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レディオヘッドのコリン・グリーンウッドとエルトン・ジョン論説発表 英国政府にブレグジット後のツアーの再交渉を呼びかける

2021/02/09 11:23掲載
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Colin Greenwood & Elton John
Colin Greenwood & Elton John
レディオヘッド(Radiohead)コリン・グリーンウッド(Colin Greenwood)エルトン・ジョン(Elton John)は、英国のアーティストが欧州連合(EU)離脱後もヨーロッパをビザなしでツアーできるようにするために英国政府に再交渉を求める論説を英ガーディアン紙にそれぞれ寄稿しています。

コリンもエルトンも、ヨーロッパをツアーした初期の経験と、それがミュージシャンとしての彼らをどのように向上させたかについて語っています。

コリンは「ハンブルグとビートルズがそうであったように、ヨーロッパはバンドとしての成長に不可欠でした。英国のルーツから離れた自分たちの姿を見ることができ、世界中のオーディエンスに届く音楽の世界を想像することができました。僕たちはヨーロッパのミュージシャンたちと永続的な友情を築き、ツアーを行い、クラブ、フェスティバル、レコード店、音楽レーベルへと足を踏み入れました」と語っています。

ハンブルクといえば、エルトン・ジョンはビートルズのように60年代にBluesologyというグループのキーボード奏者としてそこに滞在していたことを述べています。「それは本当に厳しい試練だった。僕たちはレーパーバーン(※ハンブルクの歓楽街)で、売春宿やセックス・ショーの中で、僕たちを目当てに来たわけじゃない観客に向けて、一晩に5時間も演奏した。でも、それでも素晴らしかった。僕たちはバンドとして向上していくしかなかった。数年後にパリでセルジオ・メンデスのサポートアクトとして行った、大陸でのデビュー公演よりは良かった。観客の一人は、自分のボサノバの夜を“Your Song”で邪魔されたことに腹を立てて、僕にホットドッグを投げつけてきた」

コリンもエルトンも、現在のブレグジット(イギリスのEU離脱)後のルールでは、形式的な手続きやミュージシャンのツアーにかかる費用が多すぎると懸念しています。

コリンは

「ブレグジット以前は、ノルウェーとスイスにはカルネ(一時輸入免税のための通関手帳)が必要だった。今では、僕たちのような「第三世界」に対処するシステムを各国が持っている南米と同じような状況になっています。(ツアー会計士の)エイドリアンは、10,000ポンドのギターには650ポンド+付加価値税のカルネが必要だと言っていました。旅費や宿泊費はすでに高く、余分な書類作成や経費は、オーケストラのツアーではあっという間に増えてしまいます」

「また“カボタージュ (輸送移動の権利) ”という厄介な言葉もあります。英国から荷物を運ぶトラックが、英国に戻る前にEU内で2回しか降ろすことができず、英国のツアーバスやトラックでは複数の都市を回ることができません」

と書いています。

エルトン・ジョンとレディオヘッドは、2組とも幸運にも経費をまかなうことができ、すべての事務処理を行うことができるチームを持っていると述べていますが、これはロックとポップスだけでなく、ジャズ、クラシック、オペラなどにも影響することを指摘しています。

コリンは「英国政府は、ブレグジット交渉中にクリエイティブ産業のために十分なことをしていなかったことを認め、ヨーロッパでのツアーのためのルールについて再交渉する時期に来ている」と書いています。

エルトンも同意見です。「ブレグジットの交渉担当者はミュージシャンのことを気にかけなかったか、考えていなかったか、十分な準備ができていなかった。彼らはヘマをした。最終的には英国政府が解決しなければならない」「もしブレグジットのせいで多くの新しいミュージシャンがツアーをすることができなくなったとしたら、意味のあるライブ・キャリアを積むことができるのは、僕のような主流のアーティストだけになってしまうだろう」

●コリン・グリーンウッド論説
https://www.theguardian.com/〜

●エルトン・ジョン論説
https://www.theguardian.com/〜