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2008年の米ユニバーサルスタジオ火災で50万曲のマスターテープが焼失 NYタイムズ報道

2019/06/12 09:04掲載(Last Update:2019/06/27 10:44)
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ABC 7 on the Universal Vault Fire in 2008
ABC 7 on the Universal Vault Fire in 2008
ニューヨーク・タイムズ紙は、2008年6月に起きた米ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドでの火災で、ユニバーサル・スタジオに保管されていた膨大なマスターテープが失われたと報道。「音楽業界史上最大の災害」とも言われているこの火災で失われたマスターの中には

Elton John
Eric Clapton
The Eagles
Aerosmith
Steely Dan
Tom Petty and the Heartbreakers
The Police
Guns N’ Roses
Nine Inch Nails
Nirvana
Soundgarden
Tupac Shakur
Beck
Louis Armstrong
Duke Ellington
Al Jolson
Bing Crosby
Ella Fitzgerald
Judy Garland
Billie Holiday
Chuck Berry
Aretha Franklin
John Coltrane
Count Basie
Ray Charles,
Sammy Davis Jr.
Les Paul
Fats Domino
Loretta Lynn
B.B. King
Quincy Jones
Burt Bacharach
Joan Baez
Neil Diamond
Sonny and Cher
The Mamas and the Papas
Joni Mitchell
Cat Stevens
Lynyrd Skynyrd
Jimmy Buffett
Don Henley
Iggy Pop
Barry White
Patti LaBelle
Yoko Ono
Sting
R.E.M.
Janet Jackson
Queen Latifah
Mary J. Blige
Sonic Youth
No Doubt
Snoop Dogg
Hole
Sheryl Crow
Eminem

などが含まれているようです。ビリー・ホリデイは“ほぼすべて”、ジョン・コルトレーンはImpulse時代の大半を失ったと伝えています。

米カリフォルニア州ロサンゼルス北部にあるユニバーサル・スタジオ・ハリウッドで起きた火災は当時広く報道されましたが、そのほとんどが映画/テレビ番組のセットやテーマパークのアトラクションについてでした。

当時のネット・メディアは、マスターテープも被害に遭ったのではと報じたところ、ユニバーサルの広報担当は当時「ユニバーサル・スタジオに保管しておいたマスターテープのほとんどは今年初めに別の場所に移動させていた。少量のマスターは残っていたが、すべてデジタルに変換されていたので、音楽はまだ何年にもわたって出るでしょう」と発表していました。

しかし実際は異なるようで、ニューヨーク・タイムズ紙は、社内文書とユニバーサル・ミュージック・グループ・スタッフへのインタビューを元に、175,000近くのアルバム&シングルのマスターテープが被害に遭い、およそ50万曲を失ったと伝えています。

このことはアーティストたちにも知らされていなかったようで、R.E.Mは「情報を集めている」とツイートし、またホールはPitchforkに「今朝まで知らなかった」と語っています。

●ニューヨーク・タイムズ紙 該当記事
https://www.nytimes.com/2019/06/11/magazine/universal-fire-master-recordings.html

【Update:2019/06/13 10:58】

ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)はニューヨーク・タイムズの報道を受け、「制約があるため火災の詳細をすべて公表することはできない」としたうえで「一連の報道には多くの不正確な情報や誤解を招くような記述、矛盾および基本的な誤解が含まれている」との声明を発表。また「私たちが近年リリースした何万ものバックカタログの存在を都合よく無視している」とも主張しています。

一方、ミュージシャンはこの件について

元ニルヴァーナのクリス・ノヴォセリックはツイッターでファンに尋ねられ、「永遠になくなったと思う」とツイート。

スティーリー・ダンのマネージャーIrving Azoffは、「私たちは長い間、オリジナルのスティーリー・ダン・テープが“紛失”していることに気づいていた。もっともらしい説明はない。いずれにせよ、それは確かに失われた宝物です」とバンドに代わって声明を発表。

ザ・ルーツのクエストラヴは、この件を報じたニュースを紹介したツイートで、『Do You Want More?!!!??!』(1995年)、『Illadelph Halflife』(1996年)を再発しない理由が火災であったことを示唆しています。

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【Update:2019/06/23 12:05】

ニューヨークタイムズ紙は新たな報告で、トム・ペティ、サウンドガーデン、ホール、2パック、スティーヴ・アールのエステート(財産管理人)を代表する弁護士が6月21日、ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)に対して2008年に起きた米ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド火災について1億ドル以上の損害賠償を求める集団訴訟を起こした報告しています。これは報道後、UMGに対しての最初の訴訟です。

タイムズ紙によると、原告はユニバーサルがマスターを保護することに失敗し、アーティストとの契約上の義務を破ったと主張。また、UMGが火災後に受け取った保険金やNBCUniversalからの和解金などをアーティストと共有すべきだとも主張しています。

さらに、原告は火災後、「UMGが誤った公の声明でその損失を隠した」とし、アーティストらから壊滅的な損失を隠したとも主張しています。

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【Update:2019/06/26 08:38】

ニューヨークタイムズ紙は新たなレポートで、火災でマスターレコーディングを同じく失った700組以上の追加アーティストを明らかにしています。これは2010年頃に「Project Phoenix」と名付けられたリカバリー計画でまとめられたユニバーサル・ミュージック・グループの内部資料をもとにしたリストと同紙は説明しています。

リストには、

Neil Young
Weezer
Blink-182
Common
the Who
Jawbreaker
Bell Biv Devoe
Dolly Parton
Boston
Buffy Sainte-Marie
Primus
Veruca Salt
Temple of the Dog
the Wallflowers
Limp Bizkit
Cher
Jimmy Eat World
the Damned
Phil Ochs
Hugh Masekela

などの名前が含まれています。全リストはこちら

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【Update:2019/06/27 10:44】

シェリル・クロウはBBCのインタビューの中で、2008年の米ユニバーサルスタジオ火災で、『Tuesday Night Music Club』や『The Globe Sessions』を含むアルバムのオリジナルテープの「すべてのマスターを失った」と語っています。

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