HOME > ニュース >

新ラインナップでの“世界デビュー” を目前に控えたTOTOのスティーヴ・ルカサーに緊急インタビュー

2020/11/13 11:30掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
Steve Lukather(PHOTO:Kevin Albinder)
Steve Lukather(PHOTO:Kevin Albinder)
新たなラインナップでの“世界デビュー” を目前に控えたTOTOスティーヴ・ルカサー(Steve Lukather)に緊急インタビュー。

以下ソニー・ミュージックジャパンインターショナルより

 2020年10月19日、世界中のTOTOファンに嬉し過ぎるニュースが発信された。そう、予想もしなかったバンドの復活!しかも、それまでのと同じ、TOTOというグループ名義で!これは悲劇の2020年における最大の朗報と言っても良いだろう。

 1年前の10月、デビュー40周年を記念したツアーの終了と共にバンドは活動を停止。以後、TOTOという名前を使っての活動は一切できない、そう知らされていたのだからそれからわずか1年でバンドが復活、しかも再びTOTOの名の下、ライヴ活動を再開するとはこんなに嬉しい話はない。そしてその再始動第一弾として11月21日(土)、一夜限りのオンライン・ライヴを行い、北米、ヨーロッパ、オセアニア、アジアで有料配信される。日本でもチケット代$21でそのパフォーマンスを体験することができるが、メンバーはスティーヴ・ルカサー&ジョセフ・ウィリアムスの2人が核となり、そこにサポート・メンバーとして5人のプレイヤーがアナウンスされた。そのうち前回の40周年記念ツアーにも参加していたのはキーボードのドミニク・タプリン、およびマルチ・インスト奏者、ヴォーカリストのウォーレン・ハムだけで、残りの3人(ベースのジョン・ピアース、ドラムスのロバート・”スパット”・シーライト、キーボードのスティーヴ・マッジオラ)はグループにとって全くのニュー・フェイスとなる。

 そんな新生TOTOが一体どんなサウンドを繰り広げるのか、スティーヴ・ルカサー本人が電話で答えてくれた。ルーク自身は開口一番『俺は恋愛中なんだよ!人生が変わったんだ!』と語るなどプライヴェートは極めて充実しており、インタヴュー中は終始ご機嫌のご様子。そして、あまり核心に触れてはいけないのでは…そんなこちらの心配を他所に、ルーク節全開で多くを語ってくれた。

ーーTOTOの再始動。日本のファンを代表してまずはお礼を伝えさせて下さい。本当にありがとうございます!

スティーヴ・ルカサー(以下L):まぁいつもとはちょっと違うバージョンだけどね。みんなに会えなくて寂しすぎるよ! 俺は1980年以来毎年日本に行っていたんだ。少なくとも年に1回は日本に行かないと俺の人生はコンプリートにならないよ。俺の家族も日本が大好きだし、ディープな友人たちがたくさんいるんだ。

ーー昨年10月にTOTOが活動を停止してから早くも1年以上が経っていますが、正直、この間はどんな日々を過ごされましたか? 

L:みんな俺の発言にちゃんと耳を傾けてくれていたらよかったのになと思うよ。最後のショウはフィリー(フィラデルフィア)で、去年の10月20日のことだった。その時俺は「この代のTOTOで演奏するのは最後だ」と言ったんだ。
その言葉を…守ったんだよ。ショウは素晴らしかったしツアーも大成功だったけど、その舞台裏はあまりいい状態じゃなかった。デヴィッド・ペイチと俺はジェフ・ポーカロの未亡人とマイク・ポーカロの未亡人とのえげつない裁判に巻き込まれてしまったんだ。それがものすごく醜いものになってしまった。心も魂も打ち砕かれたよ…デヴィッドと一緒に「俺たち壊れちゃったな」なんて言っていたんだ。自分たちのバンド名について争わないといけなくなるなんてね。40年以上も経ってだよ?こんなに長い年月が経ってからだよ。金なんてどうでもよかった。俺たちは傷ついたんだ…一生理解できないと思う。結審して、彼女たちは俺たちのツアーの利益から何%かゲットすることになった。毎晩の公演のね。それは構わない。構わない。俺は大丈夫だ。
 でも1年経って、俺とジョセフがそれぞれソロ・アルバムを作ったからジョイントでツアーしようかという話になったときに、いきなりエージェントがやってきて「TOTOとしてツアーすればいいじゃないか。君たちには楽曲をプレイする権利がある」と言ってきたんだ。…俺はバンドができたその日からいる。15代全部だ。もう1回言うよ?15代全部通っているんだ。ずっといるのは俺1人だ。ジョセフは俺たちとたくさんのマルチプラチナ・アルバムを作ってくれた。あいつも長い間メンバーで、俺の一番古い友人の1人だ。まぁ、(TOTOとしてではなくとも)どっちにしろ一緒にツアーするつもりではあったけど、デヴィッド・ペイチが俺たちの味方についてくれてね。デヴィッド・ペイチは俺たちの味方だ。リハーサルも全部立ち会ってくれている。もしかしたら飛び入り参加もしてくれるかも分からないよ?あいつもこのバンドの大きな一部になってくれているんだ。こう言ってくれたよ。「このバンドをTOTOと呼べばいい。俺たちは敗訴してたくさんのカネを失ったんだ。今度はそれを取り戻すんだ!」ってね。「この名前を使って、払うものは払いつつ、音楽と愛は前進させ続けようじゃないか。そしてカネも」と。
 というのが今回新しいバンドを組んだことの顛末なんだ。ジョセフの娘が「The Dogz of Oz」という名前を考え付いてくれた。このDogはボロボロだけど、戦争をサバイブして帰ってきたんだ。Tシャツはコレクターズ・アイテムになるよ。

