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ボブ・ディラン 新アルバム『Rough And Rowdy Ways』を6月発売 新曲「False Prophet」公開

2020/05/08 13:12掲載(Last Update:2020/06/12 10:04)
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Bob Dylan / Rough And Rowdy Ways
Bob Dylan / Rough And Rowdy Ways
ボブ・ディラン(Bob Dylan)が新アルバム『Rough And Rowdy Ways』を海外で6月19日発売。自身のSNSで発表。このアルバムから新たに新曲「False Prophet」が公開されています。



スタジオ・アルバムのリリースは2017年の『Triplicate』以来。『Shadows in the Night』(2015年)、『Fallen Angels』(2016年)、『Triplicate』(2017年)と、近年はアメリカン・スタンダードをカヴァーしたアルバムが続いていたディランがオリジナル・アルバムをリリースするのは2012年の『Tempest』以来です。

新作には、今年リリースされた2曲、「I Contain Multitudes」「Murder Most Foul」も収録される予定です。



以下、日本盤インフォメーションより

オリジナル楽曲によるニュー・アルバムとしては2012年発表の『テンペスト』以来、8年振りとなる『ラフ&ロウディ・ウェイズ』。近年のスタジオ・アルバムとしては、主にフランク・シナトラがレパートリーとしていたグレイト・アメリカン・ソングブックと呼ぶに相応しいカバー作が、2015年『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』、2016年『フォールン・エンジェルズ』、2017年『トリプリケート』と3作続いていた。『ラフ&ロウディ・ウェイズ』はスタジオ・アルバムとして39作目で、全10曲収録のCD2枚組、日本盤は7月中旬の発売を予定している(アメリカでは6/19にCD発売とデジタル配信、LPは7/17の予定)。

アルバム・タイトルとなる『ラフ&ロウディ・ウェイズ』から想起されるのは、1960年にRCAが発表したジミー・ロジャースのアルバム『My Rough And Rowdy Ways』。デビュー前からジミー・ロジャースの歌をカバーしていたディランは、自らが設立したレーベルのエジプシャン・レコードから1997年にジミー・ロジャースの生誕100周年を記念したコンピレーションを発売。このディラン自身が大きく関わったトリビュート作には、ボノ、ヴァン・モリソン、ジェリー・ガルシアらによるカバー曲がまとめられ、アメリカ大衆音楽の元祖的存在のジミーを称える内容となった。“カントリーの父“と呼ばれる事が多かったものの、その枠を大きく飛び越え柔軟性をもって音楽を作り続け、アメリカン・ポップスの先駆者となったジミーへの思いが満ちたアルバム・タイトルである。

新曲「偽預言者」配信開始、歌の大意完成!

そしてこのアルバムからの新曲「偽預言者(False Prophet)」も本日配信が開始される。タイトルの偽預言者はマタイによる福音書7章15-20節に登場し、「羊の衣を纏った強欲な狼である偽預言者に気を付けろ」との記述がある。小脇に贈り物を抱え盛装したドクロのもう一方の手には注射器が・・・この不気味なジャケットをビジュアルにして、ディランは何を歌おうとしているのだろうか。甘い罠や誘惑や欺瞞が満ちる世界に翻弄される人々に警鐘を鳴らそうとしているのか。

●「偽預言者(False Prophet)」
終わらぬ日がまた一日
船がまた一艘 
怒りと苦虫と疑いの日がまた一日
どう起こったか 私は知っている
始まったのもこの目で見た
世界に心を開いて見せたら世界に裏切られた

ハロー メアリールー ハロー ミス・パール
空の星は君たちよりも明るく輝いているよ
君たちはそれが仕事なのさ こちらもだよ
私は色々なものの敵
意味のない人生を送ってる人間の敵
私は嘘っぱち預言者じゃない 
知ってることを知ってるだけだ
寂しい者が行けるところだけに私は行く

私は平等の中の最初の一人
誰の二番目でもない
最高の最後の一人
残りは埋めればいい
もしくか成功か 銀と金
6フィート地下に埋め 魂に祈りを捧げよう
何を見てやがる? 見るべきものは何もない
爽やかな風が吹いている 庭に散歩に行こう
大きくて広い庭
噴水近くの日陰に腰を下ろそう

