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分析的ジャズ入門本『すごいジャズには理由(ワケ)がある──音楽学者とジャズ・ピアニストの対話』が発売

2014/04/28 13:24掲載(Last Update:2014/04/28 13:31)
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すごいジャズには理由(ワケ)がある──音楽学者とジャズ・ピアニストの対話
すごいジャズには理由(ワケ)がある──音楽学者とジャズ・ピアニストの対話
名演の構造がわかる、分析的ジャズ入門本『すごいジャズには理由(ワケ)がある──音楽学者とジャズ・ピアニストの対話』がアルテスパブリッシングより5月26日発売予定。
●『すごいジャズには理由(ワケ)がある──音楽学者とジャズ・ピアニストの対話』
岡田暁生 (著), フィリップ・ストレンジ (著)

「ジャズがわかる」って、こういうことだったのか!
名演の構造がわかる! 分析的ジャズ入門

クラシックの音楽学者が知性派ジャズ・ピアニストに弟子入り!
ビル・エヴァンズ〈マイ・ロマンス〉、
マイルズ・デイヴィス〈マイルストーンズ〉、
ジョン・コルトレーン『至上の愛』、
チャーリー・パーカー〈ヤードバード組曲〉など、
誰もが知る名演を題材に、ジャズの奥義を学ぶ!

★フィリップ・ストレンジによる序文

読者のみなさんへ

ジャズは彩り豊かな長い歴史をもっています。エンタテイナーたち、コメディアンたち、とてつもない美女たち、
カッコイイ男たち、麻薬患者、金持ちのパトロン、奴隷だった人々、ダンサー、ヨーロッパのセレブ、ボクサー、牧師、
背後にマフィアがいる連中、レコード会社の重役、独学のミュージシャン、音楽院を卒業した人たちなどなど……。
多くのジャズ・ミュージシャンは物語のような人生を送ってきました。口コミの楽しいエピソード、
とりわけ事実とも作り話ともつかないご乱行の物語のオーラが、ルイ・アームストロング、チャーリー・パーカー、
マイルズ・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンズといった伝説のミュージシャンたちを彩ってきました。
多くの伝記が彼らのキャリアについての一般的な説明に加えて、その個人生活の興味深く生き生きしたポートレイトを提供してくれます。
しかしながら、アーティストの真価とは最終的には彼らの芸術のクオリティにもとづくものです。
ジャズはいわば、プレ・コンポジションとリアルタイムでなされるコンポジションとが混ざり合ったような音楽です。
ジャズの「実質」とは、リズム、メロディ、ハーモニー、形式、そして音色にほかなりません。
ジャズの歴史の明快な把握は、音楽そのものについての実践的な深い理解、とりわけ偉大な先人たちの手によって、
時代とともに音楽がどのように変化し発展してきたかについてのそれにもとづかねばならないのです。
真の理解こそが混乱を取り除き、この驚嘆すべき芸術形式への真摯にして持続的な愛への道をひらいてくれると、私は考えています。
この本の中で私と岡田暁生氏は、偉大な芸術家たちを例にとりながら、音楽そのものの発展にもとづいた
モダン・ジャズ史を描き出そうと試みました。

2014年4月3日 フィリップ・ストレンジ、DMA


★岡田暁生(おかだ・あけお)
1960年京都生まれ。京都大学人文科学研究所教授。専門は音楽学。
大阪大学大学院博士課程単位取得退学。大阪大学文学部助手、神戸大学発達科学部助教授、京都大学人文科学研究所准教授をへて現職。
著書に『〈作曲家◎人と作品〉リヒャルト・シュトラウス』(音楽之友社)、『楽都ウィーンの光と陰』(小学館)、
『「クラシック音楽」はいつ終わったのか?』(人文書院)、『音楽の聴き方』(中公新書、第19回吉田秀和賞)、
『ピアニストになりたい』(春秋社、平成20年度芸術選奨文部科学大臣新人賞)、『西洋音楽史』(中公新書)、
『オペラの運命』(中公新書、第23回サントリー学芸賞)などがある。

★フィリップ・ストレンジ(Phillip Strange)
1960年テキサス生まれ。アリゾナ州立大学(学士:音楽教育/修士:クラシック・ピアノ)で学ぶ。
グレン・ミラー・オーケストラのメンバーとして1988年に初来日、10年間甲陽音楽院(神戸)で教鞭をとった後、
1999年より奨学金給費特別研究員としてマイアミ大学に招かれる。
2003年にキース・ジャレットの即興についての論文で博士号を得る。2005年までマイアミ大学講師(ジャズ・ピアノ)。
マイアミ時代には『ダウン・ビート』誌よりBest Instrumental Jazz Solist(2002、2003)、Best Jazz Original Composition(2002)、Best Jazz Instrumental Group(2001)を受賞。
クレア・フィッシャー、ヴィンス・マッジョらに師事。
ジョー・ヘンダーソン、ルー・タバキン、デイヴ・ホランド、ピーター・アースキン、マーク・ジョンソン、ジェイムズ・ムーディー、ケヴィン・マホガニーらと共演。
リリースCD多数。現在大阪在住、梅田のライヴハウス「Azul」のハウス・ピアニスト。