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ブラジル音楽界の至宝カエターノ・ヴェローゾが激動の時代を縦横に語る 著書の邦訳版『熱帯の真実』発売

2020/08/26 19:28掲載
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カエターノ・ヴェローゾ / 熱帯の真実
カエターノ・ヴェローゾ / 熱帯の真実
ブラジル音楽界の至宝が激動の時代を縦横に語る。50年以上にわたってブラジルのポピュラー音楽界をリードし続けてきた最重要ミュージシャンのひとり、カエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)が類い希な知性を発揮した著書『Verdade Tropical』の邦訳版がついに刊行決定。邦題は『熱帯の真実』。アルテスパブリッシングから9月28日発売
■『熱帯の真実』
カエターノ・ヴェローゾ (著), 国安 真奈 (翻訳)

定価:本体4200円[税別]
送料:国内無料

A5判・上製 | 544頁
発売日 : 2020年9月28日
ISBN 978-4-86559-218-4 C1073

解説:中原仁、岸和田仁 装丁:川名潤

<内容>

ブラジル音楽界の至宝が激動の時代を縦横に語る
自伝的哲学的随想、ついに邦訳刊行!

50年以上にわたってブラジルのポピュラー音楽界をリードし続けてきた最重要ミュージシャンのひとり、カエターノ・ヴェローゾが類い希な知性を発揮した著書“ Verdade Tropical”の邦訳、ついに刊行!

「トロピカリズモとともに始まった僕の冒険は、一度も死んだことはない」

生まれ育ったサント・アマーロでの幼少期の記憶に始まり、妹マリア・ベターニアとともにプロのミュージシャンとしての道を歩み始める若き日々、ジョアン・ジルベルトへの崇敬、劇作家・哲学者・詩人・作家などとの豊かな交流、ジルベルト・ジルやムタンチスらとともに牽引したトロピカリズモ・ムーヴメントの詳細、プレスリーやビートルズ、ストーンズなど欧米のロックからの影響、そして軍事政権下で拘束された2ヶ月と亡命先ロンドンでの2年間……

1950年代から70年代にかけてのブラジルの音楽と文化、社会、政治を語ったこの大著はブラジルで1997年、大名盤『リーヴロ(本・書物の意)』とともに発表されたもので、その全訳に、20周年記念版(2017年)の新たな(長大な)序文を加えたのが本書です。

改行が少なくてうねうねと続く複雑で独特な文章を翻訳したのは、音楽ファンからの信頼も篤いポルトガル語通訳・翻訳の第一人者、国安真奈さん。そして、訳者あとがきでの各章の解題に加えて、J-WAVE「サウージ!サウダージ」でもおなじみの音楽プロデューサー/ラジオ番組製作者の中原仁さんと、「ブラジル特報」編集人・岸和田仁さんのおふたりに、解説をご寄稿いただきました。読み応えのある本編の心強いガイドとしてお役立てください。

<プロフィール>

●カエターノ・ヴェローゾ Caetano Veloso
カエターノ・エマヌエル・ヴィアナ・テーリス・ヴェローゾは1942年8月7日、バイーア州サント・アマーロ・ダ・プリフィカサォン生まれ。
67年にガル・コスタとのデビュー・アルバム『ドミンゴ』を、翌年には初のソロ・アルバム『アレグリア・アレグリア』をリリース。『ジョイア』(75)、『エストランジェイロ』(89)、『リーヴロ』(97)、『セー』(2006)など、これまでに30を超えるスタジオ録音盤、16のライヴ盤、多くの編集盤を発表している。86年には映画『オ・シネマ・ファラード』を監督。
60年代に興ったトロピカリズモ・ムーヴメントの先頭に立ったカエターノは、ロンドンでの亡命生活を経て、70年代には盟友ジルベルト・ジル、実妹マリア・ベターニア、ガル・コスタとともにドッセス・バールバロスを結成。数々の作品はブラジル文化の様々な方面から反響を呼び、現在もなおブラジルで最もエネルギッシュで革新的な存在であり続けている。来日は四度を数える。
『熱帯の真実』のほか、歌詞108編をコメント付きで収めた2冊組『Letra Só』『Sobre as letras』(2003、コンパニーア・ダス・レトラス)と、音楽や文学、映画、演劇、政治についてのエッセー集『O mundo não é chato』(2005、同)を刊行している。

●国安真奈 くにやす・まな
1960年生まれ。父親の転勤に伴い、15歳で渡伯、23歳までサンパウロ市で暮らす。サンパウロ大学卒(社会学)。帰国後、官公庁・企業のためのポルトガル語通訳・翻訳業に従事。ブラジル音楽のライナーノート執筆や歌詞対訳も数多く手掛ける。おもな訳書に『アントニオ・カルロス・ジョビン ボサノヴァを創った男』(青土社、1999)、『ボサノヴァの歴史』(2001)、『パジャマを着た神様 ボサノヴァの歴史外伝』(2003)、『トロピカーリア ブラジル音楽を変革した文化ムーヴメント』(2005、以上音楽之友社)、『台風エリス』(2003、東京書籍)、『赤と黒 フラメンゴの偉大なる一〇〇年』(2006、雲母書房)がある。

<CONTENTS>

謝辞

新版・序 カルメン・ミランダはサンバを踊れなかった
イントロ

[パート1]
エルヴィスとマリリン
ベターニアとレイ・チャールズ
バイーア間奏曲

[パート2]
トランス
有意義な風景
ドミンゴ
バイウーノス
アレグリーア・アレグリーア
日曜日の公園で
トロピカーリア
2002
具象詩
シコ
前衛であること
食人習慣
パニス・エ・シルセンシス
禁ずることを禁ずる
チヴィーノ・マラヴィリョーゾ

[パート3]
ナルシスの休暇

[パート4]
バーハ69
ロンドン・ロンドン
リングア
選択的親和性
愛せ、さもなくば去れ
バック・イン・バイーア
アラサー・アズル
小径

訳者あとがき  国安真奈

[解説]本書読者のためのカエターノ・ヒストリー  中原仁
[解説]非バイーア的バイアーノ──哲人カエターノを育んだトロピカルな人的多様性  岸和田仁

人名索引