NHK『アナザーストーリーズ「“北斗の拳”誕生〜舞台裏のもう一つの“格闘”〜」』 (c)武論尊・原哲夫/NSP 1983
2018年11月にNHK BSプレミアムで放送された、『北斗の拳』誕生の舞台裏に迫るドキュメンタリー『アナザーストーリーズ「“北斗の拳”誕生〜舞台裏のもう一つの“格闘”〜」』。再放送決定。10月22日(火)、10月28日(月)にBSプレミアムで放送されます
■『アナザーストーリーズ「“北斗の拳”誕生〜舞台裏のもう一つの“格闘”〜」』
初回:NHK BSプレミアム 2018年11月20日
再放送:NHK BSプレミアム 2019年10月22日(火) 午後9時00分
再放送:NHK BSプレミアム 2019年10月28日(月) 午後11時45分
漫画「北斗の拳」は、少年ジャンプに連載された格闘漫画。アニメ化もされ、その人気は社会現象にもなった。人生が変わるほど心を揺さぶられたという人も少なくない。漫画・原哲夫の「迫力ある絵」と原作・武論尊の「泣けるセリフ」。その陰には、伝説的な編集者・堀江信彦の尽力もあった。名作誕生の舞台裏の、壮絶な「格闘」とは?人気声優、神谷明&千葉繁の貴重な証言も。名作漫画誕生の舞台裏に迫るアナザーストーリー!
☆格闘漫画の金字塔 「北斗の拳」漫画家・原が書く絵と、原作者・武論尊が考える物語や名台詞の数々。それが、多くの読者を惹きつけた。
☆原は、「北斗の拳」以外描きたいものがなかったというぐらい、魂を込めて描き上げた名作誕生の裏にあった"格闘"とは?
☆自衛隊出身という変わった経歴の漫画原作者、武論尊。数々の泣けるセリフや物語はどのようにして生まれてきたのか?
☆編集者として、原・武論尊の良いところを引き出した。連載期間中は二人を会わせず、全て間に入って調整した。編集者として、二人とどう向き合ってきたのか?
<番組スタッフから:谷 一真ディレクター>
──どんな視点から「北斗の拳」誕生の秘密に迫っていくのですか?
今回は、「北斗の拳」の連載が始まるまでの道のりと、ストーリーができるまで、そしてこの漫画に“救われた”人たちを追った、3つの視点で描いていきます。
この作品は、ストーリーを考える原作者と実際に絵を描く漫画家がいるのですが、始まりは漫画家の原 哲夫さんと、入社2年目の編集者・堀江信彦さんとの出会いです。この堀江さんというのが、その後5代目「週刊少年ジャンプ」の編集長(1993〜1996年)となり、歴代最高発行部数である653万部を達成した敏腕編集者。元々マイナー志向だった原さんの漫画を少年誌志向に変えていき、二人三脚で支えてきた方です。
原さんと堀江さんの関係性は興味深かったですね。この2人、実は今でもコンビを組んで作品を作り続けているんです。出会いから約40年ほど、どうやってこの関係を続け、信頼関係を築いてきたのかを見ていきます。大人しかった原さんに対して、破天荒だった堀江さんの当時の様子も聞けたので、そこも必見です(笑)。印象的だったのは、「北斗の拳を描いているときは、堀江さんしか見てなかった」と言う原さんの言葉。その理由にも迫っています。
──2つ目の視点について教えてください!
原作の武論尊ぶろんそんさんがどうやって作品に関わっていったのかを探ります。この方、元々は航空自衛隊にいたとのこと。そして、そこで「男一匹ガキ大将」「サラリーマン金太郎」の作者・本宮ひろ志さんと出会ったそうです。それもまたすごいドラマですよね(笑)。武論尊さんは、売れっ子になって忙しくなっていった本宮さんの手伝いを頼まれて、漫画の世界にやってきたんだそうです。
そんなとき、武論尊さんは、ある編集者から漫画原作を書いてみないかと言われてやってみたところ、いきなり漫画化決定(笑)。さらに、3年後には漫画「ドーベルマン刑事」(1975〜1979年)の原作を手掛けるまでになりました。
そうこうしている間に、今度は武論尊さんのもとに、編集者・堀江さんから、「北斗の拳」の話が舞い込んできました。原さんの漫画と、敵と戦うときに繰り出す必殺技がおもしろいと思った武論尊さんは引き受けることを決意。自身の過去や影響された映画などからアイデアを出し、物語を構築させていったと言います。
個人的には、キャラクターの作り方がおもしろいと思いましたね。主人公のケンシロウの胸の傷は、婚約者を奪われたときにつけられたというのは有名な話です。でも武論尊さんは、最初はファッション感覚でつけていたそう(笑)。そして兄弟設定も最初は考えておらず……。いろいろなことを後付けで誕生させていったという話を、番組でも語っていただきました。でも、それであんな深い話になっていくんだから、やっぱりすごいですよね(笑)。
──そして、3つ目の視点は?
「北斗の拳」によって救われた方々を紹介します。まずは、イタリア人のエンリコさん。彼は小学生のころ、いじめにあっていたそうです。しかし、当時イタリアで放送されていたアニメのケンシロウを見て、こんなヒーローになりたいと憧あこがれていきました。
また、書道家の三浦一実さんは、「北斗の拳」に出てくる必殺技だけを書いた“自由すぎる書道展”を開催して話題になった方です。彼女には大病をして人生のどん底にいたとき、この作品に勇気づけられたことを語っていただきました。2人の作品に対する思いは熱く、見てくださるみなさんに伝わるといいなと思っています。
──ちなみに、新ナビゲーターの松嶋菜々子さんも、「北斗の拳」を読んでいたそうですね。
そうなんです。お兄さんの影響で読んでいたそうですが、打ち合わせの際もコミックを置いておいたら手にされて、涙される場面もありました。本編でも、松嶋さんがどの場面にグッときたのかに触れていますので、そこにも注目です。
──番組制作の中で印象的だったことはどんなことですか?
とにかく、原さんのギャップが印象的でした。漫画はハードボイルドですが、原さん自身は穏やかで優しい方。そして、敵役の断末魔、「あべし」「ひでぶ」などは、ある大物ギャグ漫画家の影響なんだそうです。そんな秘密も驚きでしたね。
──最後に見どころを聞かせてください!
漫画の内容そのものより、今回は“作り手がどうやって作ってきたか”にフォーカスしています。ファンの方はもちろん、漫画を知らない方でも楽しんで見ていただけるような内容になっていると思います。
また、アニメでケンシロウの声を担当した神谷 明さん、ナレーションやいわゆる“ザコキャラ”の断末魔に声を当てた千葉 繁さんにもインタビューしています。役へのこだわりや断末魔に込めた思いは、アニメファンには必見です。
さらに、スタジオでは作品の世界観をリスペクトしたような背景でお届けするほか、漫画の名場面をちりばめたり、キャラクターたちを登場させたりと、CGチームが気合いを入れて作りました。ぜひ細かいところまで見ていただきたいです!
●番組ページ
https://www4.nhk.or.jp/anotherstories/x/2019-10-22/10/18995/1453106/