ーー11月21日に配信コンサートをやりますね。現時点でのインフォメーションを何か教えてくれませんか?

L:新しいバージョンのTOTOのお披露目だ。というのも、デヴィッドはもうツアーできない状態だからね。と言ってもリハーサルには立ち会ってくれたけど。デヴィッドは元気だよ。ジョセフと俺とデヴィッドで1つなんだ。俺たち3人で1つ。だからあいつはいつだってこの一部であり続けるよ。何らかの形でね。もしかしたら飛び入りしてくれるかも分からないよ?
【アジア/オーストラリア向けのチケット購入は、https://link.dice.fm/m9B0Pi4AAab(海外サイト)より】

ーーリハーサルももう始まっていますよね?

L:ああ。メンバーが素晴らしいんだ。ドラムスのロバート・”スパット”・シーライト、あいつはDr. Dreの音楽監督を10年務めているし、他にもスナーキー・パピー、ゴーストノートもやっている。こいつは最高だよ!ロックもロールもできるし、みんなをファンキーにしてくれる。昔はTOTOと言えばイケてる若造の集まりだった。今はスナーキー・パピーがそういう存在なんだ。君も聴くべきだね。とてもクールなやつらなんだ。俺もやつらの音楽から「盗み」始めたよ。それからキーボードのX(ドミニク・タプリン)は君たちも(日本公演で)観たと思うけど、プリンスのバンドにいたんだ。俺にとって人生初の友人、ジョン・ピアースがベース。あいつはヒューイ・ルイスのバンドにいて、スタジオ・ベース・プレイヤーとしてもNo.1なんだ。色んな人たちの作品に参加しているよ。ボズ(・スキャッグス)の<Jojo>とか。あいつとはずっと一緒だよ。俺のソロ作品にも参加してくれたし、人生初の友だちが人生最後のバンドに入ってくれてとても嬉しいんだ。
 何しろ楽しみたいからね!ジョセフも俺もソロ・アルバムを出す予定だし、バンドを立て直してまたツアーに出たいんだ。TOTOのヒット曲もやるつもりだし、ソロの曲も、レアな曲もやるし、ジャムでも何でもやろうと思う。それでもTOTOはTOTOだ。ギター(ルーク)とリード・シンガー(ジョセフ)に、素晴らしいミュージシャンたちがついて来てくれるんだ。昔馴染みの顔ぶれもいれば…ウォーレン・ハムもXも戻ってきてくれた。それから若手。スティーヴ・マッジオラがキーボードの他、クレイジーな高音部を全部やってくれる。聞いたこともないようなものすごい高音部をね。

ーー今回のTOTOが今までと一番違うのはどんなところでしょうか?

L:リズム・セクションだね。フィーリングが違うんだ。前よりヘヴィになって、ファンキーさやソリッド感も増した。うまく言えないけどとにかく違うんだ。みんな歌えて、ヴォーカルがとんでもなく素晴らしい。曲のチョイスもね。ライヴ・ストリームは85分くらいなんだよな。みんなにグレイトな時間を与えて、TOTOのスマッシュ・ヒットを入れて、よりビッグなコンサートにしたいね。それでいて品格やミュージシャンシップがあるものになるよ。メチャクチャ素晴らしいミュージシャン達だからね。人間としても本当に素晴らしい。そういう姿をお披露目するんだ!

ーーTOTOとしての新作を作る予定はありますか?

L:まだ分からないよ。今はとにかく活動を再開させたいだけなんだ。とにかく活動を再開して、ライヴ・オーディエンスの前に出たい。それだけさ。新しい曲は作っているけど、TOTOとしてはまだだね。様子を見ないと。このラインナップが素晴らしいものに形を変えていくことになるかもしれないし、まだ神のみぞ知るというところだ。

2020年11月4日(水)、LA自宅より
インタビュー&TEXT:中田利樹(通訳:安江幸子)