒ほどのフレーズをサンプリングして女性ラッパーの楽曲に無断使用したとして、クラフトワーク側がこの曲を作ったヒップホップ・プロデューサーのMoses Pelhamを著作権侵害で訴えていた訴訟の判決が先日あり、ドイツの連邦憲法裁判所が、この件は著作権侵害には当たらないとする判断を下しています。

この訴訟は、プロデューサーのMoses Pelhamらが、ドイツの女性ラッパーSabrina Setlurの楽曲「Nur mir」(1997年)の中で、クラフトワーク「Metall auf Metall(Metal on Metal)」から2秒ほどのフレーズをサンプリングしてドラムサンプルとして繰り返し使用したため、クラフトワークのラルフ・ヒュッターが著作権侵害を訴えていました。

すでに20年ほど争われているこの訴訟は、2012年にドイツの裁判所からクラフトワーク側の勝訴という判決が出ていましたが、プロデューサー側が控訴していました。

連邦憲法裁判所は判決の中で、「サンプリングによって生み出された新しい楽曲が、原曲と競合しない、そして財政的に著作権の所有者を傷つけない限り、サンプリングの使用が原曲の著作権を侵害したことにはならない」と説明。

今回のケースは、「クラフトワークへの影響は芸術的な表現の自由よりも大きくなかった」「まったく新しくて、そして独立したものであった」「原曲の経済的価値を衰えさせるようなものではなかった」と説明。また裁判所は「芸術的な表現の自由は、著作権の所有者の権利よりも優先される」とも説明、今回の使用もそれに属するものであり、原曲の著作権を侵害したことにはならないとの判断を下しています。

裁判所は「ヒップホップの音楽スタイルは、このようなサウンドを使うことによって成り立っている面もある。もしこれが禁止されたなら生き残らないだろう」といい、サンプリングを禁止することは特定の音楽スタイルの終わりを意味するであろうとも説明。ただし、今回のケースはプロデューサー側がサンプリング使用する前に許可を求めるべきであったとも主張しています。