聖杯を求めて私は世界を探し回った
愛の歌を歌い 裏切りの歌を歌った
何を飲もうと気にしない 何を食おうと気にしない
素足で私は魂の山に登る
ダーリン あなたは私を知らない 想像すらできない
私は嘘っぱち預言者じゃない
言ったことを言ってただけだ
誰かに復讐するためにここにいる
ハットを出せ とっとくものは何もない
口を開けろ 金をぎゅうぎゅう詰めにしてやる
哀れな悪魔め できるなら見てみろ
神の街は丘の上にある

ハロー ストレンジャー ロング・グッドバイ
お前がこの地を支配してる だが私もだ
脳ミソの腐った老いぼれめ
あなたと結婚しよう 鎖に繋がれ
ダーリン 私がどんな人生を送ってきたか知ってるはず
二人の笑顔が出会った時
私は嘘っぱち預言者じゃない
誰の花嫁でもない
いつ生まれたのかも思い出せない
いつ死んだのかも

聞取りと訳:丸山京子

*原詞が無い中、短時間で聞き取ってその一部を翻訳したものです。この大作をいち早く理解する手助けになればと存じます。どうぞご了承ください。

『ラフ&ロウディ・ウェイズ』の発表に先だって、既に2曲がデジタル配信のみでリリースされていた。そのうちの「アイ・コンテイン・マルチチュード」は先行曲としてアルバムに収録される。約17分近い大作「最も卑劣な殺人」はCDのパッケージでは別ディスクに収録する予定だ。

ソニー・ミュージックCEO、ロブ・ストリンガーは今作『ラフ&ロウディ・ウェイズ』の収められた歌の数々について「ボブ自身も、他の誰も作ったことのない前例のない楽曲」だとコメントしている。

「最も卑劣な殺人」に寄せて。
オマー・ザルモノウィッツ氏はこう書いた。「ディランにとって初の、そして唯一のビルボード・チャートNo.1 ヒットは、”広い文化的調査” によってできた曲というわけではない。むしろその根底にあるのは、かつてディラン自身が築き上げるのに一役買った音楽と文化の流れ。そこに自らを悪びれることなく結びつけ、今現在という時代背景の中で、威厳を持って映し出しているのだ」

イタリア人作家、ミッシェル・ウリッセ・リパリーニはこう書いた。「これまでボブが書いたどんな曲とも、僕らは遠いところにいる。曲の長さであるとか、ケネディの名前だけで、この“体験” を過去のどんなものと比較するだけでは、十分ではないのだ」

「アイ・コンテイン・マルチチュード」に寄せて。
英『ザ・タイムズ紙』にウィル・ホジキンソンはこう書いた。「ディランは忘れてはいなかった。彼が誰よりも優れていることがなんであるか。それはすなわち、計り知れない深さと感情を秘めた曲を書くことだ」

全10曲となる『ラフ&ロウディ・ウェイズ』は、2016年にソングライターとして唯一のノーベル文学賞受賞者になって以来、新曲を集めたアルバムとしては初めてになる。スウェーデン・アカデミーはその授与の理由を「偉大なるアメリカのソング・トラディションにおける、新たな詩的表現を作り上げたこと」だと挙げている。
過去23年間でディランがリリースしたスタジオ・アルバムは7枚。その間には、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞に輝いた2001年映画『ワンダー・ボーイズ』の主題歌「シングス・ハヴ・チェンジド」があった他、世界各国でベストセラーとなり、2004年 ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー・リストに19週間ランクインし、先日ローリング・ストーン誌によって「歴代最も優れたロック評伝」に選出された『ボブ・ディラン自伝』もあった。2013年度レジオンドヌール勲章オフィシエの受勲者であり、2000年にはスウェーデンのポーラー音楽賞、スコットランドのセント・アンドリューズ大学の博士号を始め、数々を授与している。
ボブ・ディランのこれまで世界でのセールスは1億2,500万枚以上に達している。


以下は今年リリースされた楽曲

「I Contain Multitudes」


「Murder Most Foul」
<商品情報>
▼CD
『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
ボブ・ディラン

2020年7月中旬発売予定●W紙ジャケット●解説・歌詞・対訳付●SICP-(CD2枚組)●予価:¥3,600+税

<収録曲>
I Contain Multitudes
False Prophet
My Own Version of You
I’ve Made Up My Mind to Give Myself to You
Black Rider
Goodbye Jimmy Reed
Mother of Muses
Crossing the Rubicon
Key West
Murder Most Foul