映画の教室2018 時代から観る日本アニメーション
研究員の解説付きで日本のアニメーションの歴史的文脈を観る<映画の教室2018 時代から観る日本アニメーション>が、5月9日(水)から東京・国立映画アーカイブにて開催されます。現存する最古の日本のアニメーション『なまくら刀』(1917年)ほかを紹介する「日本アニメーションの草創期」から、『いばら姫またはねむり姫』(1990年)ほかを紹介する「戦後②―アニメーション作家による発表」まで全5回行われます
<映画の教室2018 時代から観る日本アニメーション>
101年にわたる長い歴史を持つ日本アニメーションは、世界が注目する文化にまで育ちました。その過程で、日本のアニメーションは教育、PR、戦意高揚、テレビ、劇場公開用商業アニメーションなどさまざまな形で製作・発表されてきました。2017年の「素材から観る日本アニメーション」に続く第二弾として、今回は現存する最古の日本のアニメーション『なまくら刀』(1917年)から、『いばら姫またはねむり姫』(1990年)まで、日本のアニメーションの歴史的文脈を観ていきます。各回、研究員による解説付きです。映画の基礎を学びたい方々のご参加をお待ちしています。
開催日:
2018年5月9日(水)23日(水)6月6日(水)20日(水)7月4日(水)
7:20pm開始 [7:00pm開場] 全5回・隔週水曜・約15分の研究員による解説付き
会場:小ホール 定員:151名
★各回の開始後の入場はできません。
料金:
一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円/障害者(付添者は原則1名まで)、東京国立近代美術館及び国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料
<<<プログラム>>>
■05.09[水]7:20pm- 日本アニメーションの草創期 (計57分)
日本にアニメーション映画が輸入されはじめた頃、エミール・コールの「凸坊新画帳」シリーズが大きな人気を呼んだ。また、ドイツの影絵アニメーション『カリフの鶴』などは日本のアニメーションに大きな影響を与えたと言われる。その後、日本では教育映画の製作もさかんになり、漫画映画、線画映画などと呼ばれる中、アニメーションの技術が発展していった。現存する最古の日本アニメーション『なまくら刀』、初期の影絵映画『蟹満寺縁起』、初の文部省委託のアニメーション『線畫 つぼ』などを紹介する。
☆ファントーシュたちの恋のさやあて Drame chez les Fantoches(4分・18fps・35mm・白黒・無声)1908(ゴーモン)
(監)エミール・コール
☆なまくら刀[新最長版](5分・16fps・35mm・染色・無声)1917(小林商会)
(作画)幸内純一
☆カリフの鶴 Karif Storch(20分・24fps・35mm・白黒・無声・英語版)1923(コロナ・フィルム)
(監)エドヴァルト・マティアス・シューマッハ―
☆蟹満寺縁起(11分・24fps・35mm・白黒・無声)1924(朝日キネマ合名社)
(監)奥田秀彦、木村白山、内田吐夢
☆線畫 つぼ(17分・16fps・35mm・白黒・無声)1925(文部省)
(監)山本早苗
■05.23[水]7:20pm- 戦前―トーキーへの移行とPR映画 (計50分)
1930年前後は世界的にトーキーの技術が開発され発展し、日本でもアメリカのトーキーアニメーションが映画館で人気を博した。その後J.O.スタジオなども開設され、日本のアニメーションも本格的にトーキー化した。また、その頃は反戦アニメーション『煙突屋ぺロー』といった思想的なアニメーション映画も製作されるようになった。『三匹の小熊さん』はプロレタリア芸術運動家の岩崎昶が監督、村山籌子原作、村山知義作画のモダンな作品。
☆煙突屋ペロー(23分・16mm・白黒)1930(童映社)
(監)田中喜次
☆三匹の小熊さん(12分・18fps・35mm・白黒)1931(婦人之友社)
(監)岩崎昶
☆茶目子の一日[パテートーキー版][デジタル復元版](7分・35mm・白黒)1931(協力映画製作社)
(監)西倉喜代治
☆オモチャ箱シリーズ第3話 絵本1936年(8分・35mm・白黒)1934(J.O.発声漫画部)
(作画)中野孝夫、田中喜次、舟木俊一、永久義郎、平泰陣、西口羆
■06.06[水]7:20pm- 戦中期―戦意高揚映画 (計63分)
戦争の色へと染まっていった日本は1939年に映画法を施行し、戦中は軍部による映画製作も行われ、とりわけ海軍省が積極的だった。真珠湾攻撃を題材にした『桃太郎の海鷲』は映画法施行後、初めて文部省推薦を受けたアニメーション作品である。『フクチャンの潜水艦』は、当時の大人気漫画の「フクちゃん」を主人公にした戦意高揚アニメーション。両作とも海軍省後援映画。
☆桃太郎の海鷲(33分・35mm・白黒)1942(藝術映畫社)
(監)瀬尾光世
☆フクチャンの潛水艦(30分・35mm・白黒)1944(朝日映画社)
(監)関屋五十二、横山隆一
■06.20[水]7:20pm- 戦後①―本格的な商業展開 (計61分)
戦後すぐに設立された新日本動画社はほどなく分裂し、山本早苗と政岡憲三は日本動画を設立。そこには後に『白蛇伝』を演出する薮下泰司らが参加していた。その後、東映動画、虫プロなどが設立され、本格的に劇場公開長編アニメーションやテレビ向けに作品が製作されるようになる。『こねこのらくがき』は東映動画第一弾として発表。後にスタジオ・ゼロを設立し、数々のテレビアニメーションに携わることになる鈴木伸一は、おとぎプロで『プラス50000年』を監督した。
☆すて猫トラちゃん(21分・35mm・白黒)1947(東宝教育映画)
(監)政岡憲三
☆こねこのらくがき(12分・35mm・白黒)1957(東映動画)
(監)薮下泰次
☆注文の多い料理店 山ねこ軒(19分・35mm・白黒)1959(学習研究社)
(監)小野豪
☆プラス50000年(9分・35mm・カラー)1960(おとぎプロ)
(監)鈴木伸一
■07.04[水]7:20pm- 戦後②―アニメーション作家による発表 (計71分)
商業的に映画館やテレビ向けにアニメーションが製作される一方、作家による作品発表も活発になった。三人の作家によって結成された“アニメーション三人の会”の上映会はフェスティバルとして成長し、虫プロダクションの第一作『ある街角の物語』など、国内外の作家の作品を紹介した。日本の人形アニメーション作家を代表する岡本忠成と川本喜八郎は、アニメーションと人形劇のショウ“パペットアニメ―ショウ”を開催し作品を発表した。
☆ある街角の物語(39分・35mm・カラー)1962(虫プロダクション)
(監)山本暎一、坂本雄作
☆チコタン ぼくのおよめさん(11分・35mm・カラー)1971(学習研究社)
(監)岡本忠成
☆いばら姫またはねむり姫(21分・35mm・カラー)1990(今日=川本プロ=クラー・トキー・フィルム・プラハ=イジィ・トルンカ・スタジオ)
(監)川本喜八郎
■(監)=監督・演出
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詳細は以下のURLのページでご覧になれます。
http://www.nfaj.go.jp/exhibition/filmclassof2018-animation/